レーシック難民の眼鏡講座
6.「斜位」はごくありふれた症状
ここまで読まれた人の中には「斜位なんて言葉があるんだ、でも自分には関係なさそうだな」と思っている人がいるかもしれません。
でも、斜位は、測定方法にもよりますが、多かれ少なかれ大半の人の眼に存在するものなので、そもそも「異常」として考えられていないのです。
筆者が医療関係者に斜位について個人的に問い合わせを行ったときの回答も引用します。
>「斜位」自体は人類のほとんどが大なり小なり持っています。そこで、人命を預かる旅客機パイロットの航空身体検査においても「斜視」は不適合状態と判断されますが「斜位」は不適合状態とは判断されません。(眼科関係者へのメールより)
特に多いのは外斜位で、遠方のものを両眼視するのに、若干の輻輳(視線を内側に寄せる)力を要求される眼です。先に書いたとおり、両眼視は問題なく可能で、疲れたときやぼんやりしたときだけ目が外側向くだけなので、大抵の人は気付かないのです。
また、眼精疲労の原因になりやすい「上斜位(上下斜位ともいう)という症状もあります。こちらは全体のおよそ1割くらいの人が持っており、ズレがわずかであっても支障をきたす場合が多いです。(東梅田「メガネのアイトピア)より)。
ちなみに斜位の人間には、以下のような、「日常のちょっとした不便」がある場合があります。
・立体視や空間把握、に問題があるため、球技が苦手である。
・読書やPC 入力作業中に、行を飛ばしてしまったり、同じ行を二回読んでしまうことがある。
・黒板やホワイトボードの板書が苦手(どこを見ていたのか分からなくなるため)
(近視の章に移行)ある眼科医による報告によれば、小児の強度近視の斜視の頻度は30.4%(内斜視25.8%、上下斜視16.1%、外斜視51.6%)であり、一般の小児の斜視の頻度2.3%に比べ高く、しかも外斜視が多いそうです。(丸尾敏夫:病的近視、眼臨医報、P76 :1-13、1982)