レーシック難民の眼鏡講座
5.「Prism」「Base」が必要になる症状、「眼位異常」とは何か
それでは「Prism」「base」が必要になる眼位異常、斜視や斜位とはどのような状態なのでしょう?
2章でも触れましたが、人間の目は約6センチ~7センチ離れて配置されています。2つの目で見える範囲の大部分は重なっていますが、若干のズレも 生じています。この若干の違いの有る2つの映像を脳で1つに合成することによって人間は立体感を感じています。遠見時は、両眼の視線はほぼ平行して目標物を見ています。
また、読書やパソコン作業のなどの近見作業の場合は、目を内側に寄せることで目標物に視線を合わせています。眼球の外側には外眼筋という筋肉があり、この筋肉がバランスよく働くことで2つの目が映す2つの画像を1つに合成しているのです。目のこのような動きが「両眼視機能」です。
※3Dムービーが飛び出して見えるのもこの理屈です。ですから、両眼視機能に問題がある人は3Dムービーがうまく見れない場合があります。3Dムービーが立体的に見れない人や、お子さんが「3Dムービーが飛び出して見えない」と訴える場合は一度きちんと検眼を受けてみてください!
「斜視」は「両眼の視線が正しく目標に向かない状態、すなわち眼位の異常があり、これに両眼視の異常が加わったものである(丸尾敏夫『エッセンシャル眼科学』 医歯薬出版、1977年第7版初版、P186)」です。両目をあいていても片方の目からの情報は脳にまで到達していなくて全く見ていない(専門用語で抑制といいます)ことが多く、中には物が二重に見えたり(複視と言います)、片目ずつ遮蔽して見た時の景色が明らかに違うなどの自覚症状もあるため、小さいころに発見されて病院に連れて行ってもらえる場合も多いです。
一方「斜位」は「眼位に異常はないが、両眼視は保たれている(丸尾敏夫『エッセンシャル眼科学』 医歯薬出版、1977年第7版初版、P186)」 状態で、「潜伏斜視」とも呼ばれます。明らかに視線が外れることがある斜視に比べると、大半の場合異常が無く(疲れたり、ぼんやりしている時だけしか視線が外れない場合もあるため)、眼科でも調べないことがほとんどです。そのため実際は斜位だが周囲も自分も気づいていないという人が非常に多いです。