公開質問
横浜市・横浜相鉄ビル眼科医院 御中 大高 功 様
2014.11.15 岡本隆博
貴殿が院長をなさっている横浜相鉄ビル眼科医院の公式サイトがあります。
http://www.aikeikai.jp/ (2014.11.15現在)
このサイトに、(引用はじめ)屈折矯正手術(LASIK(レーシック)、phakic IOL(フェイキックアイオーエル、フェイキックIOL)をお考えの方へ(引用おわり)
http://www.aikeikai.jp/ref.html (2014.11.15現在))
というページがあり、そこに、貴殿(大高医師)が自らはレーシックを手がけないでいることの理由が書いてあります。
(引用はじめ)
今のところ、当院ではLASIK(レーシック)をやる気はありません。
というのは、レーシックはほんとうに良い手術だと思うのですが(それが証拠に、大高院長も安田医師も自分自身が受けていますし、大高は術後20年近く経っていますが、受けたことを本当に良かったと思っています)、ある一定の確率で、手術はばっちりなのに気が狂うほど辛いという患者さんが出てくるからです。
術者が悪いわけではありません。
もちろん患者さんが悪いわけではありません。
神様が、「わけのわからんスイッチ」を入れるのです。
実は白内障手術なんかでも、ある一定の確率で、手術は完璧なのに、どうしても見えが悪いと延々とぶーぶー言っている人がいます。
ある程度以上手術経験のある術者は全員、「あるあるあるある」といいます。
白内障手術では、もともとが見えないので、ぶーぶー言ってても、手術前よりはましでしょ~、と言って終われます。
ですが、レーシックを受けるような、もともとが良い(矯正視力が良い)人は、そうはいかないのでしょう。
自分はこれを、「わけのわからんスイッチ」が入った、と言っています。
「わけのわからんスイッチ」はある一定の確率で入り、また誰に入るか予測がつきません。
神経質の人に入りやすい傾向はもちろんありますが、そうでもない人に入ることもあります。
これが、レーシックと一線を置きたいと感じている理由です。
もう一つ大きな理由があります。
レーシックは初期投資と維持に非常にたくさんのお金が必要となります。
また、まだ日進月歩で、ある程度時間がたったら設備を大幅に入れ替えたりする必要もあります。
病院も基本営利企業(法律上は営利企業であってはならないと書いてありますが、実際は全員営利目的でやっているので、自分はそれを隠していない)である以上、多額の投資を回収するために、多くの患者さんを手術に持ち込みたいと考えるわけです。
自分はそういうのが嫌いなのです。
(引用おわり)
ここで重要なのは、以下の2点でしょう。
(1)確率は?
その「わけのわからんスイッチ」が入る人の確率はどうなのか、という点。
それが、仮に0.00001%くらい・・・とかで、飛行機での死亡事故が起こる確率程度だというのであれば、近視で困っている人ならレーシックをやってみようと思うでしょうし、逆にその確率が仮に9%、とかいうのであれば、十分に怖い手術なので、誰もレーシックを受けなくなると思います。
貴殿は、そのおよその数値を知っておられるのか、ご存じないのか・・・・
どうなんでしょうか。(質問1)
(2)シロかクロか、ではない
レーシックのあとの後遺症の出方は実に人さまざまで、その満足感や後悔の度合いにも、シロかクロか、とは簡単に区別できない個人差があるわけです。
しかし、この貴殿の述解では、そこのところがあまりにも単純化されすぎているように思いますが、いかがでしょうか。(質問2)
【参考】
レーシックを受けた人の予後の状況は、「満足」「まあ満足」「どちらとも言えない」「やや不満」「非常に不満」と、実にいろいろですが、たとえば、下記のブログの筆者などは、かなり悲惨な例でしょう。 http://somei2012.hatenablog.com/entry/2014/08/29/205645
(2014.11.15現在)
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また、貴殿は貴殿の眼科でホールICLによる近視手術を担当する安田佳守臣医師については、下記のページで次のように紹介されています。
