岡本 隆博
メガネで近視を矯正する場合、それが低矯正になっている場合は、近くを見る作業をするときに必要とするピント調節力は少な目ですみます。
そして、仮にそのメガネが近視低矯正にはなっていなくて遠用の完全矯正になっていたとしても、その(マイナス)レンズの度数が強ければ強いほど、そして、レンズと眼との距離(角膜頂点間距離といいます)が長ければ長いほど、そのメガネで手元のものを見るのに必要とする眼の調節力(ピント調節能力のことです)は少な目ですむのです。
その現象を専門用語で「調節効果」と言いますが、この調節効果について、ある眼科医が解説をしてくださっています。
↓ このサイトをご覧ください。 http://blog.livedoor.jp/eyedoctor/archives/51718476.html
そして、この先生はここでは触れておられないのですが、通常では近視矯正のメガネは低矯正にする場合が多いので、手元を見るのには、正視の人が裸眼で見る場合や、ほぼ完全矯正のコンタクトで見る場合に比べて、近視でメガネをかけている人は、「調節効果」にプラスすることの「低矯正」……により、よけいに少ない調節力で、いわば「楽に」手元のものを見ていることが多いわけです。
また、中等度までいかない弱度の近視でも、調節効果はないにしても、低矯正のメガネで手元を見ることによる、「調節力の節約」はなされていることが多いのです。
このブログで、松本先生は、レーシックをした眼で裸眼で近くのものを見た場合には、調節効果が使えないから、近見がしんどくなることがあるということを説明しておられます。
私のこれまでの経験では、調節効果についてここまで詳しく把握しておられる眼科医はさほど多くないのが実情で、この眼科医の先生は、眼疾患だけでなく屈折にも強いかたであろうと推察します。
以上をまとめてみますと、レーシックを受けた人においては下記の条件に多く当てはまる人ほど、近見における調節力を節約できない(余分に必要とする)ので、近業による眼の疲れが強くなるおそれが高いと言えるでしょう。
1)手術前は、弱度近視ではなく中等度または強度近視だった。
2)手術前までに使用していた近視矯正眼鏡は、完全矯正ではなく低矯正で、その低矯正の程度もやや大きかった。
3)手術により、弱度近視ではなく、ほぼ完全な正視か、弱度の遠視になった。
4)パソコンや読書など、近くのものを見る時間が長い。
—–了—–