視力回復手術体験記
[事例報告] レーシックのあと、グレアがひどい人
甲府市 メガネ・トケイ ユキエ 雪江美也
雨の日の夜間の運転が怖い
雪江 Sクリニックでレーシックを受けられてグレアに悩まされていたかたの事例です。
3月にレーシック手術を東京のSクリニックで受けたかたです。
男性32歳。職業は公務員です。夜間の車の運転がしづらい。グレアがひどく、雨の日の夜間は特に運転が怖い、とおっしゃっておられました。
一ヶ月、三ヶ月、半年の定期点検があるそうですが、グレアがひどくやや早めでしたが5ヶ月目に点検に行かれたそうです。
手術前に「術後にグレアが出ることがあるけれど、個人差もありなんともいえないが、2~3ヶ月ぐらいで落ち着くようになるでしょう」と言われたそうです。
5ヵ月後の早めの検診でチェックしてもらった時、この時期にグレアが出ているとグレアがなくなることは無いと言われたそうです。
仕事柄、夜勤とか、不規則な勤務があるため、できればCLもメガネもないほうが良いと思って受けられたそうです。
話を聞けば、20台後半~30台前半の同僚のかたで、レーシックを受けている方が3人ほどおられるとおっしゃっていました。
職場以外でも、スポーツ関係の友人には10人前後はレーシックを受けていると聞きました。
「結構調子が良い」という評判を聞き、みんながやっているから大丈夫だろう、という感じだったようです。
このかたの場合、平成元年から当店で眼鏡を作っておられたのですが、最後に2003年(平成15年)に調製した度数は
R=S-6.25 C-0.50 AX90
L=S-7.00 C-0.50 AX10 BV=(1.0)でした。
<2003.6.21 REF値>NIDEK AR-600A
R=S-6.75 C-0.50 AX91
L=S-7.50 C-0.50 AX4 でした。
また、最後に来店されたのは2004年(平成16年)7月でした。
左眼の視力低下を感じられ、検査にお見えになれれたのですが、その時のREF値は
<2004.7.11 REF値> NIDEK AR-600A
R=S-6.50 C-0.50 AX89
L=S-7.50 C-0.75 AX15 でした。
このときは様子を見るということでお帰りになりました。
<2009.9.19 REF値> NIDEK AR-600A
R=S+0.50 C-0.50 AX23
L=S+0.25 C-0.75 AX159
裸眼視力は1.5、調節近点は R 90mm(11.1D) L 80mm(12.5D)でした。
NBV=(0.9~1.0)
スキアーを振ってみると、R眼は普通の反射光でしたが、L眼は角膜中央部が扁平化しいるように見えました。
クリニックからは「角膜が厚いのでもう一回は手術できる」と言われたそうです。
私は「今後の経過を見させてください」と申し上げました。
岡本様の体験例に濃度60%のグレー偏光レンズの処方例が載っておりましたので、サンプルレンズにて見ていただいたのですが、夜間は暗くてどうかなとい うことで、偏光で比較的薄い色のポーラスター2グレーのサンプルレンズがありましたので、見て頂いたところ、このレンズに決まりました。
偏光度が25%ということなので、どの程度のグレアを防ぐ効果があるのかわかりませんが、お客様の納得の上で、この平面レンズを伊達メガネ風に掛けてみるということになりました。
枠はNGKの大きいサイズのセル枠、CUBEクリアーグレーのものをお選びになりました。
このかたはソフトCLの装用者でしたが、手術前に何週間のCL使用不可ということは言われた覚えがないということでしたが、このかたの場合はHPを見て一週間前から自主的にSCLを外されて診察を受けに行かれたようです。
検査も25坪ぐらいの部屋に何台も検眼器が置かれていて、流れ作業的に検査をされたと言っておられました。
手術も二段階になっていて、角膜上皮をめくる作業と角膜自体を削る作業は別の場所で同じく流れ作業的に行われていたとのことです。
私 が口頭で聞いた範囲のことなので、手術内容に関しては厳密さを欠いているのかもしれませんが、大体の流れはそのようのものだそうです。
このかたの場合は近県ということもあり日帰りの手術だったのですが、術後のあまりの痛さに駅でうずくまってしまったそうです。
それでも自宅までなんとか帰り、翌日クリニックに行くと、術後にまったく痛みを覚えない人と非常に痛みのある人といろいろだったそうで、個人差があり仕方がないようなことを言われたようです。
先日も時計の電池交換にお見えになった体育会系の女学生さんが、たまたまこの会のネットサイトの最近の記事を当店の店頭の目立つ位置に張っておいたところ、会計の後にその記事は何ですかという質問があり、話を伺うとSクリニックでレーシックを受けてる友達が多く、誘いを受けているとのことでした。Sクリニックには紹介制度があってかなり勧誘しているようです。
(他の手術を受けたかたからも聞きました)
私は、このホームページの話をし、後遺症で苦しまれている方がかなりいること、まだ手術の歴史も浅く術後の実証データが不足していること、人生は長く今 後眼に何かあった場合(白内障も含め)それに対応できなくなる場合もあるかもしれないことなどを話しまして、このかたはCL装用者でしたが、今どうしても 必要ということでなければ、軽い気持ちで手術しないほうが良いですよ、とお伝えいたしました。
スポーツ関係のかたは近視手術のクリニックから、かなり狙われている感じがいたします。
注意を喚起するものを店頭に置くことは必要だなあと思いました。
一般のかたがレーシックに関して知ることができる情報は、新聞、週刊誌、TV、HPだと思いますが、問題の取り上げ方も偏ったものが多いようです。