http://www.aikeikai.jp/omi.html (2014.11.15現在)
(引用はじめ)
しかし、屈折矯正業界はどんどん盛り上がり、オペ件数がどんどん増えていきました。
その中で、日本で有数の屈折矯正手術経験(今日のことは知らないが、一時期日本一)を持つ安田先生は名医として引く手あまたで、一緒に仕事をする時間はありませんでした。
時は移ろい、レーシックに関する数々の悪い噂が報道されるようになりました。
みなさん仕事人、元仕事人でしょうからわかっていただけると思うのですが、どんな業界にも、良い業者と悪い業者がいます。
一部の悪い業者のひどい仕事が大々的に報道され、あたかもその業界全体が悪いようなイメージを持たれて、まじめにやっている業者まで大打撃をこうむることがあります。
レーシックはまさにそうでした。
レーシック希望者が減り、安田先生のスケジュールに少し余裕ができました。
(引用おわり)
要するに、レーシックは、ここ2、3年で、その危なさが一般に知れ渡ってきて、敬遠される傾向が顕著になってきたので、これまで近視手術を本業や副業にしてきた医療(?)施設は、レーシックよりも後遺症が少な「そうな」ホールICLに活路を見出そうとしているということなのでしょう。
もちろんですが、ホールICLも、まだその実績が少ない手術ですので、いま、それを受ける人は、臨床試験の患者みたいなものなのかもしれませんね。
(それなら無料にしてもらいたいものです)
なお、この安田医師がおられる「SBC新宿近視クリニック」に、私は以前に公開質問を出しましたが、返事は来ずじまいでした。
http://www.optnet.org/syujyututaisaku/shitumon-20.html
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それと、貴殿が安田医師を紹介するページに
(引用はじめ)
安田先生と鄭先生の3人で時々飲みにいったりしつつ、自分と鄭先生は、レーシック希望者をおみ(岡本註:安田医師のこと)にたくさん紹介して、みんなに感謝感激されてきました。
(引用おわり)
と書いてありますが、安田医師に感謝されたことの理由は、
おそらく、「高価な機械の償却とクリニックの利益増に協力したから」でしょう。
そして、大高医師自身が手がけないでも、大高医師が紹介したレーシック施設でやってもらったレーシックで「わけのわからんスイッチ」を入れられてしまった人は、手術を受けたところや、執刀医師にだけでなく、紹介者である貴殿に対しても恨みの感情を持つのではないでしょうか。
ですから、貴殿が、自分もその気になればできるけれど、ときどき気の毒な患者さんが出るということで自分自身は手がけたくない、そういう手術を、昵懇の医師のところに紹介する・・・・という行為を何度もされたということについて私はかなり理解しにくいのですが、もし私が理解しやすいようなご説明がおできになるのであれば、それをお聞かせいただけないでしょうか。(質問3)
貴院のサイト http://www.aikeikai.jp/ (2014.11.15現在)の冒頭に
(引用はじめ)
当院医師、スタッフは、患者さんをすべて自分の家族と考え、自分が受けたいと思う治療をお勧めすること、
(引用おわり)
と宣言してあります。
貴殿が安田医師のところへレーシック手術を紹介した人たちも、貴院(貴殿)へこられた患者さんですから貴殿にとっては、家族同様の大事な人ですよね。
その大事な人たちに対して、貴殿は「わけのわからんスイッチ」について、まさか、まったく言及しなかったということはないでしょうが、どういうふうな説明をされたのでしょうか。(質問4)
レーシックの始まりのころに貴殿がその手術を受けられたのは、「わけのわからんスイッチ」のことをまだご存知なかったからですよね。(質問5)
なお、下記の質問は、レーシック被害者のAさんからです。
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大高先生に質問します。
