『 レーシックでハロとグレアが 』

視力回復手術体験記

 『 レーシックでハロとグレアが 』

岡本  当店のHPと近視手術の会のHPをご覧になり、メガネを希望して来店された、36歳の高槻市の市バスの運転手さんです。
以下のようなことをおっしゃいました。

10人近い同僚がレーシックを受けてみな、調子が良いとのことなので、自分も、3ヶ月前に大阪のKクリニックで受けてみた。
手術直後は右が2.0、左が1.5出た。
ところが、いまは0.6まで下がった。医者は、こんなに急に視力が下がるのは珍しいと言う。

眼精疲労などはないし、ドライアイもないが、特に困るのは、昼間はなんともないが、夜の運転で、ハロとグレアが強く、なかなかそれが弱まらない。初めからずっと同じような程度でここまで来ている。
手術前の説明では、ハロやグレアはだんだんましになると言われたが、そうではない。

このままずっと一生辛抱しないといけないのかと思うと憂鬱になってくる。
元は7Dくらいの近視だった。普通はその度数だとレーシックで視力がきっちり出るところまでは角膜を削れないのだけれど、角膜の厚みが普通よりも厚いのでそれができるし、まだ余裕があるので、再手術も可能と言われた。

ただ、再手術をするには、あと3ヶ月様子を見てからの方がよいと言われたが、再手術をしてもまた近視の戻りがあるといけないので、自分としてはもう再手術をしたくない。

手術したあとで、近視手術の後遺症対策研究会のHPを見た。初めにアレを見ておけば、手術は受けなかったと思う。

あのHPを見て思ったのが、手術の日に同意書を見せられて、すぐにその場でサインを求められた。 あれは家に持ち帰らせてもらって検討したかった。

 それで私(岡本)は、「あなたのお話をあのHPに掲載させていただいていいですか」と尋ねました。
すると「ええ、ぜひ掲載してください」とのことでした。

なお、当方での検査結果は下記のとおりです。

5m両眼開放屈折検査(2010.7.13)
RV=0.5(1.5×S-1.00 C-0.25 Ax15)
LV=0.6(1.5×S-1.00 C-0.25 Ax100)
BV=0.6(2.0)

眼位正常 輻輳力も調節力も正常

ここから左右ともに0.25D弱めても両眼視力で1.5出るので、処方調製度数ををどちらにしようかということになりましたが、5m完全矯正でも近見がまったくOKだということと、今後近視がまだ進む可能性があるということと、夜間の運転時にかなり遠いところを見ることも考慮して、この完全矯正度数で作ることにしました。

それと、「角膜の専門医(K大学のK医師)が言うには、術後に角膜が完全に安定するには2~3年はかかるそうです」とも言いました。

このかたは、コンタクトレンズは10年ほど前に一週間ほどなさったことがあるそうなのですが、それ以来手術までは強度近視のメガネで過ごしてきたということです。

ですから、ハードコンタクトをやめたあとの近視化ということではないようで、理由ははっきりとはしませんが、もしかして、強度近視だったので、術後の近視の戻りが早かったのかもしれません。

ハロやグレアについては、サングラスで多少はましになることがあります、と申し上げたのですが、職業上、サングラスはかけられない、とのことでした。

なお、このかたが受けたのはイントラレーシックなんだそうで、「イントラレーシックだったら近視の戻りが非常に少ない、と聞いていただけに、よけいに不満を感じている」とのこと。

術後裸眼で鮮明に見えるなと思ったのは、ほんの1~2週間くらいだったそうです。

その後検査のたびに視力の低下を訴えても、行くたびに違う医師が出てきて、「もう少し様子をみましょう」ばかり……いまさらどうなるものでもないし、もう、あきらめています、とのことでした。

なお、大阪のKクリニックは経営者は変わったけれど、元の場所で一応業務はやっているそうです。

ただ、このかたが手術を受けたときに比べてクリニックに検査や手術のために来ている患者さんの数は激減しているそうです。

ミッフィー K医師いわく「1~2週間で視力低下が始まったのなら術後の眼圧が高いかも知れない。
強度近視で手術で角膜が薄くなった場合には角膜の前方への突出が起きやすく、それ
による近視化が早い。
一般の眼科で接触式で正確な眼圧を測ってもらうのがよい。眼圧が高いままで再手術を
すると同じことのくりかえしになり、ケラトエクタジア(角膜拡張)に陥りかねない。

