『 レーシックは止めたほうが良い、と断言します 』

視力回復手術体験記

『 レーシックは止めたほうが良い、と断言します 』

関西にお住まいの30代の女性、Kさんから2011年12月に下記の体験談を投稿いただきました。
2007年に品川近視クリニックでイントラレーシックを受けられています。

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Q1.手術前にはどんな悩みがありましたか?

私は小さいころから目が悪くて、眼鏡やコンタクトレンズが手放せませんでした。レーシックを受けた理由は、ランニングが趣味だったので、眼鏡が邪魔だったからです。

夜に眼鏡を外して川の近くを走って川に落ちたり、昼に眼鏡をはずして歩いている時に大きなゴミ箱にぶつかり、「すみません」と謝ったこともありました。

それと、ファッションを楽しみたかったからです。
今となってはとても贅沢な悩みだと思うのですが、近視だったので眼鏡をかけると眼が小さく見えるのがイヤでたまらなかったんです。

レーシックの手術前に受けた検査では、裸眼視力は両方とも0.01近くでした。
要するに、両目とも-10Dほどの最強度近視です。

ちなみにレーシックのガイドラインでは、-6D以上の強度近視は削る角膜の量が多く、いろいろなリスクが考えられるため手術をする時は「十分なインフォームドコンセントのもと、10Dまでの範囲で実施」とあるんですよ。

http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/laser_new.pdf

しかし品川近視クリニックでは、強度近視者に対して事前にこういう説明は一切やってないし10D超えてても普通に手術してしまうみたいです。

Q2.受けた手術の種類は?

イントラレーシックです。

Q3.手術を受けた施設はどこでしたか?(受けた日時、病院名など)

受けたのは品川近視クリニックです。
覚えているのは待合スペースの椅子のところに、レーシックの安全性と素晴らしさを訴えるビデオが繰り返し流されていたことです。

でも手術後の後遺症のことは簡単なもの以外は一切情報がありませんでした。過矯正で遠視が出たり、眼位異常が顕在化して眼精疲労が耐え難いものになり、その結果仕事を失って退職する人もかなりいることは全く感じ取れませんでしたね。
私も手術が終わったら眼鏡が無い生活が待っているんだと、そのときは信じきっていました。

Q4.手術前の説明はいかがでしたか?

手術後に炎症を起こしたり、ドライアイになったりすることもあるけど、時間がたてば治りますという感じでした。

上記に書いたような過矯正による遠視や眼精疲労などの重大な後遺症のことは一切口頭で説明されませんでした。

確かに手術の承諾書には「遠視になったり近視に戻ることもあります」と書いてあるのですが、強度近視の人は特にこのリスクが高いのです。
しかしそうなら、余計強度近視者には説明すべきであったと思います。
彼らは角膜を削る量が多いので、再手術出来ないこともあるのですから。

それから上述しましたが「-10Dを超えている近視の人にはレーシックは行うべきではない」という、日本眼科学会のガイドラインがあるんです。

エキシマレーザー屈折矯正手術ガイドライン

角膜が薄い人や近視が強すぎる人はレーシックを断られたりすることがあるのですが、それはこのガイドラインに従った結果だと思います。

レーシックでは角膜の実質層という部分を削るのですが、近視が強いと削る部分が多くなりすぎて、レーシックを受けた後、角膜の強度が低下し、衝撃にはもちろん弱くなりますし、普通にしていても何らかの眼病(円錐角膜や緑内障など)が発生する可能性があるのです。
(ただし、円錐角膜は角膜ベッドが250ミクロン残っていればまず発症しないらしいです。 逆に400ミクロン残っていても発症する方もいます。しかしいずれにしてもまれな症例です)
もちろん近視が戻っても角膜が薄い場合は再手術は不可能とされます。

しかしこの事に関する説明は品川近視クリニックから一切ありませんでした。
日本人の角膜の平均の厚みは520ミクロンで、レーシックを受けた後もトータル400ミクロンは残したほうが良いという認識になっています。
しかし私の今の角膜の厚さは両眼ともに300ミクロン台です。当然事前に何の説明もありません。

一つ「やめておけばよかったな」と思っていることは、手術前に「あなたは遠くが見える目の方がいいですか?それとも近くが見える目の方がいいですか?」と聞かれた時「遠くが見えるほうが嬉しいです」と答えたことです。ここで「近くが見えるほうにしてください」と言っておけば過矯正にならずに済んだのかなと思っているので。
でもそれなら「過矯正という状態が有り、このような症状が出ますけど、それでもいいですか?」と聞いて欲しかったと思っています。

Q5.術後の眼の状態(後遺症など)はいかがですか?