下記の記述が貴HP(2014.11.15現在)にあります。
(引用はじめ)
みなさん仕事人、元仕事人でしょうからわかっていただけると思うのですが、どんな業界にも、良い業者と悪い業者がいます。
一部の悪い業者のひどい仕事が大々的に報道され、あたかもその業界全体が悪いようなイメージを持たれて、まじめにやっている業者まで大打撃をこうむることがあります。
(引用おわり)
ここでおっしゃる「悪い業者」というのは、例えばこれから集団提訴を受ける予定の、品川近視クリニックや錦糸眼科のような業者を指しているのではないかと思います。
だとすると、ここで一つ気になってくるのは貴HPでベタ褒めされている安田佳守臣医師の経歴です。
安田医師はその集団提訴されている悪い業者である品川近視クリニックで長いことお仕事をされていますよね。
下記、その時代のパンフレットの写真があるので掲載させていただきます。
レーシックにはよい業者もあれば悪い業者もあるとのことなのですが、昔の経歴が集団提訴をされる予定のクリニックである安田医師は大高様から見られると「よい業者」と「悪い業者」のどちらに含まれるのでしょう?(質問6)
また、レーシックは現在まで日本で失明した例はないと業者側は盛んに宣伝していますが、そうでない例も何例か存在します。
例えば目薬などでミスを怠り、さらに患者が何度も検査してほしいといったのに放置して未来ある患者を失明させ、その後特に処置を講じずに別の病院に回すような医者は、大高先生はどのように考えられますか?(質問7)
普通、患者から見れば、よい業者・悪い業者以前にそのことを事前に知っているのであれば「絶対に近寄りたくない医者」であると思うのですが、大高先生にとってはそれは「よい業者」なのでしょうか?(質問8)
お返事お待ちしています。
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岡本
この質問者であるAさんは、レーシック被害者なので、本名を名乗ると今後心無い医師からどのよう仕打ちを受けるかわからないので、不本意ながら匿名で質問をしておられます。
この質問の文責は岡本に帰しますので、お返事は岡本までお寄せいただけましたら幸いです。
返事の送り先 DQA02134@nifty.ne.jp
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大高医師から回答が来ました。
岡本さん、こんにちは。
自分のホームページに注目していただき、ありがとうございます。
いただきましたご質問に対しまして、以下、短いものもありますが、すべて気持ちを込めて回答してみました。
(質問1への回答)
ごめんなさい、確率に関しては知りません。
自分が自らの手で手術をやっていたらデータを取ることもできると思うのですが、自分はレーシックの手術医ではなく、自分のところには問題を感じた人がたまに診察を希望していらっしゃるのみなので、全体に対する割合がわかりません。
無知をお許しいただければ幸いです。
(質問2への回答)
その点はまさしくおっしゃるとおりだと思います。
正直に申しまして、自分はただの「レーシックに興味がある人のためにレーシックを自分で受けた体験記をホームページで公開している眼科医」であって、「レーシックの手術医」でないために、レーシック後の問題に関しては自分は岡本さんのように詳しく分析できていませんので、非常につたない表現になっていることをお詫び申し上げます。
自分としては、被害者の方々を擁護するためにと思って書いた文章なのですが、それによって被害者の方々が嫌な思いをされることがあるならば修正、ないしは削除しますので、ご教授ください。
(質問3への回答)
筋の通ったご質問ですね。
ここは重要なので、医療業界に詳しい岡本さんはもちろんのこと、大方の読者の方はご存知と思われることなのですが、そうでない読者の方々にもよくわかるように、業界での慣習から詳しく話したいと思います。
● 医師は患者さんから治療の希望があった場合、自分がやっていない治療ならば、その治療における最適と思われる医師に紹介状を書くのが使命であり、少なくとも自分はそのようにしています。適切な医療機関がない場合はとても苦労するのですが。
