週刊文春(2013年4月11日号)
「やめるタイミングはいつでもあるし、今でもある」 三月二十五日に放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀 特別編』(NHK)の番組の申で本田圭佑(CSKAモスクワ)はインタビューに対してこうコメントした。所属チームでも日本代表でも欠場が続いている現状に対する悲壮な決意を吐露した
その言葉。しかし、それ以上に注目を集めたのが本田の異様すぎる表情だった・・・・・
本田のことをよく知るJリーグ関係者が語る。「インタビューを受けている本田は普通じゃない表情をしていました。右目は瞳孔が開いたかのように見開いており、逆に左目は沈んだように光が薄い。眼力が売りだった彼の精彩のない表情に驚きました」
三月二十六日に行われたブラジルワールドカップアジア最終予選のヨルダン戦では、日本代表は格下相手にまさかの敗戦。コンディション不良のため代表未招集となっていた本田不在の穴が、改めて浮き彫りになった。「同じ二十六日、本田がモスクワから極秘帰国していたことが判明したのです。彼の所属するロシアリーグはシーズン真っ最中。その中で帰国するというのは極めて異例です。本田サイドは『左足首の治療のため』と説明していますが、違和感は拭えませんでした」(スポーツ紙記者)
じつはこの本田欠場にはナゾが多いとされている。
本田は一一年八月に右ヒザの半月板損傷で欠場、手術した過去がある。リハビリを経て復帰、完治したものと思われていたが今年に入って本田は再び調子を崩す。ただ、原因については、「古傷の右ヒザの調子が悪い」、「左足首が悪い」など報道における情報も錯綜。さらには所属クラブのスルツキー監督が「インフルエンザの合併症だ」と〝新説″を唱えはじめるなど、何が真相なのだかわからない状態になっていたのだ。「本田はもう一カ月半以上も試合に出ていない。仮に足のケガならば日本よりも、以前本田が半月板損傷のリハビリに使っていたバルセロナのほうが治療環境はいい。何か別のトラブルがあるのではないかという見方が根強くあるのです」(サッカージャーナリスト)
前出のJリーグ関係者がこう指摘する。「体の頑丈さが売りだったはずの本田が、今年になってから発熱や腹痛などケガ以外の理由でも試合を欠場することが多くなっていた。実はサッカー関係者の間ではこうした体調不良は、彼が受けたレーシック手術の後遺症が原因なのではないかという疑惑が囁かれているのです」
眼精疲労から腹痛や体調不良にも
本田は昨年六月に、「新宿近視クリニック」(東京都新宿区)で視力矯正のレーシック手術を受け、同時に新宿近視クリニックの広告キャラクターに起用されたことが公表されている。報道などによると、本田の視力は手術により〇・四から二・〇に改善されたという。
メガネやコンタクトがなく生活出来るということで、人気となったレーシック手術だが、一方でリスクも大きいということを小誌はこれまで報じてきた。後遺症が出た患者は、頭痛や吐き気、体調不良などに悩まされ続け、それに対して有効な治療法は存在していない。
はたして本田の不調は、レーシック手術に原因があるのか。
レーシックに詳しい眼科専門医師に本田のテレビ映像を見てもらった。「本田選手の眼を見ると左瞼が下がる『眼瞼下垂』の症状が出ている。これが視力のせいなのか、他に原因があるのかは診察しないと判断が難しい。一般論で言うと、レーシック手術で二・〇は視力を出しすぎで〝過矯正″の可能性がある。二・〇の度数に合わせた眼鏡をかけると頭が痛くなるのと同じで、体調に悪影響が出ることはありえます」
レーシック手術の後遺症の発生は、術後すぐに出るケースもあれば、何年もして出るケースなど様々。
術後は順調でも、過矯正による眼精疲労から腹痛や体調不良等に発展するケースもあり、本田もそれに当てはまる可能性はあるという。後遺症に悩む患者の一人である山田功さん(仮名・二十代)は「本田選手の顔つきほ、自分のときの症状と似ている」と語る。「私の場合は過矯正のせいで、瞳孔が開いたように見え、眼の位置が不自然になるという症状が出ました。医者からは、レーシック手術の影響で視軸がずれていると診断され、眼球が飛び出してくるような異常な痛みに苦しみました。特に夜のライトを見るのが苦しかった。本田選手のインタビューも夜にライトの中で行われていたので影響があったのかもしれません」
じつはレーシック手術の後遺症に苦しんでいるスポーツ選手は少なくない。例えばプロゴルファーのタイガー・ウッズはレーシック手術後、視界の乱れや頭痛に悩まされていた。
今年一月にバラエティ番組で衝撃の告白をしたのが、元メジャーリーガーの斎藤隆投手(現・楽天)だ。
「視力が悪くてレーザー手術をしたんだけど、炎症が起きて視力が出なかった。サインが見えるように手術をしたんだけど、サインが見えない、指の本数が見にくくて。実は今も眼の調子が悪い」(一月三日『くだまき八兵衛Ⅹ』テレビ束京)
だが彼らのようにレーシック後遺症を公表している選手はごく稀だ。某メジャーリーガーやWBC代表選手など、後遺症に苦しんでいると噂される有名スポーツ選手は数々いるが、公表はせず密かに苦闘を続けているケースがほとんどだ。
法令違反を指摘きれた看板広告
さらに本田の場合は、新宿近視クリニックの広告キャラクターに起用されているという事情も抱えている。
ある医療関係者はその経緯をこう打ち明ける。「当時、本田選手サイドは複数のクリニックに広告出演を打診していたようです。そのギャラは七千万円だったとも噂されています」
新宿近視クリニックのHPには本田の特設サイトが設けられ、新宿駅等には本田の顔がアップになった特大看板が設置されている。だが、この本田の広告起用、当局からは法令違反だと指摘されていたのだ。
新宿区保健所衛生課担当者が語る。「本田圭佑さんのレーシック広告には問題があると昨年十二月と今年の二月に指導をしたばかりです。看板広告は(著名人を医療機関の広告に起用してはならない)医療法に抵触しますし、HPのほうは厚生労働省が定めたガイドライン上の問題がある。今後も改善されない場合は、告発をするということもあり得ます」
本田のマネジメントを担当するエイペックス広報担当はこう答える。「足首の検査で帰国しておりレーシックの副作用ということは一切ない。違法広告という指摘は初耳です」
新宿近視クリニックは「手術の経過は良好です。看板は保健所の考査を受け認可された物です」と答えた (保健所は認可を否定)。
本田サイドが足首のケガを主張する一方で、報告を受けているはずの日本サッカー協会の原博実・強化担当技術委貝長の言葉は何とも歯切れが悪い。「ロシアのドクターとは連絡を取っていますが、所属チームが公表してないことについて協会は公表できない。(レーシック手術失敗疑惑について)それに関しても、そうだとか違うとかもコメントはできない。彼も悩んでいるし、クラブがそれを発表していないということを考え
て欲しい」
本田が、苦悩の真相を明かす日は来るのだろうか。