一年後に眼鏡の生活になりました。
手術後0.01くらいだった目は一気に両目とも1.5になりました。
「眼鏡が無くて快適だな」と思ったのはたった一年足らず。今では右目は中程度の遠視、更におそらく元からあった右目の外斜位が顕在化し、上斜位+外斜位になって両眼視がきつくなりそのせいで眼精疲労がひどいです。今はプリズムの入った眼鏡をかけています。
(レーシックの後遺症は、受けた直後から吐き気やめまいなどの具体的な症状がある人と私みたいな、しばらく経って発症する人がいるみたいです)。

メガネを外してもPCしなければ生活は出来るのですが、そのままにしておくと斜位が悪化して手術が必要になるかもしれないということで、四六時中かけています。
(レーシック後に実際に手術が必要になるほど眼位が悪化する方もいますしね。 私の知っている方で、レーシック後に右目が常に横向いたままになっている方もいますよ)
前はコンタクトで矯正できましたが、斜位はコンタクトでは直らないので万年眼鏡の生活になったわけです。
更に遠視なので、調節性の眼精疲労も酷く、右目+度数が2以上の遠視眼鏡。
これでも日に5時間のPCの使用で、次の日もう絶対にPC見れないなというくらい目が疲れてきます。

わかりやすく説明するとレーシックを受ける前の目なら24時間PCした後で感じていたレベルの眼精疲労をレーシック後は1日3時間ないし5時間のPC作業で感じるようになったということです。
仕事が終わると、明日までにどうやって目の疲れを取るか、明日は目が持つのだろうかとかそのことしか考えられません(8時間寝ても疲れが取れないんです)。
家に帰ると目の疲れを取りたいから、即ピンホール眼鏡。効くかわからないけどプラシーボ的効果でも何でもいいからすがりたい気持ちなんです。

一度目の会社は本当に目の体力が限界に達し、退職しました。
最後のほうはあまりに目が痛いので会社までほとんど目をつぶって歩いて通勤してました。
10秒に3秒くらいしか目を開けられないんですよ。痛くて。

今は専業主婦で夫のすねをかじっています。もし独り身だったら生活は破綻していたでしょう。

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【 品川近視クリニックの”アフターケア” 】

「万全のアフターケア」と謳っている品川近視クリニックですが、皆様のお役に立てるかもしれないので実際どういうやり取りが行われたかを書いておきます。

眼が痛くなってから一度受診したのですが、執刀医とは別のお医者様が出てきました。
目の検査を一通りした後「目が疲れる原因はわかりません」「手術は成功しています」「再手術は、角膜の厚みがもう無いので不可能でしょう」「様子を見ましょう」とドライアイ用の目薬、ヒアレインを何本かいただきました。
「でも目が痛いんです」と訴えても、「手術との因果関係はわかりかねます」。
痛くなってから視力が低下したので、その原因も質問しましたが「原因はわかりません」。

その後カルテをもらえたので読んでみたら、視力数値は「遠視」。
そんなこと、診察時にはただの一言も言われませんでした。
その後再度品川近視クリニックに、「強度近視だったのに術前にリスクのインフォームドコンセントが無かったのですがこれはなぜですか?今遠視になっていますが?」と尋ねたら「遠視になることもございます」という答えでインフォームドコンセントが無かったことには一切言及がありません。

これが私の知る品川近視クリニックの言う「万全のアフターケア」の中身です。

 

【 眼科医と眼鏡屋に一言 】

私がこんな目になってから一番思っていることは「眼医者も眼鏡屋も信頼できる専門家だと思って無条件に信頼していたけれど、本当に信頼できる人たちはごく一部だけだ」ということです。 なぜこんな風に考えるに至ったかというと、私の眼精疲労の原因は斜位と遠視が重なって起こる複合要因眼精疲労なのですが、今まで受診した眼科医も眼鏡屋も全然この事を言ってくれなかったからです。

一貫して言われ続けてきたことは軽いドライアイと眼精疲労。 でも眼精疲労の原因まで調べようとしてくれたお医者さんはほぼいません。

10件以上、大きなところは労災病院から小さな町医者まで眼医者を回りましたが、遠方視力が良いとどの医者も「軽い眼精疲労でしょう」と言って取り合ってくれません。
私は外斜位なので、目を鼻の側に寄せる筋肉を酷使してなっている疲労が大きいらしいです。
そのため、眼位を調べないで目の表面しか診ないお医者さんのところに行っても、せいぜい軽度のドライアイを指摘されるだけで終わってしまうんです。

行きませんでしたけれど、眼科医本人から心療内科を受診するように勧められたこともあります。(実際本当に鬱になる患者もいる)

大抵の眼鏡屋さんもこんな調子で、検眼がいい加減な店ではオートレフラクトメーターと自覚的屈折検査、乱視検査、レンズの光学中心を計っただけで終了し、合わない眼鏡が出来上がります。
(ちゃんと検眼してくれるいいところに行けばいい眼鏡を作ってもらえますけどね!)