● 医療業界での慣例として、患者さんを他の医療機関に治療目的で紹介する場合、紹介元はその治療のリスクを患者さんに通常説明しません。
リスクを説明するのは紹介先の仕事です。もちろん患者さんから聞かれたらまた別ですが。
これは紹介元が無責任なわけではありません。知識が少ないからこそ紹介するわけで、知識が少ない医師が説明すればするほど患者さんに混乱を生じさせるだけなので、あえて説明をせず、知識が豊富な紹介先に任せるわけです。
たとえば自分のところには、いろんな医療機関から白内障手術目的の患者さんを紹介していただいています。
紹介元の先生は、通常白内障手術のリスクの話を全くせずに、紹介状を書かれます。
多くの患者さんは、むしろメリットのみを聞いていらっしゃるぐらいです。
そういう患者さんがうちにいらして、そこからうちはリスクを説明します。
中には「リスクを受け入れられないので手術は受けられない」と言って帰られる患者さんもいらっしゃいます。
ですが、それはそれでよいわけです。
紹介元でいろいろ説明されていると、うちでの話と食い違った場合にややこしいことに
なりますから、うちとしては紹介元でリスクの説明をしておいてほしいとは思っていないし、むしろリスクに関しては何も話さないでもらったほうがやりやすい、というわけです。
余談ですが、「信頼できる先生だから、大高先生の言うことをよく聞くように」とかだけ話しておいてもらえると一番ありがたいですね。患者さんは紹介元の先生を信頼されていますから、その先生に褒めてもらっていると、以降の治療が非常にスムーズにいきます。
なので、自分が他の先生に患者さんを紹介する時も、そのようにやっています。
● もう一つ知っておいてほしいことは、自分は、レーシックを考えていない、ないしはレーシックに対して躊躇している人に、自分から強く勧めたことは人生で一度もないということです。
患者さんであれ、知り合いであれ、家族であれ、紹介状を書く過程は、基本以下の
ようになります。
患者さん:「先生、レーシックを受けたいので、紹介状を書いていただけません
でしょうか」
大高:「指定の病院はありますか?」
患者さん:「先生のお勧めのところにお願いします」ないしは、「○○クリニックにお願いします」
大高:「では自分のお勧めのところに紹介状を書きますね」ないしは、「では、○○クリニックに書きますね」
● 上記前提の上で、以下に自分の紹介歴を書きます。
平成15年に今の病院を始めて以降レーシックが社会問題になって通常のニュースで
取り上げられたりするまで、レーシック希望の患者さんを複数の医療機関に紹介しま
した。 正確には数えていませんが、100人ぐらいでしょうか。
上記慣例に従い、リスクを説明するのは紹介先の仕事であると考えてきましたので、紹介時には通常リスクもメリットも何も説明していません。
患者さんに「先生はレーシックをどう思われますか?」と聞かれた場合、「自分は受けて良かったと思っていますけど、人に無理に勧めるものではありませんから、自分で
リスクをよく考えて受けてくださいね」と話してきました。
幸い、紹介した患者さんの中で再会する機会があった人にはすべて「受けて良かったです。紹介してもらってありがとうございました」と言われています。
ですが、レーシックによる後遺症が社会問題になりました。自分はそのことをヤフーニュースかテレビのニュースかで知り、驚きました。医師といえども、自分が手掛けている手術の情報以外に関しては、知るスピードは皆さんと大差ありません。
その時、自分は「さすがにこういう状況になったら、ホームページにもリスクに関して
書いたほうがいいし、紹介状を書く場合は患者さんに一言注意喚起しないといけない
なぁ」と考えました。
まず、ホームページに関してはそのようにしました。
しかし、紹介状に関しては、ニュース以降、びっくりするぐらいパタッと紹介希望者が
いなくなり、記憶にある範囲では紹介状を書く機会すらありません(もし記憶漏れで、
きわどいタイミングで1通ぐらいあったらすみません)。
● なので、ご質問に対する回答は、