このHpで語られているような内容は、他ではなかなか読めません。
真実を伝えることが本当に大切だと思います。
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話は違いますが、「山梨日日新聞」(11/2)特集2版記事です。
(引用はじめ) レーシック手術副作用140件報告 FDA調査
米食品医薬品局(FDA)は、レーザーで目の角膜を削って近視を治療するレーシック手術について、国立眼研究所や国防総省と共同で副作用の実態調査を始めた。
AP通信によると、米国ではこれまでに推計600万人が同手術を受け、95%が結果に満足しているとの学会報告がある。しかし、光の散乱やドライアイなどの副作用も指摘され、FDAは1998~2006年に140件の症例報告を受けたという。
FDAは、大規模調査を段階的に12年まで続け、副作用をもたらすリスク要因を突き止める。
(引用おわり)
600万人に対して140件とは、本当でしょうか。信じられません。
30万人もの人が不満を
岡本 貴重なお話を有り難うございました。
その公務員のかたは、乱視がヘンな変わりかたをしていますね。いまの近視手術の技術では、この程度なのでしょう。あるいは、オートレフやケラトメーターで乱視を測っただけで自覚的に正確な乱視測定ができていなくて、器械は命令したとおりの角膜乱視矯正をしたのだけれど、もともと測定した乱視が正しくな かったのでこういう結果になった、ということなのか……。
それと「L眼は角膜中央部が扁平化している」とのことですが、そうすると、左の角膜をまた削る、というのは、なんだか、こわいですね。
それから、FDAの調査で、600万人のうち5%が不満、というのは、あくまでも医師の報告の上での数字でしょうが、それでも、不満な人が30万人もいることになりますネ。
山川 術後ハロ・グレアの対処について、角膜の専門家であるA大眼科のA医師に聞いてみました。
レーザー照射径を大きくすれば、もちろんグレアのリスクは減るのですが、現在のレーシック界の技術では、どうしても「安全に広く削る」ということができないために、このようなことになるのだそうです。
といいますのも、それはもちろん、レーザー照射径を大きくすると、角膜の切除量が大きくなり、「角膜拡張症」のリスクがあがり、安全性が下がるからです。
さらに、強度近視であったり、もともと角膜の薄い人は「安全に削る」ために、どうしても狭く急峻に削ることになりがちで、それがハロ・グレアのリスクを余計に上げるのだということでした。
強度近視の人や角膜の薄めの人が完全矯正を求めると、角膜の切除深度は深いものとなり、切除面から非切除面への移行部がなかなかなだらかにできずに、段差(ギャップ)ができてしまい、瞳孔径の大きくなる暗所での矯正視力が落ちることになるので、A医師曰く、昼間の視力、夜間視力の両方を再現できるような 色々な照度の照明下での検眼をしてみると、意外に、うす暗がりでは屈折状態の修正のための眼鏡が必要であるケースが多々あり、その矯正をするとぎらつきの 症状が軽減することがあるそうです。
また、不正乱視でもグレアのような症状をおぼえることがあるので、その可能性についても検査した方が良いとのことでした。
その場合は、ハードCLでうまく解決することができることがあるそうです。
また、メガネ屋さんの検眼でも、レーシック眼のトラブルをかかえられるお客さんには一度、これらを試してほしいとのことでした。
それと、暗所瞳孔径は加齢により小さくなるということから、当然ながら、20代~30代で手術を受けた人は、より、夜間のハロ・グレアのリスクを被るリスクが上がるそうです。
そして、逆に、(慰めになるかはわかりませんが)、加齢とともに、若干は今、感じられているグレアはマシになるかもしれないので、(暗所瞳孔径は、30歳から40歳の間の10年で1mm程度縮小する傾向があるそうです)
このグレアがおさまるまでは、安易に再手術をしたりして、少なくとも、さらにハロを増強させることになるようなことはしないで欲しい、とのことでした。
岡本 A医師による詳しい解説をありがとうございました。この解説を読みますと、角膜を削るということそれ自体にやはり何らかの無理があるのかな、と思います。
雪江 「薄暗がりでの屈折状態の修正のための眼鏡」というのはどのようなメガネのことなのでしょうか。低照度下での完全矯正値を求め、それに基づく装用度数の眼鏡を掛けさせるということなのでしょうか。
山川 はい、そうです。そして、今、確認しましたところ、特に、乱視の具合が低照度下の測定だと、なぜか劇的に変わることがあるそうです。
私の友人で、A医師の友人でもあるサーファー氏(http://www.optnet.org/syujyututaisaku/shippai.html)も、半年ほど前のレーシック後、天気や時間帯や体調に応じて、レンズの色の濃さだけでなく、レンズの度数を変えた眼鏡を数本 (十数本?)作成して、使い分けることで術後の不具合を自分なりに対処しているのですが、もともと、わざわざ矯正するほどの乱視の持ち主ではなかったそうなのですが、数ある手持ちのメガネ(笑)の中で、夜間運転用のメガネとしては、昼間はそれを掛けると違和感があるほどの乱視度数(数値は覚えてないとのことです)が入ったメガネが、ぎらつきや夜間視力の向上などの点で、なぜか快適だということです。
雪江 夜間近視ならぬ夜間乱視が出るかたが、レーシック術後でグレアで悩まれているかたの中におられるということですね。
夜間運転用ということでメガネを使い分けるのは大変ですが、それで症状が軽くなるのであれば朗報です。
術後グレアで困っている方が来られたら、低照度下の検眼を試してみます。