なぜ医師は近視手術を批判しないのか


                近視手術の後遺症対策研究会 代表  岡本隆博

 近視手術を検討している人のなかには、次のように考える人もおられると思います。

近視手術を批判する意見は、匿名のブログや掲示板などではときどきあるけれど、医師がきちんと所属や自分の名前を名乗って批判をしている意見は、めったに聞かない。

 近視手術が本当にやばいものなら、それを手がけていない多くの医師が批判をするはずだ。 だから、近視手術は、ちゃんとした眼科でやってもらえば大丈夫なのだろう。

ところが、この考え方は妥当ではないと私は言いたいのです。
その理由を私の推察で書きますと、下記の通りになります。

(1) 医師同士のかばい合い体質

医療機関(医師)は、その職務の性格上、いつなんどき、医療過誤の事件にまきこまれるかもしれません。
それがあった場合に、それまでにどこかの医師や医療機関を表だって批判していた場合に、今度はその相手からどんな仕返しを受けるかわかりません。
どこの業界でもある「同業者どうしのかばい合い」的な習慣は、医師の世界では、特に強いのではないでしょうか。

しかし、本来一人一人の医師は、単なる「医療業界の中の一人の業界人」ではなく、自己の専門的能力でもって公共の福祉のために貢献すべき、国家資格による特権を持った
「専門職」なのですから、本当は「こういう医療もどきのことはすべきではない」と思えば、それをきちんと声に出して世の中にアピールをすべきなのです。

でも、それをしている人は、ほとんど見られず、いま、ちゃんと名のって、近視手術について部分的にではあっても批判的なことをサイトに書いているのは、私の知る限りでは、大阪市の稲葉医師くらいではないでしょうか。

http://www.ganka.com/topics/04121.html

(2) 医局の医師の中にアルバイト医師も

大学病院の医局の医師は、若い人ほど給料が安く、アルバイトをしないとやっていけない人が多いのですが、そのバイト先で、最近多いのが近視手術の眼科です。
そうすると、大学病院の眼科で、近視手術に批判的なところでも、ちゃんとした形で近視手術を批判しにくくなるのは、当然でしょう。


(3)今後のことを考えて

いま、近視手術に批判的であってそれを手がけていない眼科でも、将来、不況その他の理由で収入が減ってきて、それをカバーするために収入を増やしたいとか、今よりも安全性や精度が高い術式ができたとかの何らかの理由で、いずれ自院も近視手術を手がけるようにならないとも限らないな、と思っている医師も少なくないと思います。

それを考えると、今批判をするのは得策ではない、と思うのは当然でしょう。

それと、個人的にも、たとえば、いまどこかの眼科に勤務していて、そこが近視手術をやっていなくて自分も批判的であるとしても、将来、その眼科や医局をやめた場合に、独立開業ができるとは限らず、よい条件の勤務先が見つかるとも限らず、そうなった場合、給料の関係で近視手術の眼科に勤めるようになることもありえるわけで、そういう可能性を考えると、自分の名前を出しての近視手術の批判などは書かない、ということもあるでしょう。

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参考 : 「医師には言論の自由はない」

「権利」の裏には「義務」があり、「権限」や「自由」の裏には「責任」があります。
「責任」の裏打ちのないものは「自由」ではなく、単なる「勝手」です。

ここでは、自分が名乗ることにより責任を負うということを前提として、公的に思想や表現の自由を行使することを「言論の自由」と言うことにします。

どこかの国と違って、日本の国民には憲法で思想や表現の自由が保証されているのですが、それはあくまで法律や行政の上で、公権力は(公共の福祉に反しない限り)個人の言論には干渉しないということであって、多くの国民は社会的には言論の自由を持ちません。

たとえば、会社員がその会社の悪い裏話を自分の氏名を明らかにして公表するというのは、その内容が事実であり、公益を目的とするのであれば、法律的には問題はないのですが、実際にそれをしたら、その会社を辞めざるを得なくなるでしょうから、やめるつもりでなければ、そういう告発的なことは匿名でしかできません。

しかし、医師は、建前としては、独立した専門職ですので、被雇用者にはない言論の自由があるように思えます。 しかし、実態はそうではありません。

 国公立や民間の病院に勤務する医師はもちろんのこと、開業している独立自営の医師でさえ、学閥、派閥にしばられずに言いたいことを何でも言える人は、非常に少ない……というか、皆無に近いのです。