「まさしく岡本さんのおっしゃるとおりです。社会問題になる前は自分も問題を知らなかったので、紹介状を書いていました。社会問題になって以降は、記憶にある範囲では
紹介状を書いていません」
ということでお容赦いただければありがたく思います。
(質問4への回答)
このご質問に関する回答も、前のご質問に対する回答と同様、「まさしく岡本さんの
おっしゃるとおりです。社会問題になる前は自分も問題の大きさを知らなかったので、
自分自身が受けて良かったと思っている治療でもありますし、家族であれ、家族同様に
大切に思っている患者さんであれ、希望があればまったく同様に紹介状を書いていました。
実際、自分の実の姉がレーシックを受けたいから紹介状を書いてほしいと言ったので、
紹介状を書きましたし、その時も、何も聞かれませんでしたので、リスクもメリットも何も説明していません。姉は手術を受けて良かったと今でも申しております。
社会問題になって以降、すなわち、「わけのわからないスイッチがあるんだ」と自分が気が付いて以降は、記憶にある範囲では、家族、患者さんにかかわらず、記憶にある範囲で誰にも紹介状を書いていません」
ということで、ご容赦いただければと思います。
ちなみに私は、母親の白内障手術を両眼とも自分でやりましたが、「矯正視力0.1なんやけど、手術したほうがいいかなぁ?」と聞かれた時には、「あたりまえやろ」としか言いませんでした。患者さんには常々もっと丁寧に話していますので、説明なんかは家族はむしろ患者さんより下の扱いですし、家族からもそのように指摘されています。もちろん手術内容に差をつけることもありません。そんな感じの先生方も多いようです。
(質問5への回答)
はい、そのとおりです。
(質問6への回答)
昔の経歴が集団訴訟をされる予定のクリニックであるというだけでは、自分の中での、
その先生に対する良し悪しを決めるに足りる情報ではないので、回答なし、とさせてください。
自分は「医師個人(例:○○医師)」と「医療業者(例:医療法人社団○○会 ○○クリニック)」を分けて考えています。
自分は、医師個人や医療業者が患者さんに提訴をされたとしても、その事で即その医師個人や医療業者が悪いと断定しないようにしています。訴訟がおこったなら、その行方を見守り、そこで明らかになった事実を吟味し、その医師個人なり医療業者なりの評価を決めるようにしています。
なので、「提訴される予定」だけならば、「評価できない」となります。
ということで、ご理解いただければ幸いです。
(質問7への回答)
それが事実なら、とてもひどいことだと思います。
(質問8への回答)
それは「悪い医療業者」ないしは「悪い医師」ないしはその両方か、だと思います。
(2014.11.22)
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大高医師からの回答に対する岡本の所感と意見
レーシック関連で私から公開質問を受けた医師にしては珍しく、総じて率直な回答をいただきましたが、それはおそらくご本人がレーシックをなさっているのではなく、単に
レーシック希望の人を知り合いの眼科へ紹介してきただけ、という、いわば気軽さによるものであろうと思います。
以下に、いただいた回答の一部に対する私の意見を書きます。
(質問2への回答について)
例の「わけのわからんスイッチ」の記述のところをどのように修正や削除をするか、ということについては、修正も削除もしなくてよいけれど、下記のことを書き加えておかれたらよいのではないかと思います。
○
そのスイッチが入る確率については自分は知りませんが、下記のサイトをご参照いただくのもよいかと思います。
近視手術の後遺症対策研究会 http://www.optnet.org/syujyututaisaku/
○
危機管理とは、最悪の事態を想定して、最善の対策を講じること、だそうです。
レーシックにおける問題点はいろいろありますが、私が思う「その中での最大の問題点」を、ここに書きます。
レーシックによって起こりえる合併症や後遺症については術前に示される「同意書」に
一応の記載はあるのですが、口頭での説明は、多くの場合、実にあっさりしたものか、