それとハロやグレアが強いのは瞳孔径が普通よりもやや大きいからかもしれない。

場合によっては、2~3年間ハードCLをして、角膜の拡張や変形を防いで近視の戻りを少なくするということも有効かもしれない」 とのことです。

岡本  アドバイスをありがとうございました。ただ、このかたは、10年ほど前にハードCLをためしたが異物感が強くてだめだったそうなので、おそらくそれは無理だろうと思います。

とにかく、再手術は角膜を弱めるだけなので、しないようにと言っておきます。

(2010.7.17)あの運転手さんが、さきほどメガネを受け取りに来られました。そして、次のようなことも言っておられました。

「事前の検査や相談のときに、自分の職業は何かということを、相手は尋ねてこなかったので、自分から、私はバスの運転手ですと言ったのです。
それでも、ハロやグレアのことがあるから手術をやめといたら、というようなことは言われませんでした」

手術の費用は21万いくらのところを割引があって17万いくらだったそうです。

それで、先日のK医師のアドバイスを書いたものをお渡ししました。

このかたは手術の一ヶ月ほど前(2010.3.14)に受けた検査結果の記録を持ってきてくださいました。

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裸眼視力 左右共に 0.03
矯正視力 左右共に 1.5

屈折度
R=S-7.50 C-1.25 Ax45
L=S-6.50 C-1.25 Ax155

角膜曲率半径
R=K1 41.50D Ax29 K2 42.25D Ax119
L=K1 41.50D Ax155 K2 42.50D Ax65

眼圧   R 20mmHg  L 20mmHg

角膜厚  R 555μm  L 562μm

お勧めする手術は
◎ コンチェルトスーパーイントラLASIK
(近視の戻りが少ない、と口頭で説明あり)
〇 i LASIK
(費用は安めだが、東京のクリニックにしかないので、大阪ではできない)

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それでミッフィーさん、このかたは眼圧がやや高めのようですが、それと角膜が厚いのとで、丁度バランスが取れていたのでしょうか。

ミッフィー はい。
K医師の話を書きます。

眼疾患がない人の場合、眼圧の高い人ほど角膜も厚めになっているものである。眼圧を
測定する装置は角膜厚が厚いほど実の値より高く測定され、角膜の曲率半径が大きいと
実の値より高く測定されるという誤差を出しやすい性質があって、厚50マイクロメートルあたり5mmHg測定値が変わってくる。

だから、実の値としては550マイクロの人の測定値20Hgの眼圧は500マイクロの人の測定値15Hgの眼圧に等価と換算する。

だから、角膜厚が薄い人ほど眼圧の耐圧値の上限も厳しくなる。
正常眼圧緑内症の患者さんも、測定値眼圧は見掛け正常でも、角膜厚で補正をかける
と実は実質的には高眼圧な場合が多い。

このかたの場合も、手術で削った角膜厚に相当するだけ (50マイクロメートルあたり5mmHg) 術前と比べて眼圧の測定値の低下が起こってなければ、角膜厚に比して高眼圧な状態になっているということだから、注意がいる。

それから、さきほどの術前の検査データをK医師に見てもらった結果を次にお伝えしま
す。(2010.7.18)

K医師によると、術後の眼圧や切除厚の情報がわからないので、術後の値とこの術前の
値との比較をしないとなんとも言えないとのことで、我々の眼の角膜厚と眼圧はうまくバランスの関係にあるのだけれど、要は今回の施術で切除した角膜量に応じた眼圧低下が術後に起こっているのかどうか、(50マイクロメートルの切除あたり、3~5mmHgが目安)ということだそうです。

強度近視のレーシックの場合、どうしても切除厚が大きくなりがちなので、そのぶん、角膜厚に比して眼圧が高くなるというアンバランスが生じやすく、そのために、眼が圧に耐えられず実質の眼軸長が長くなって矯正効果が低下したり、さらにそれが閾値を超えると、いわゆるエクタジアといった角膜突出を引き起こしていくことがあるとのことでした。