【 眼科医と眼鏡屋に望むこと 】

私の経験上、眼医者さんは目の専門家であっても「見え方」の専門家である方は少ないと思いました。 例えば斜位や潜伏遠視の診断は、眼医者さんより眼鏡屋さん(ただし優秀なかた)の方が優れていたように思います。

ですので眼科のかたにお願いがあるのですが、もし「これは見え方の問題ではないのか」と感じられた場合は、「見え方」についての専門家である眼鏡士さん(ただし優秀なかた!)などをご紹介いただきたいということです。

私が最近お世話になっている眼鏡士の先生に出してもらった処方箋と、近所の眼科で出していただいた処方箋はこれが同じ人間のもの?と言うくらい数値が違います(眼医者で作った眼鏡は、そもそも一番問題のプリズムが入っていない)。 少なくとも、眼科医の出した処方箋でまだ具合が悪いと言う患者が来たときには、自分は「見え方」の専門家であるのかと言うことを考慮してより望ましい施設をご紹介いただければと思います。

眼鏡屋さんに望むことも同様で、常にお店の設備および検眼技術を考慮に入れて処方を出していただければと思います。 もし一度作った眼鏡で不具合を訴える患者さんが現れたら、すぐに「その患者さんが神経質だ」と決めつけず、どうか、ある程度高度な検眼技術を持つお店またはお医者様をご紹介いただきたいのです。 そうでないと自分のように特殊な眼鏡が必要になってしまった患者は非常に辛いものがあります。私のような者にとっては、メガネは「服飾雑貨」ではなく「医療器具」です。そのことを考えてメガネを作っていただきたいのです。

【 目が悪い方に伝えておきたいこと 】

第一に、私は今まで10件以上の眼科を受診してきましたけれど、レーシックはやめておいた方が良いと断言します。 そう考える理由は、様々な眼医者を受診し、レーシックと言う高度な技術を使いこなせるほど「目の見え方」について知識および熱意を持っている眼医者さんは少ないと考えるに至ったからです。

私もレーシック難民になってから初めて知ったことですが、目は単に遠くが見えればそれで良いと言うものではなく、目の筋肉の使い方や眼軸など色々細かい要素がバランスよく組み合わさることで快適に見えるもののようなのです。人間の目の構造は皆同じでなく、一人ひとり独自のバランスをとってものを見ているんです。
もともと外斜位だった私はレーシック手術により目というシステムのバランスが崩れてしまい、眼球の表面には何の問題も無くても、「見え方」の点で働くことに支障をきたしています。
角膜を薄くして焦点距離を網膜に届けているため、水晶体を調節する毛様体に以前より負担がかかり、目がちくちくします。更に我慢して続けると、今度は痛くて仕事が出来ないくらいになります。
眼鏡士には「このまま年取って調節機能が衰えると、手元は全く見えなくなる」と宣告を受けてます

2.0見えていても、1時間に10回以上目薬をささなければならなかったり、眼精疲労でPCが使えなくなれば、仕事が出来なくなり生活できなくなってしまいます。家族を養っている場合、家族もその犠牲になります。レーシックはその危険と隣り合わせの手術なのです。 それでも手術がしたいかもう一度考えてください。あなたの手術をするお医者さんは、あなたに後遺症が残った時もあなたを診てくれるような人でしょうか。勿論快適な生活になった方もいるでしょうが、私は少なくとも10人くらいは難民になった方を知っています。そして、みんな一様に手術をした病院から相手にされていません。

第二に、今かけている眼鏡が使い辛い方は、私と同じように眼位異常があったり、眼鏡の度数が合っていない場合があるので、どうか認定眼鏡士や眼位異常にに理解のある眼科に行ってみてください。
日本は欧米と違い、眼鏡は無資格で販売できる国です。これには利点もありますが、店による腕の差を本当に激しくしています。眼位異常や両眼視検査までできる眼鏡屋さんや医療施設の出す処方箋で作る眼鏡は、そうでないお店のものと別物です。眼鏡はレンズがニコンやHOYAであるかより前に、きちんと患者の目を検眼しているかという点が全てなので、とにかくまともな施設で一度眼鏡を作ってみてください。
認定眼鏡士さんなどがいるお店でしたら、多分眼位も両眼視機能も見てくれるのではないかと思います。

長々と書きましたが、私のレーシックに関する体験は以上です。
どうかこれを読んで日本に6000万人いる眼鏡・コンタクト使用者が恐ろしい選択を避けることを願います。
これを読んでくださった方、どうか友達や家族、それからご両親(最近高齢者向けの「老眼レーシック」なるものもある)を守ってあげてください。
また、真剣に患者さんのことを考えて日々勉強と研究を続けて下さっているすばらしい眼医者さんや眼鏡士さんも存在しているのですが、そういう方たちがもっと一般の消費者にも認知されることを願います。
本当にまじめな技術者さんたちが絶滅してしまうと、私はどこに眼鏡を買いに行けばいいのかわからないので。

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現在、とても人気の手術となっている眼のレーシック手術に対する警告の内容です。
今回、レーシック手術を当初認可した国の担当官が、現在ではその手術の危険について語り始めています。レーシックの何が危険なのでしょうか?その内容について、当局ABCニュースのエリザベス・レイミーがインタビューを行いました。

「レーシック手術の落とし穴 “2.0なのに
見えない・・・”体験者が語る“過剰矯正”
の恐怖 」

このテレビ番組は、このサイトにも紹介していますレーシック難民オフ会のメンバー9人のかたがたも東京でテレビ局からの取材に協力されて、フジテレビにより製作放映されたもので、医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が監修されました。

ちなみにメンバー9人が手術を受けたクリニックは品川近視クリニック5名、神戸クリニック1名、錦糸眼科1名、他眼科2名です。

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