メガネ作成の際に

レーシック難民の眼鏡講座 

14.実際に難民になったとき、メガネ作成の際に何が起こるか

「せめてメガネでも作ろうか」。そう思った患者に追い討ちをかける出来事があります。それは、上記のように日本の眼科の大半は両眼視はおろかそもそもメガネに対する理解が欠けているので、プリズム処方や潜伏遠視と言った難しめの処方をしてくれるところは少ないという現実です。

以下、眼科医向けの専門書の引用です。

「眼鏡の工夫」
私たち眼科医は意外とめがねのことを知らないのではないか。
患者に眼鏡のことを聞かれても、処方箋にサインする以外は検査員まかせ、眼鏡店まかせになりがちで、めがねに対する知識も研修医のときから更新されないこともある。(『続 解決!目と資格の不定愁訴・不明愁訴』金原出版、2008年、P.268)

 両眼視機能を考慮したメガネを作るためには光学的な知識と経験が必要であり、その習得には長年の訓練と勉強が必要になります。だから筆者は眼科医がメガネに詳しくなくてもある意味で仕方が無いとも思います。眼病の勉強に加え、メガネに関する光学的な知識も身につけようと思ったら、眼科医になるのに一体どれだけ歳月が必要になるかわかりませんから。

ただ、「自分は光学的知識及び両眼視に関する知識が不足している」と自ら自覚し、それを伝えてくれる眼科やメガネ店(検眼技術の低いメガネ屋も存在する)ならいいのですが、問題は両眼視機能の知識が無いにもかかわらず、「自分が見たところ正常=患者がおかしい」と考える人があふれており、かつそのような医者が出す処方箋が絶大な力を持っていることです。

また、眼科に勤務する視能訓練士は「『視能訓練士』とは、厚生労働大臣の免許を受けて、視能訓練士の名称を用いて、医師の指示の下に、両眼視機能に障害のある者に対するその両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行なうことを業とする者をいう。視能訓練士法第2条)」であり、両眼視機能検査が可能な資格ではありますが、悲しいことにその業務は「医師の指示の下に」であるために、勤務している眼科の医者自体が両眼視機能に理解が無い場合はその力を発揮できない場合が多いのです。事実品川近視クリニックにも視能訓練士は多数勤務していますが、眼科医の両眼視に対する認識が低いために、両眼視機能の検査をすることはありません。

話を戻します。筆者もレーシック難民になった当初は、これまたプリズム処方や潜伏遠視と言う言葉とは無縁の「Z●ff」でメガネを作ってしまい、失敗した思いが強かったので「眼科なら専門家だから、きっと良い処方を出してくれるだろう」と思い、近くの眼科を訪ねました。

でも、前述したとおり「Z●ff」の眼鏡でいいと太鼓判を押され、出来たのは遠視の処方がわずかに加わっただけ(しかも自分で頼まなければ入れてもらえなかった)の処方箋でした。

「両眼視機能に対する理解度が低く、検眼技術も低い眼科で処方箋を出してもらう」→「その間違いに気づかない両眼視機能に対する理解度が低く、検眼技術の低いメガネ店によって合わないメガネが作られる」→「合わないのでまた眼科に持っていくが、合っていると言われる」→「メガネ屋に行くと、眼科で出してもらった処方のとおりに作ったので問題ないと言われる」→「手元には目に合わながお金だけはしっかりと払わされた眼鏡だけが残る」→「仕方が無いのでまた別の眼科に言って処方箋を求める」・・・私はこれを「メガネ難民魔のローテーション」と呼んでいます。

※この場合、メガネ店のせいにするのは酷かもしれません。何故ならメガネ店は処方箋を患者が持ってきた場合は、その処方箋に従ってメガネを作らないといけないためです。ただ、心あるメガネ店なら処方をそのまま作るのではなく、初購入者は自店でも検眼してくれる場合が多いです。

※また、眼科で検眼をしてくれる方が視能訓練士である場合もあるのですが、視能訓練士のせいにするのも酷かもしまれません。なぜなら視能訓練士の仕事は「主に医師の監督下において検査を行うこと」だからです。監督する医師に両眼視についての知識が浅ければ視能訓練士の行う検査も限られてくるようです。ただ、視能訓練士という資格の生まれた理由は「両眼視機能の検査のため」であり、そのための試験にもマドックス検査などがきちんと出題されているので、「患者の訴えから両眼視機能の障害が疑われたが医者の監督が無かったので検査できませんでした」と言うことであれば、視能訓練士という資格の根拠そのものが危ういのではないかと筆者は感じています。

視能訓練士とそれを監督する立場にある眼科医との関係は大変微妙なようで、「眼科プラクティス29 これでいいのだ斜視診療(2009年9月22日発行、丸山敏夫編集、文光堂)」では以下のような記載も見られます。

・・・一方、視能訓練士は、長年視能矯正の分野が専門とされていたので、斜視・弱視を専門としない一般眼科医にとっては、いまだに遠い存在と誤解されている向きがある。それは、視能訓練士に指示する立場である眼科医がこの分野に苦手意識があることがその理由である(「a.医師の立場から」久保田伸枝、P205 )

投稿日:2020年9月23日 更新日:

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現在、とても人気の手術となっている眼のレーシック手術に対する警告の内容です。
今回、レーシック手術を当初認可した国の担当官が、現在ではその手術の危険について語り始めています。レーシックの何が危険なのでしょうか?その内容について、当局ABCニュースのエリザベス・レイミーがインタビューを行いました。

「レーシック手術の落とし穴 “2.0なのに
見えない・・・”体験者が語る“過剰矯正”
の恐怖 」

このテレビ番組は、このサイトにも紹介していますレーシック難民オフ会のメンバー9人のかたがたも東京でテレビ局からの取材に協力されて、フジテレビにより製作放映されたもので、医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が監修されました。

ちなみにメンバー9人が手術を受けたクリニックは品川近視クリニック5名、神戸クリニック1名、錦糸眼科1名、他眼科2名です。

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