日本眼科学会 ・ 根木 昭理事長様への公開質問

公開質問 

 日本眼科学会 ・ 根木 昭理事長様

    近視手術の後遺症対策研究会 代表 岡本隆博
http://www.optnet.org/syujyututaisaku/

 前略

私たちはネットを通じて近視手術に関する情報を提供しているグループです。
貴会のネットサイトを拝読して疑問に感じた点につき、お尋ねいたします。
以下の文章のなかで《 》内の文は、貴サイトから原文のままで引用したものです。

まず、貴サイトの記事 「近視矯正手術」 http://www.nichigan.or.jp/public/disease/hoka_kussetsu.jsp
(2009.11.4現在)について

(質問1) このサイトに、「屈折矯正手術」という用語と「LASIK治療」という用語がありますが、レーシックによる近視手術は、近視を矯正するものでしょうか。それとも治療するものでしょうか。

(質問2) 《治療後の視力の回復に不満を感じたり不都合を感じた場合には、眼鏡やコンタクトレンズによる矯正の追加が必要になることもあります。》 としてありますが、近視手術は、術後メガネやコンタクトを必要としない生活を望んでいるからこそそれを受けたいと望むわけですから、高いお金を払って、術後の後遺症のリスクを覚悟してまでその手術を受けたのに、メガネやコンタクトと縁が切れないとなると、まったく失望の他はないわけです。

ですので、こういう「お断り」をなさるのであれば、術後にまだメガネやコンタクトを必要とする人が、どれくらいのパーセンテージで存在するのかということを言ってあげるべきでしょう。
そういうデータをせめて貴会の会員医師だけでも集めて報告しようというご意向はないのでしょうか。

(質問3) レーシックを受けられる条件として《20歳以上であり、近視の度数が過去1年間安定していることが必要です。》 としてありますが、それであれば、あるレーシック眼科に1年以上受診をしないとレーシックは受けられませんね。
なぜなら、仮にいまのメガネかコンタクトの度数が近視低矯正の状態であったとして、それが1年以上前からそうだったのかどうかは、知るすべがありませんから。

次に「屈折矯正手術合併症の実態調査報告」 http://www.nichigan.or.jp/news/015.jsp(2009.11.4現在)
についてお尋ねします。

(質問4) 《対象は専門医制度研修施設1,155施設で、……中略…… その結果、61施設から114症例の回答があった。》 としてありますが、回答をしなかった施設からは「近視手術による後遺症と認められる患者は当施設には一人も来なかった」という報告があったのでしょうか。 そういう報告がなかったのであれば、単に忙しさに紛れて回答をしなかっただけ、という蓋然性もあるのではないでしょうか。

(質問5) 近視手術の受術者が手術を受けた施設であとの治療などをしている場合においては、この調査の範囲外ですね。 そして、上記で述べたように、回答をしたのは、調査を依頼された施設のわずか5%ほどでしかなく、回答がなかった施設については実態は不明なわけですね。

しかるに、昨今の近視手術受術者の急増という現実を鑑みるに、このように回答された症例の数を、もしこれを近視手術受術者の大半をカバーした調査における、術後に不具合のある患者の数、という解釈をすると、いかにも少なすぎると私は判断するのですが、この114症例は、実際に調査すべき対象者(その期間に我が国で近視手術を受けた人の総数)のごく一部を母集団とした場合の、その中の114症例であるとの解釈せざるを得ません。
ですので、表1や表2で述べられている患者の状態の数を、この期間の近視手術受術者全体のなかで、たったこれだけ、という解釈をする人がもしいたとすれば、それは全く誤った解釈なのですね。
ですから、そういう解釈をされるのを防ぐ注意書きをしておかれるほうがよいと私は思いますが、いかがでしょうか。

(質問6) それから、術後の疾患的なものだけでなく、術後の遠視などによる眼精疲労や近見不良、近視の戻り、ハロ、グレアなどのものの見え方の不具合については、この表1と表2には記載はないのですが、そういう症状で困っている人が全然いなかったということではありませんね。

(質問7) 《手術に関係しないと思われるもの》として《網膜剥離》《網膜裂孔》などが挙げられていますが、近視手術により網膜疾患が起こりえるし、実際にその症例もあることは周知の事実です。
ここでは《関係しないと思われる》としておられますが、それを近視手術とは関係がないと、その報告をした医師が「思った」だけであり、真相はまだ不明、と解釈してよいのでしょうか。

(質問8) 《日本眼科学会では、……中略……会員および眼科医療従事者に対する啓発活動を一層強化することとした。》 とのことですが、会員ではない医師に対する啓発活動とは、具体的にどのようなことをなさるのでしょうか。

(質問9) 《今後も定期的に調査を行い、合併症の動向を追跡していく予定である。》とのことですが、ある患者に対してなされた近視手術が成功か失敗かというのは、裸眼視力だけで判定できるものでもなく(受術者個人によって評価が違うでしょう) 屈折度数だけで評価できるものでもなく、一番大事なことは、受術者は、術後のある時期において、メリットとデメリットを秤に掛け、QOLが総合的に向上したのか低下したのか、ということであり、言い換えれば、どの程度の後悔をしているかどうか、ということです。

そして、近視手術を受けるかどうかを考えている人たちが一番知りたいのも、その点だと思います。

手術によって裸眼視力の向上があれば、その点における満足があるのは当然ですので、そんなことは調査する必要がありません。また、術後の後遺症がなかなか治らなくて、後悔の方が満足よりも大きいという人もいるでしょう。ですので、医学的な後遺症の調査だけではなく、そして、満足度の調査ではなく、後悔度の調査がぜひとも必要だと私は思うのです。