たとえば、病院に勤務している医師は、へたなことを言うと雇用されなくなるかもしれませんし、独立して開業している医師にしても、患者さんを系列の病院に紹介したりする関係上、系列の病院や大学などに対しては気を使わざるを得ないのです。

ですので、医師の業界で今後も生きていこうとすれば、業界のダンマリ方針に逆らって存分に「言論の自由」を行使する、などということは無理なのです。

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 みなさんに是非お考えいただきたいこと

ところで、みなさんに一つお考えいただきたいことは、それなりの規模の眼科で、たとえば、白内障の手術を手がけていないところは皆無に近いですよね。
ところが一方、近視手術については、相応の規模の眼科(大学病院なども含む)で、それを手がけていないところが多いという事実は、一体何を意味するのか、ということです。

相当な規模の眼科で近視手術をしていないところで、試しに自分の近視の眼鏡処方をしてもらって、ついでに、それとなく近視手術についての意見を聞いて見るのも良いかもしれませんね。

大阪に多根記念眼科病院という、たいへん評判の良い眼科専門の病院があります。
そこは、設備、受け入れ体制(優秀な医師が大勢いる)、実績、医療のレベル、どれをとっても、我が国で指折りといってよい存在の、いわば輝かしい眼科です。

その病院の公式ネットサイトを見ますと、近視手術についての案内も一応はあるのですが、手術の料金が書いていなくて、もちろん説明会をしている様子もなく、要するに、あまり近視手術に熱心ではないのです。

その理由を私なりに推察しますと、「どうしても近視手術をやってほしい、ということなら、やってもいいですけど、あれは術後の後遺症などを考えると、あまりお勧めできるものではありません」ということではないでしょうか。

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その後、K医師への聞き取りにより、下記のことがわかりました。

K  医療機関には提携病院という制度があり、例えばある時までは○○大学病院の提携病院だった病院が、その病院から経済的、あるいはそのほかの事情で提携を切られると、次の提携先を探さなければいけません。
その際に、レーシック反対派の病院であるとなると、多くの提携候補先に嫌われ困ったりしています。

多根記念眼科病院に関する記述がありますが、この病院も積極的にはレーシック反対とうたっていたわけでなく、結局、京都府立医科大学の関連病院になってからは精力的にレーシックを行っているようです。
なので、この記述には誤謬があるように感じます。

大阪では、北野病院、関西電力病院、大阪赤十字病院、大阪市立総合医療センターは、
レーシックを将来も行わないであろう病院です。

これらの病院はどこも、給料が安いことでも評判ですが、それでもそこに勤務している眼科医師は真面目で患者さんに真摯な医師ばかりです。

それから、近視手術を受けて術後に後悔している人の率はどれくらいかとのお尋ねがありましたが、上手く行った患者さんは当方を受診しませんので、施術を受けた分母がわからないので率はわかりません。

ただ、私一人でも、一週間に2、3人ほど、近視手術後のトラブルの相談を受けておりました。
方々のレーシックを行なっている病院をたらいまわしにされた後で、いらっしゃる患者さんがほとんどでありました。
角膜外来担当医は何人もいるので、相当の数になると思います。

投稿日:2020年9月17日 更新日:

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現在、とても人気の手術となっている眼のレーシック手術に対する警告の内容です。
今回、レーシック手術を当初認可した国の担当官が、現在ではその手術の危険について語り始めています。レーシックの何が危険なのでしょうか?その内容について、当局ABCニュースのエリザベス・レイミーがインタビューを行いました。

「レーシック手術の落とし穴 “2.0なのに
見えない・・・”体験者が語る“過剰矯正”
の恐怖 」

このテレビ番組は、このサイトにも紹介していますレーシック難民オフ会のメンバー9人のかたがたも東京でテレビ局からの取材に協力されて、フジテレビにより製作放映されたもので、医療ジャーナリストの伊藤隼也氏が監修されました。

ちなみにメンバー9人が手術を受けたクリニックは品川近視クリニック5名、神戸クリニック1名、錦糸眼科1名、他眼科2名です。

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