近視手術の後遺症対策研究会 代 表 岡本 隆博
近視を矯正するには、大きく分けて
1)メガネ
2)コンタクトレンズ
3)近視手術
があります。
これらの長短について、誰でもわかることはここでは申しません。
あまり知られていないことを申し上げます。
まず、近視手術においては、術後の遠方視での視力がきっちり出ることを狙って、そして、少しくらい近視の戻りがあっても大丈夫なようにというネライもあってのことでしょうが、正視ではなく若干の遠視になるように手術がなされ、結果もそのようになることが往々にして見受けられます。
そうすると、読書やパソコン作業などの近業での眼精疲労や見えにくさを感じたり、ヒドイ場合には、少し近業をすると目の痛みや頭痛や吐き気がするといった症状が出てくることもあります。
現代社会は、大昔とは違って近業が多いので、そういうことになったら、たいへん困ります。
コンタクトレンズでも、たまに近視過矯正があり、その場合には同様の現象が起こることもありますが、その場合には、もう少し度数の弱いレンズに換えればすむことです。
メガネでも、近視過矯正がまったくないとは言いませんが、実際は5mの完全矯正よりも少し弱めの度数に処方調製されることがほとんどです。
ですので、メガネ使用における近業での不具合は、さほど多くはありません。
そして、もしそれがあれば、遠くをはっきり見えるメガネと近業で疲れないメガネを使い分けることも簡単です。
それに関しては、パソコンメガネ研究会 → 【こちら】 もご参照ください。
本やパソコンなどからの活字情報の入手にあたって、近視系の人間は、それを継続的に行なっても遠視正視系よりも疲れが少ないので有利であり、そういう情報を大量に取り入れた人間は知的には相対的に優越性を持つので、現代社会(堺屋太一が言うところの「知価社会」)では有利である、とも言えます。
近視系と一口に言っても、その程度により様々ですが、まず、3D前後までなら、コンタクトを使っている人でなければ、裸眼で通常よりも少ない調節力(近くに対して目の毛様体筋を収縮させてピントを合わせる力)で読書などができるので、メガネのうっとおしさもなくて便利、ということが挙げられるでしょう。
ただし、その程度の近視でもコンタクトで完全矯正をしてしまえば、弱度近視系人間の近業の有利さというのはなくなるのです。
それから、中等度(-3~6D程度)の近視の場合は、裸眼では近業はしにくいものの、コンタクトは別として、低矯正のメガネを掛けてそれを行なえば、やはり、調節力を若干節約した状態で近業を継続できます。
それから、もう一つ、これは普通の眼科や並のレベルのメガネ屋では知らないことですが、近視をメガネで矯正して近業をすると、次のようなメリットがあるのです。
強度近視(-6Dよりも強い)の場合にも、いくぶん低矯正のメガネを掛けている人が多いのですが、そうでなくて、たとえ完全矯正であっても、コンタクトではなくメガネをかけて近業を行えば、メガネ特有の角膜頂点間距離による「調節効果」によって、近距離のものを見るのに調節力を無視できない程度の量分、節約して近業を行なえるのです。
この調節効果の具体的な量については、装用眼鏡の度数、角膜頂点間距離、視距離、によって変わってくるのですが、強度近視の場合、大体0.5~1.5D程度生じると思っていただければよいわけで、だからこそ、強度近視矯正眼鏡の装用者は、初期老視においては、たとえ低矯正のメガネでなくとも近用メガネを必要としない場合が往々にしてあるわけです。(低矯正の強度近視矯正眼鏡の場合には、その低矯正の分と調節効果の分が合計されて調節力の節約ができます)
この調節効果については、眼鏡学校などでは習いますが、分かっていないメガネ屋さんも眼科関係者も少なくありません。
ですので、少なくともこの点においては、強度近視であれば、コンタクトよりもメガネの方が有利であると言えます。
また、近視の度数が強くなるほど、遠用眼鏡(光学中心の位置は遠見の瞳孔距離に合わせてある)で近見をする際には、基底内方プリズム負荷による輻輳(視線を互いに内側に寄せる)節約効果が出てきます。その量については度数や視距離によって変わりますが、通常の近業に要する輻輳量の1~2割程度を節約できます。
これについても、理解をしておられない眼科や眼鏡屋さんが少なくありません。
以上をまとめますと、近視で眼鏡装用の人においては、何らかの理由で近業に有利なことが多く、そのために、活字情報の取り入れにも有利で、ゆえに知的要素の濃い職種においても多少の有利さを持つ、ということは、否定できないのではないかと私は思います。
ですから、これから、知的な要素が重視される現代社会で活躍される若いかたがたには、みすみす近業で不利となる近視手術を、私はお勧めしたくないのです。
なお、近視のメガネ、特の強度近視のメガネの外見上の不利については、強度近視のメガネでもレンズが薄く軽くなる、ウスカル会のウスカルメガネによって、ほとんど解決すると、私は思っています。
ウスカル会公式ホームページ → 【こちら】
メガネの掛け心地の問題(ずり落ちやすい、耳のあたりが痛い)についても、上記のウスカル会の店ならば、心配はないと思います。
そして、コンタクトの装用感が悪くLASIKを考えられている方については、上記のような外見上に不利でないメガネを検討されるか、あるいは、メガネはどうしてもイヤだという方でも、角膜のカーブに合ったオーダーメイドのハードコンタクトレンズ
[例えば(http://www.sun-con.com/custom/index.htm)]や、
角膜での動きが良い、ガス交換をしやすいタイプのソフトコンタクト
[例えば(http://www.menicon.co.jp/products/lense/monthware/index.html/)]
を作成すれば、トラブルが解決することがあります。
LASIKでメスを入れた眼は、もう一生元通りには戻りません。
今、LASIKを考えられている方は、少なくとも、以上のような手段を検討されて、十分試された上で、後々の後悔が生じないように、あらためてじっくりと慎重に検討されてもよろしいのではないでしょうか。