レーシック難民の眼鏡講座
9.近視のときはそれほど問題にならない斜位
ここまで読んだ人の中には「斜位っていうけど、それのどこが問題なの?実際チェーン店のメガネで今までやってこれたんだけど」と思う人もいるかもしれません。
しかし現在近視(特に強度近視)で、かつレーシックを考えているのであれば、クリニック選びよりも先に、心ある検眼施設で両眼視検査と眼位検査をした方がいいでしょう。
前の章でも少し述べましたが、斜位というのは正視(ピントを調節をせずにリラックスした状態で、しっかりと像を見ることができる目)では無いほど、問題として顕在化しなくなる傾向があるのです。
つまり、眼の悪い人ほど斜位があっても問題として現れてこないのです。
加えて遠見用の近視矯正用凹レンズには、レンズの構造上、輻輳を助けるプリズム効果が入っています。
・・・近視矯正眼では、調節量と同様、正眼視に比較して少ない輻輳量ですみ、特に眼鏡の矯正度数が強くなるほど輻輳量は少なくてすむことになる。また、注視距離が近いほど(-Lが大)この効果は著しくなる。(「近視の工学と眼鏡」 魚里博、眼科MOOK No.34『近視』、昭和62年10月31日発行 三島済一、塚原勇、上村恭夫 編集、金原出版株式会社、P.132)
人間の目は視点を外側に寄せるよりも内側に寄せるほうが筋肉の負担が大きくなるようにできています。強度近視+間欠性外斜位で目の内寄せ機能が低かった筆者も、この「近視メガネの構造上プリズム機能」に助けられ、輻輳のために必要な筋肉を酷使することも無く、自分の斜位に不自由を感じることも無く20代後半まで「単眼遠方視力重視検眼の安売りメガネ」で問題が顕在化しなかったのです。