公開質問
日本眼科医会 ・ 三宅謙作会長様
2009.11.2 近視手術の後遺症対策研究会 代表 岡本隆博
http://www.optnet.org/syujyututaisaku/
前略
私たちは、ネットを通じて近視手術について広報活動をしているグループです。
貴会の公式ネットサイト(http://www.gankaikai.or.jp/important/lasik.html 2009.11.2現在)における近視手術関連の記事について、疑問点がありますので、ここにお尋ねいたします。
(質問1) 貴HPにおいては眼科専門医とそうでない医師との知識や技術の差を説いておられますが、レーシックに関する手術経験がまったくない医師でも、眼科専門医であれば、その肩書きのもとに近視手術を始めることができるのですね。
(質問2) レーシックを行なっている医師の中で、眼科専門医と、そうでない医師とを分けて、術後の成績や後遺症の治療などのデータを比較したものがあるのでしょうか。
(質問3) アメリカやカナダでは近視手術の術後が悲惨な状態となって自殺した人も出ていると、私はある眼科医師から聞きましたが、貴会ではその情報をどの程度詳しく把握しておられるのでしょうか。
(質問4) ある患者に対してなされた近視手術が成功か失敗かというのは、裸眼視力だけで判定できるものでもなく(受術者個人によって評価が違うでしょう) 屈折度数だけで評価できるものでもなく、一番大事なことは、受術者は、術後のある時期において、メリットとデメリットを秤に掛けて、QOLが総合的に向上したのか低下したのか、ということであり、言い換えれば、どの程度の後悔をしているかどうか、ということです。
そして、近視手術を受けるかどうかを考えている人たちが一番知りたいのも、その点だと思います。 手術によって裸眼視力の向上があれば、その点における満足があるのは当然ですので、そんなことは調査する必要がありません。 また、術後の後遺症がなかなか治らなくて、後悔の方が満足よりも大きいという人もいるでしょう。
ですので、満足度の調査ではなく後悔度の調査がぜひとも必要だと私は思うのです。
貴会に所属の医師による近視手術の予後の全患者を対象とした満足度(後悔度)の調査はあるのでしょうか。
非常に後悔している ( )%
少し後悔している ( )%
まったく後悔していない ( )%
(これを術後、定期的に長期間行なう)
(質問5) 上記のような調査がないとすれば、少なくとも貴会に所属の医師において、そういう調査をなぜなさらないのでしょうか。 近視手術を受けるかどうかを迷っている人にとっては、この情報が最も役に立つものではないでしょうか。
眼科医会の会員でない医師に対しては、それを要請するのは無理だとしても、傘下の会員医師に対しては、それを義務つけることもできるはずではないでしょうか。
(質問6) 貴会は近視手術について、国民に対する説明責任をどう考えておられるのでしょうか。
(質問7) レーシックの術後のいろいろな診療には保険は適用されないとのことですが、それは公金のムダ使いを防ぐという意味で良いことだと思います。
それでレーシックを受けたことを隠して患者が手術を受けた施設以外で診療を受ける場合に、その患者が近視手術を受けたことを言わなければ、保険診療になるのではありませんか?
あるいは、少なくとも貴会の会員医師の間で、患者リストを交換して、そういう患者が隠れて保険医療を受けることがないような対策を取っている、ということでしょうか。
(質問8) レーシックを受けたことを知っていながら自院の患者として獲得したいがために保険診療としている眼科は、貴会の会員医師においてはまったくないという保証はあるのでしょうか。
また、それが発覚したばあいの、会員に対する罰則規定はあるのでしょうか。
もしわかっていながら保険診療とする眼科があるとすれば、それは、医療保険財政資金の不正な利用となるのではないかと私は思いますので。
(質問9) レーシックの術後で、レーシックによるかどうかが不明瞭な症状により眼科受診をした場合に、その診療を保険適用とするかどうかは、どのような手段で判定なさるのでしょうか。その詳しい判定基準を貴会で設けておられるのでしょうか。それとも個々の医師の裁量に任されているのでしょうか。
(質問10) レーシックによる後遺症と認められる診察や治療は、死ぬまで保険が不適用となるのでしょうか。
(質問11) たとえば、レーシックを受けたためのドライアイ用の目薬は、死ぬまで保険が適用されないのでしょうか。
(質問12) 貴サイトに 「手術を行った同一医療機関で一貫して眼の状態を診てもらうことが基本」「目先の費用だけにとらわれず、自分の目は自分で守ると意識するが大切」と書いてありますが、こういう記述をされますと、もし、患者が意図していなかった後遺症・副作用に遭遇し、しかも、自分が手術を受けた施設では満足な対応が受けられなかった場合、その人はどのような施設に行って相談すればよいか、途方に暮れると思います。
こういうことを書かれるのでしたら、少なくとも、眼科医会に所属する医師が行なった手術によって後遺症・副作用が出てその施設でのアフターケアーに不審を感じた場合には、どこに相談すれば良いかの相談窓口などを眼科医会で作って、それを記載しておくなどしないと、行き場を失った患者さんが追い詰められることになると思います。
眼科医会傘下の会員医師の施術により生じた、後遺症・副作用のケアーについては、眼科医会として、責任を持って対処されるために、どのような見解、あるいは体制をとっておられるのでしょうか。
(質問13) 貴サイトにレーシックの後遺症として 「夜間視力の低下」 「術語の角膜の変形」 「術語の角膜の混濁」 「ドライアイ」 「度数変化による視力低下」 などが挙げられていますが、それぞれがどのくらいの頻度(パーセンテージ)で生じるのかという定量的な説明がないと、これを読んでも判断に困ると思います。
たとえば、飛行機事故が起こるのが10万回に1回なら飛行機に乗る人は多いでしょうが、10回に1回なら乗る人はゼロに近くなると思います。
ここで挙げておられる後遺症についての出現比率に関するデータはお持ちではないのでしょうか。
(質問14) 貴会会員の医師が行なった近視手術の予後の実態調査を、第三者に行わせるということについて、貴会としては、受け入れる意向はおありでしょうか。 おありでないとすればその理由をおたずねいたします。