公開質問
京都府立医大病院眼科 ・ 木下 茂様
2009.11.12 近視手術の後遺症対策研究会 代表 岡本隆博
http://www.optnet.org/syujyututaisaku/
私たちは、近視手術についてネットサイトで情報公開をしているグループです。
貴眼科のネットサイト(http://www.ganka.gr.jp/senmon/kussetsu.htm 2009.11.12現在)を拝見して疑問に思ったことがありますので、お尋ねいたします。
以下、《 》内は、貴サイトからの原文のママの引用です。
(質問1) 《20歳以上で眼鏡、コンタクトレンズが使用できない方を手術で矯正する屈折矯正手術について手術ができるかどうか角膜形状解析、波面センサーを用いて詳しく検査します。》 とのことですが、20歳以上で、眼鏡やコンタクトが生理機能的光学的に使用できるのに、本人の要望で(たとえば、美容上のこととか便利が悪いとか)近視手術を希望する人には、「使用できない」と判断されるのでしょうか。
それとも、その場合には近視手術の不適応とされるのでしょうか。
(質問2) 《エキシマレーザーによる角膜屈折矯正手術(PRK, LASIK)以外に、あたらしい屈折矯正方法の治験や臨床試験も積極的にとりくんでいます。》
その治験や臨床試験の結果は、すべて公表されているのでしょうか。
すべてまたは一部が公表されているのでしたら、それを我々が見る方法について教えてください。
(質問3) 上記のことがもし一部しか公表されていないか全く公表されていないのでしたら、その理由についておたずねいたします。
(質問4) 貴殿の眼科の近視手術器械の設置には税金が投入されているのですね。そうであれば、それによる手術(いまだに「治験」の域を出ていないでしょう)の結果を細大漏らさず正確に詳しく納税者に報告するべきなのではないでしょうか。
次にhttp://www.ganka.gr.jp/eye/ope_laser.htm(2009.11.6現在)についておたずねします。
(質問5) サブタイトルとして 《レーザー屈折強制》 としてありますが、これは 《レーザー屈折矯正》 の誤植ですね?
(質問6) 上記の質問4に対して「はい」であるとの前提でおたずねしますが、そのすぐ下に 《屈折異常の新しい治療》 としてあります。貴眼科では「治療」と「矯正」という用語をどのように区別して使っておられるのでしょうか。
(質問7) 私は、ほとんどの近視眼の本態は角膜カーブが強すぎるものではなく、眼軸が長すぎることにあると理解しておりますし、貴サイトの説明図でもそうなっております。
そうすると眼軸の長さを変えられない近視手術は「治療」とは言えないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(質問8) 《眼鏡やコンタクトレンズを使用すればはっきり見えるのに、そのような補助具を使わなければ見えにくい状態を屈折異常といいます。》 という説明がありますが、それならば、たとえば、-0.50Dの近視で裸眼で遠見視力が1.2あって補助具なしでも見えにくさは感じない、というのであれば、屈折異常ではないということになりますが、それはおかしいですよね。
専門家向けの学問的な解説ではないにしても、一般人に正しい知識を啓蒙すべき大学病院の眼科のサイトに書く文章としては、この説明は不適切だと思いますが、いかがでしょうか。
(質問9) 《屈折異常は、眼球の大きさに対して、眼のレンズ系である角膜(黒目)や水晶体(眼球内のレンズ)のレンズ度数がつり合っていないことが原因です。》
上記の文は下記のように訂正した方が良いのでないでしょうか。
《屈折異常の原因は、まだ完全に解明されおらず、個々の眼によっても違いますが、眼球の大きさ(眼軸の長さ)と眼のレンズ系である角膜(黒目)や水晶体(眼球内のレンズ)の合計度数がつり合っていない状態となっています。》
(質問10) ここには 《眼鏡やコンタクトレンズを使用することが不自由に感じられる方々の、第3の方法としてエキシマレーザーを使った、角膜屈折矯正手術があります。》 としてあります。
貴眼科では、近視手術はメガネやコンタクトを「使用できない」人だけに認めるのか、それとも、「使用はできるが不自由を感じる」人にも認めるのか、どちらなのでしょうか。
(質問11) 《近視は眼球形態の異常(眼軸の延長)を伴う明らかな病気であり、ある一定の距離以遠を明視することができません。》 とのことですが、屈折異常それ自体は病気(疾患)ではなく、正視ではない一つの屈折の状態である、と見なすのは世界の眼科学の常識であろうと、私は思います。
ここで貴殿が「病気である」と断定されるにあたっては、独特の「定義」があるのでしょう。
貴殿における「病気の定義」をお尋ねいたします。
(質問12) 屈折異常が病気であるのなら色覚異常も病気だということになりそうですが、そうなのですか。 もし、そうでないというのであれば、その理由について、おたずねします。
(質問13) 《Laser in situ keratomileusis;LASIKと言った手術が開発されてきています。この術式では、術後疼痛がなく、視力の回復も早いようです。》としてありますが、レーシックの受術者は全員が術後の痛みとは無縁なのでしょうか。
(質問14) 《その他にも老眼の問題など、近視の治療によるデメリットも確かに存在します》 とのことですが、正視眼でも、老視になります。この記述は、近視手術でほぼ正視になった眼のほうが、元々正視であった眼よりも老視に早くなるとか、その程度が強くなると解釈できそうですが、そうなのでしょうか。
(質問15) 《近視の手術は患者さんの視機能の質を一元的に上げるとは言い難いかもしれません。》 とのことですが、貴眼科では、「近視手術によりメガネなしで生活できるようになる可能性が高いですが、ただし……」の「……」のところを、どのように説明をされるのでしょうか。
(質問16) 《PRK,LASIKの医学的な禁忌になるのは、屈折値の安定しない若年者》 とのことですが、貴眼科では、どの程度の期間の継続的な検査でもって「安定している」と判断されるのでしょうか。
(質問17) 《眼科専門医による診断が不可欠であり、手術および術後治療も眼科専門医によって行われるべきものと考えます。しかし、現時点では、非眼科専門医により行われていることも多く、トラブルが少なくないようです。》 とのことですが、眼科専門医とそうでない医師による近視手術の術後のトラブル率の比較データがあるのでしょうか。
あるのでしたら、その調査方法も具体的に明示して(たとえば、何を持ってトラブルとするか、誰がトラブルと判断するのか等)その調査結果がどうであるかを教えていただきたいと思います。
(質問18) フェイキック眼内レンズの説明のところに《フェイキック眼内レンズとは、アクリソフという素材でできたレンズを、角膜と虹彩の間にある前房に挿入し固定することで、光の屈折率を変え、近視を治療する手術です。》 としてありますが、この文中の「光の屈折率」は誤った用語であり、「光の屈折力」が正しいと思いますが、いかがでしょうか。 それとも、角膜の屈折率が本当に変化するのでしょうか。