公開質問
眼科専門医 屈折矯正手術の会様
20009.11.21 近視手術の後遺症対策研究会 代表 岡本隆博
http://www.optnet.org/syujyututaisaku/
前略
貴会が公開しておられますネットサイト(http://www.eye4you.gr.jp/ 2009.11.21 現在)を拝見しまして、疑問に思った点を、ここに謹んで質問させていただきます。
以下、《 》 内の文は、貴サイトからの原文のままの引用です。
(質問1) 《眼科専門医屈折矯正手術の会はLASIKを行っている眼科専門医の集まりです。当会には長年地域医療の発展に貢献してきた眼科施設が集まっています。》 とのことですが、貴会は会員制(会費制で会計報告もある)の任意団体でしょうか。 それともその他の形態の団体でしょうか。
(質問2) 貴会の事務局は、東京都の 《杉田眼科内》 にあるとのことですが、貴会には代表者はおられないのでしょうか。
(質問3) 貴会には法人格はないのですね。 すると、このネットサイトにおける文責は、どなたが負われるのでしょうか。
(質問4) 貴会は個人が会員になるのでしょうか、法人が会員になるのでしょうか。 あるいは、どちらの場合もあるのでしょうか。
(質問5) 《眼科医は、LASIK手術を安全に受ける事が出来る人、眼の病気や職業上受けてはいけない人をはっきりと選別する必要があります。》 とのことですが、貴会の眼科医が「この人は安全に受けられる」と判断したら、後遺症や合併症が起こるおそれは全くないのでしょうか。 それとも、そうではないのでしょうか。
(質問6) 《この会は、営利目的を排除し、医の倫理を尊重し、近視を治すLASIK手術に真剣に取りくみ出した眼科専門医の集まりです。》 とのことですが、「営利目的を排除」というのであれば、投下資本の回収がおぼつかない程度の手術の数でもかまわないということですね。
それならば、「メガネはうっとおしい、コンタクトも面倒」などの理由で近視手術をしようかな、というような「積極的な医学的適応が認められない」人には「清潔に手術を行なうことにより感染症は防げても合併症や後遺症のリスクはゼロにはならないし、術後近視が進行することもあり、再手術ができないこともある。 なので、眼鏡やコンタクトでいいのでは?」という説得をする(いろんな後遺症の残る割合を数値で述べる)とか、あるいは、過去に起こった「非常に困った例」をいろいろ述べて近視手術をやめるようにし向けて、それでもどうしても近視手術を受けたい人には手術をするとか、術後の長期の追跡調査を承諾した人にだけ手術をするとか、いろんな「治験的な対応」ができると思うのですが、貴会の医師はそういうことは何かなさっておられるのでしょうか。
(質問7) 《医の倫理を尊重》 ということですが、《医の倫理》 とは、何を指しておっしゃっておられるのでしょうか。 また、貴会の医師による近視手術を受けて後遺症で悩んでいる人が来院されたら、その人に、どのように対応するのが 《医の倫理》 なのでしょうか。
(質問8) その手術をしなくとも、特に重篤な病状に陥るわけでもないのであれば、手術をしないで、他の手段で対応することの方が、私には《医の倫理》にかなうことだと思うのですが、いかがでしょうか。
(質問9) 近視手術による後遺症や合併症について、定性的及び定量的な、詳しい情報を公表提供することは 《医の倫理》 にかなうことだと思いますが、貴会のネットサイトにおいては、それが見あたりません。 なぜでしょうか。
(質問10) 《LASIKとは?》 の欄に 《理想的な屈折手術》 としてあります。
LASIKは、手術直後の痛みも少なく、安全性が比較的高く、度数もねらいに近い度数になりやすい、という意味では、好ましいものですが、後遺症や合併症が起こることがあったり、遠視になってしまったり、近視が残って再手術が必要となったりすることもあるものですから、決して「理想的」とは言えないと思います。
近視を矯正するのなら、メガネの方がはるかに安全で矯正度合いも精度が高く、度数の変化や進行に対応しやすいという意味で。私は「理想的」だと思うのですが、いかがでしょうか。
(質問11) 《LASIKとは?》 の欄に 《この像を網膜に当てるためには、角膜を削り屈折率を弱くしてあげなければいけません。》 と書いてありますが、この「屈折率」は誤りで「屈折力」とすべきです。
貴会の医師は「屈折率」と「屈折力」の違いを理解しておられないのでしょうか。
(質問12) 《 PRKでは無理だった強度近視も治せる》 としてありますが、近視による眼底の病変や長すぎる眼軸長は元のままであり、薄くなっていた網膜に生じる裂孔や網膜剥離の恐れなどが減るわけではなく、単に角膜のカーブを変えてピント合わせだけをするのが現在の近視手術なのですから、これは決して近視を《治す》と言えるものではないと私は言いたいのですが、いかがでしょうか。
(質問13) 《会員紹介》 の欄に紹介されている眼科は、どういう選考規準で紹介されているのでしょうか。
(質問14) 《学会報告》 というのが掲載されていますが、貴会会員のみによる研究会や勉強会というのは開催されてはいないのでしょうか。
(質問15) 貴会では会員医師に対して近視手術の予後の後遺症や合併症についての受術者全員における報告を義務付けておられますか。そうでなければ、その理由をお尋ねします。
(質問16) 近視手術によって近視過矯正となって遠視眼になり、裸眼での近見(パソコン作業や読書など)困難がなかなか治らないという状態になることがよくあるそうですが、貴会の会員の施設では、その比率は何%程度でしょうか。
(質問17) 貴会に所属の医師は、同意書は患者さんに渡してから、最低でもどれくらいの日数の検討期間を設定しておられるのでしょうか。
(質問18) 近視手術を受けるかどうかを迷っている人にとって、一番の判断要素は「手術で後悔している人がどの程度いるのか」ということになるはずです。なぜなら、術後に何かの「不満」があっても、それを上回る満足があればかまわないわけですから、不満者の割合がわかっても、それだけでは手術を受けるかどうかの判断基準にはならないのです。
貴会に所属の医師による近視手術の予後の全患者を対象とした「後悔度」の調査はあるのでしょうか。
非常に後悔している ( )%
少し後悔している ( )%
まったく後悔していない ( )% (これを術後、定期的に長期間行なう)
これがないとすれば、ぜひこの調査を実施していただきたいのですが、いかがでしょうか。