貴会に所属の医師による近視手術の予後の全患者を対象とした満足度(後悔度)の調査はあるのでしょうか。

非常に後悔している   (  )%
少し後悔している     (  )%
まったく後悔していない (  )%
(これを術後、定期的に長期間行なう)

これがないとすれば、ぜひこの調査を実施していただきたいのですが、いかがでしょうか。

次に「エキシマレーザー屈折矯正手術のガイドライン」ですが、
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/excimer.jsp(2009.11.4現在)

(質問10) 《エキシマレーザー装置を用いた屈折矯正手術は眼科専門領域で取り扱うべき治療法であり,……中略……日本眼科学会の指定する屈折矯正手術講習会,および製造業者が実施する設置時講習会の両者を 受講することが必要である.》とのことですが、その要件を満たさないで近視手術を行っている医師に対して貴会はどのような措置をお取りになるのでしょうか。

(質問11) 「適応」のところに 《屈折異常の矯正において,眼鏡あるいはコンタクトレンズの装用が困難な場合,医学的あるいは他の合目的な理由が存在する場合,屈折矯正手術が検討の対象となる.》 としてありますが、メガネについての本人の判断による美容的な「装用困難」、あるいは、医学的な理由はなくとも生活上の不便による眼鏡やCLの「装用困難」なども、「近視手術の適応」として認めるのであれば、もはや、本人が何らかの理由で希望すれば、少なくとも角膜の状態などの人体生理的な事以外では、すべて近視手術の「適応」となるのではないでしょうか。

(質問12) 「対象」を《屈折値が安定しているすべての屈折異常(遠視,近視,乱視)とする.》とのことですが、少なくともどれだけの期間の継続診察により「安定」と判断されるのでしょうか。

(質問13) 「屈折矯正量」について 《LASEK(laser epithelial keratomileusis)およびepi-LASIKによる近視矯正については近視PRK に準じるものとする》 とのことですが、この場合の《準じる》というのは「同じ」とは違うのですね。では具体的な数値はどうなのでしょうか。

(質問14) 《矯正量の設定に当たっては,術後に十分な角膜厚が残存するように配慮しなければならない》 とのことですが、どの程度が「十分」であるかということについて、数値的な規準を設けなくてよいのでしょうか。

(質問15) 《今後,我が国における術後成績の集積が不可欠であり,これらの結果をもとに適応および矯正量について再検討されるべきである》 とのことですが、貴会が傘下の近視手術実施医師に対して、その医師が行なったすべての患者における術後の詳しい報告の義務づけを実施なさる予定はないのでしょうか。

(質問16) 《3D以内の近視については老視年齢に達したときにデメリットが生じる可能性があること》としてありますが、実際には術後の遠視により若年者でも近見困難となっている例が多々見受けられます。それについて説明しなくてもよいのでしょうか。

(質問17) 術前の検査として、11種類の検査が挙げられていますが、眼位の検査はしなくてよいのでしょうか。斜位などの眼位の異常が眼精疲労を引き起こしていると知らずに、近視を手術したら、眼精疲労が治ると思って手術を受ける人もいるようなのですが。
現に私のところへパソコン作業で目が疲れるので近視手術を受ける予定という相談が来たことがあります。

(質問18) 近視手術の前提として、オートレフやオートケラトによる他覚的な屈折測定の他に、正確な自覚的屈折検査が必要です。その場合、眼科で通常行なわれている単眼屈折検査だけでなく、両眼開放屈折検査(両眼融像下の各眼別一次矯正→両眼調節バランステスト→両眼調節緩解テスト)をも行なうことが望ましいですが、貴会の会員医師の中の近視手術を手がけておられるかたにおいて、それを正しく行なえる医師は何%くらいおられるのでしょうか。

(質問19) ハードCL使用者においては、その使用をやめたら、その後1年以上に渡って近視が1~2D程度進む例が見受けられますが、特にハードCLをやめて近視手術を受けた患者については、近視の戻りの可能性を予告しておく必要があるのではないでしょうか。

(質問20) 近視手術の結果、遠視または遠視性乱視の眼になることが往々にして見受けられますが、その場合、貴会ではそれを「後遺症」あるいは「副作用」であるとみなされますか。

(  )ある一定の度数以上であれば、後遺症や副作用と見なす。
(  )度数に関わらず、後遺症や副作用とは見なさない。
(  )度数に関わらず、後遺症や副作用と見なす。

投稿日:2020年9月5日 更新日:

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現在、とても人気の手術となっている眼のレーシック手術に対する警告の内容です。
今回、レーシック手術を当初認可した国の担当官が、現在ではその手術の危険について語り始めています。レーシックの何が危険なのでしょうか?その内容について、当局ABCニュースのエリザベス・レイミーがインタビューを行いました。

「レーシック手術の落とし穴 “2.0なのに
見えない・・・”体験者が語る“過剰矯正”
の恐怖 」

このテレビ番組は、このサイトにも紹介していますレーシック難民オフ会のメンバー9人のかたがたも東京でテレビ局からの取材に協力されて、フジテレビにより製作放映されたもので、医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が監修されました。

ちなみにメンバー9人が手術を受けたクリニックは品川近視クリニック5名、神戸クリニック1名、錦糸眼科1名、他眼科2名です。

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