レーシック難民の眼鏡講座
2.日本の大半の眼科(レーシック手術クリニック含む)及びメガネ店における
「検眼」の現状と限界
メガネやコンタクトをしている人は、これまでの人生の中で眼科やメガネ店で検眼を受ける機会があったと思います。
しかし、ちゃんとした検眼施設でまともな検眼を受けることができた人は、この文章を読まれている方の10%もいないのではないかと思います。
「両眼視機能」、「眼位異常」、「斜位、斜視」を言う言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。
人間の目は6~7センチほど離れて配置されています。2つの眼があるので私たちが捉えている画像は本来2つなのですが、右目の視野と左目の視野が重なった部分を脳で融合させて周囲を知覚しています。この事によって立体視や奥行きの感覚は生まれています。この機能を「両眼視機能」と言います。人間は片目ではうまく立体感や遠近感を持つことができません。また、片目ずつの視力測定では正確に視力を測定することができません。人間の目は2つの目で機能している状態が自然なため、片眼ずつでは調節による誤差が発生するからです。
人間の視力を測る時(屈折検査をするとき)は、単眼ではなく、日常の自然な状態である両眼視により測定することが正確な数値を出すためには不可欠です。
しかし、現状日本の大半の眼科やメガネ店では、「①眼の単眼での機能を重視した検査」であり、かつ「②近見視力より遠見視力を重視した検査」を行ってきました(主に自覚的屈折検査とオートレフラクトメーターという機械による屈折検査で検眼を終了)。また、眼科という学問そのものが、一部の志のある医師を除いて「両眼視」という言葉に対する関心が薄いまま発展してきました。
社会も戦前からの流れを引き継ぎ、学校や会社で行う健康診断でも、「遠方視力がよければそれで問題ない」という考え方が主流です。
このことはどのような問題となって現れるでしょうか。
① の傾向によりにより遠視の患者は日常生活に多少の問題(遠視だと近見作業の際眼精疲労が強く、勉学の能率が落ちる場合がある)があってもそれを指摘されることは少ない。
② の傾向により斜位や斜視などの両眼視機能に問題のある患者も、例え日常生活に多少の不便(例えば立体視が苦手なために球技が下手であったり、本を読むときに行を飛ばしてしまうなど)が生じたところで、それを指摘されることは少ない。
レーシックを施術する病院でもこのことは同じであり、レーシック難民発生のメカニズムと分かちがたく結びついてきます。