レーシック難民の眼鏡講座
4.メガネの処方箋の対比
筆者はレーシックを受けてから4本眼鏡を使用しています。最初の2つは両眼視への関心が薄い施設で検眼したものですが、今は全く使用していません。
以下、処方箋を公開いたします。
検眼場所 | 用途 | SPH | CYL | AXIS | PRISM | BASE | PD | |
(1)Z(●)FF (2007) |
近用(PC 読書用) |
R(右目) | 0 | -1.00 | 90 | 記載なし | 記載なし | 58mm |
L(左目) | 0 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし | |||
(2)関西のT眼科(2011) | 近用(PC 読書用) |
R(右目) | +0.75 | -1.00 | 90 | 記載なし | 記載なし | 58mm |
L(左目) | +0.25 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 記載なし | |||
(3)メガネのカツラ | 遠用(外使い用) | R(右目) | +1.75 | -1.50 | 65 | 2△ | Down | R30 |
L(左目) | +1.00 | -0.50 | 100 | 3△ | In | L31 | ||
(3)メガネのカツラ | 近用(PC 読書用) |
R(右目) | +2.25 | -1.75 | 80 | 2△In 1.5△Down | R28 | |
L(左目) | +0.75 | 記載なし | 記載なし | 2△In 1.5△Up | L29 |
※「②関西のT眼科」で作成されたメガネは、最初は「今使っているZ○FFのメガネで大丈夫ですよ」と眼鏡担当の看護婦さんに言われたのですが、「この眼鏡で眼痛に耐えられなくなって前の会社を辞めたので、遠視の処方をどうしても入れてください」とお願いして遠視の度を入れてもらいました。(この時は小さい本に大きさの異なる文字がたくさん書いてある本のようなものを使用し、度を決定しました)
最初の2件の「Prism」及び「BASE」の項にご注目ください。記載が何もありません。それはこの2件では眼位異常の検査をしていないからです。
更に私はレーシックして以来、右目が遠視になっていたのですが、その度数も①②と③④ではかなり違います(③と④が違うのは④が近距離用でより遠視の度数を強くする必要があったためです)。
両眼視機能に関心の薄い眼科及びメガネ店では、下記に挙げた検査のみで眼鏡を作られていると思います。
1. オートレフラクトメータ(覗き込むと草原の中に気球や風船が見える機械で測る検査です)
2. 自覚的屈折検査(Cの形をしたランドルト環その他を使用して、裸眼視力を測ったり、検査用メガネにレンズを入れ替えてする矯正視力検査です)
3. 球面度数のテスト(赤い色と緑色のどちらがはっきり見えるかのテストで、装用レンズの球面度数の適否の目安を見たり、検査の際過度な緊張が入らないかをチェックしています。
4. 乱視と乱視度数の検査(放射線を見せてその太さを答えさせ乱視度数を決めていくこともありますが、クロスシリンダーという特殊なレンズを使って、二者択一の見え方を何度も繰り返し比較することにより乱視を決めていく方法もあります。中には、乱視はオートレフで出た値のままとして、自覚検査では測定しない測定者もいます)
5. 瞳孔間距離の測定(レンズの光学中心間を測定する検査です。人によってはこれが左右で大きく異なる人もいます)
※眼科や眼鏡屋によっては合計のみ記述し、それを単純に半分に分けてレンズを作成します。この時大きく差が有る目ではプリズムなどが入るようになります(肥後橋「メガネのカツラ」より)
大半の人はこの検査で十分「丁寧に調べてくれた」という印象を持つと思います。私の①の眼鏡も以下の検査方法のみでの作成です。
学校で行われるお馴染みの健康診断の時の視力検査は、遠距離での視力を測る「2、自覚的屈折検査(裸眼・手持ちのメガネの矯正視力検査のみ)」くらいなので、それよりは検査項目の多い上記の検査で不十分な印象をもたれる人は少ないでしょう。
しかし専門書には以下のような記載があることに注意してください。
9.眼位と両眼視の検査
視力および屈折を片眼ずつ検査していたのでは、視機能の検討としては中途半端なもので、それぞれの眼が両眼視したときに十分な機能を発揮できるかどうかの検討を行ってこそ、眼鏡学のための検査が完成することになる。
(『屈折異常と眼鏡』1976年、丸尾敏夫、湖崎克、西信元嗣)医学書院、p.118
③と④の眼鏡は「Prism」「Base」を入れるために次の検査もしています。
6. マドックス検査
7. 十字やコの字などの偏光視標による検査
8. チトマスステレオテスト
上記はいずれも眼位と両眼視の異常を調べるための検査です。