いずれにしても、角膜をきちんと診れる、レーシック医以外の一般眼科専門医に一度診
てもらっておいたほうが良いとのことでした。

それと、ハロ・グレアに関してですが、イントラレーシックは、以前、近視手術の会のHPに注記を加えていただいた通り、 <<角膜の厚みが薄い人や強度近視のかたがたで、通常のレーシックは適応外だが、イントラレーシックは適応だと、術前適応検査で施設側から言われたような場合は、ハロ・グレアのリスクなども含めて、特に慎重に考えるべきです>>なのです。

と、いいますのも、イントラレーシックはもともと、照射面積が狭いことが特徴なのです。

なので、暗所視力の低下や、ハロ・グレアのリスクは他の一般的なレーシックの術式と比べて、遙かに高いそうです。

なので、夜に運転をされるかたには全く不向きとのことでした。
それと、強度近視の人の施術の場合ほどハロ・グレアのリスクが格段にあがるそうです。

これも、以前のアドバイスにもあったとおり、レーザーの照射径をなるべく大きくして、広く削れば切除面から非切除面への移行部がなだらかにできて、段差(ギャップ)部分を少なくできるのですが、強度近視でそれをすると、余計にケラトエクタジアのリスクが上昇するため、なかなかそれはできません。
強度近視のかたで、「手術可能」と施設側から言われた場合にも、どのようなレベルで可能なのか、ということを患者さんはじっくり考えて欲しいとのことでした。

*照射径を狭めて角膜を急峻に切除する手術にはならないのか?(ハロ・グレアの
起こる 可能性との兼ね合いで)

*自分の眼圧からして、切除後のケラトエクスタジアのリスクがどの程度あるか?

以上、ミッフィーからでした(*^_^*)

岡本  詳しい解説を有り難うございました。
あ、そうそう、運転手さんは、HPの公開質問によく書いてある 「後悔率」 というのをぜひ知りたいです、とおしゃっていました。

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この運転手さんに、今回の一件を記事にさせていただいた旨のお知らせをしたところ、
下記のメールをいただきました。 (これも、掲載を承諾していただいています)

先日、メガネを処方していただいた高槻市の〇〇です。

このたびは私の話に耳を傾けてくださってありがとうございました。

メガネの調子は良く、久しぶりに快適な視界を取り戻し、喜んでおります。

手術前は、レーシックについてかなり調べたつもりでしたが不十分でしたね(笑)。
思い返してみると、メガネをかけている生活が当たり前の日常だったわけで、それほど不満を感じていたわけではなかったのです。

しかし手術が一般化し、周囲で受けた人が出始め、レーシック医院のサイトにある体験談 『人生が変わった!』 『夢のようです!』 の言葉がとても魅力的に感じられ、「小学生の時のような裸眼で見える世界をもう一度味わいたい!」と思い、手術に踏み切りました。

結果は不満足なものとなり大変失望しましたが、自分自身の責任ですのでどうしようもありません。

幸い、私の職場でもレーシックを受けようと考えていた人が数人いましたが、私の体験を聞いて全員取りやめました(笑)。

角膜を削るという不自然な行為はすべきではないですね。

おわり

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現在、とても人気の手術となっている眼のレーシック手術に対する警告の内容です。
今回、レーシック手術を当初認可した国の担当官が、現在ではその手術の危険について語り始めています。レーシックの何が危険なのでしょうか?その内容について、当局ABCニュースのエリザベス・レイミーがインタビューを行いました。

「レーシック手術の落とし穴 “2.0なのに
見えない・・・”体験者が語る“過剰矯正”
の恐怖 」

このテレビ番組は、このサイトにも紹介していますレーシック難民オフ会のメンバー9人のかたがたも東京でテレビ局からの取材に協力されて、フジテレビにより製作放映されたもので、医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が監修されました。

ちなみにメンバー9人が手術を受けたクリニックは品川近視クリニック5名、神戸クリニック1名、錦糸眼科1名、他眼科2名です。

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