ほとんどゼロに近い、ということです。
* なぜそうなのかということの説明は、いまさら不要でしょう。
しかし、病気ではないものに医療侵襲を、眼という極めて感度の高い重要な器官に加えるという行為において、その程度の事前の警告だけでは、不十分過ぎると私は思います。
1)施術側に何らかの不備があった場合だけでなく、施術側の技術に特に落ち度があったとは考えられない場合、における、その手術後の最悪の結果はどんな状態なのか。
2)術後に後悔している人のパーセンテージがどの程度なのか。
それらのことを患者に知らさずに、手術をしてしまうという実態が、最大の問題点だと
私は思っています。
上記の1)や2)について、レーシック希望者が知ったら、おそらく希望者はほとんど
いなくなり、レーシック手術は営業的に成り立たなくなるものになってしまうでしょう。
ということは、レーシックは伝えるべき情報を秘匿したまま、という、不公正な手段の上に成り立ってきた、金儲けを目的とした医師による「悪い」手術だといえるのではないでしょうか。
なお、この手術がアメリカ発祥で、まずそこで普及したというのも、ある意味示唆的です。
すなわち、アメリカは民主主義国家というのは看板だけであり、実態は金主主義国家
だからです。
(質問3への回答について)
レーシックの手術と白内障の手術は、まったく性格が違うものですよね。
健康保険が利く「疾病の治療」と、保険も利かない「疾病ではないものへの手術」とは
かなり違うものだと言うほかはありません。
* 屈折異常は疾病ではない、ということについては下記の拙著書で私が詳しく論じています。
『眼科処方箋百年の呪縛を解く』 http://homepage1.nifty.com/EYETOPIA/books.html
それと、相当の資本投下をした限りにおいてはできるだけ手術を多くしたい、と営利優先で勢い込んでやっている医師が、普通の疾病の治療のときのような、リスクの説明をちゃんとするかどうかということの推察を、大高医師があまりなされなかったのではないかという疑問が残ります。
ですので、普通の疾病の治療の場合の紹介と同様の型式や内容で他院へのレーシック患者の紹介をしてよかったのでしょうか、という疑問を私は持ちます。
また、レーシックをしたあとで、具合が悪かった人がいたとして、その人がわざわざ紹介者である大高先生のところへ不平を言ってくるということは少ないでしょう。
(言ってみたところで、先生が気を悪くするだけでどうなるものでもない、と思うでしょうから)
また、ある時点では喜んでいたとしても、そのあとで後遺症が発生しているかもしれませんし、いま大丈夫でも、今後どうなるかはわかりません。
(術後かなり年数がたってから、レーシックの後遺症が出てくる人もいます)
それでもし、大高先生に、やる気と時間があるのであれば、これまでに先生がレーシック眼科に紹介された患者さんのすべてにアンケートを送って、「あなたは、いま、術後どのくらいの期間でどういう状況ですか」と、尋ねてみられるのもよいのではないかと思います。
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蛇足
どんな組織や集団においても、優秀で向上心豊か、という人たちが約1割、落ちこぼれ的な人たちが約1割、凡人があとの8割……だそうだ。
たとえば、眼科医の中でも、人間的にも能力的にも優れている人は約1割、普通の人
(自分の収入も大事だけれど、やばいことには手を出したくない。仕事は惰性でやっている)が約8割、1割は金儲けのためなら、違法でなければなんでもする・・・という人たち、だと言えるかもしれない。
ところが、医師との付き合いが浅い人においては、医師であれば、みな能力的にも人間的にも立派……という幻想を持っている人が意外に多い。
(だから医師を信頼してレーシックを受けたのだろう)
私は4年前にがんを発症してから多くの医師と接触したが、やはり、上記の割合(1:8:1)はそのとおりだと感じた。
普通の医師の知的情報視野は、たいていは思いのほか狭く、たとえば、がんの患者を
持っているほとんどの医師は、自分のやっているがん治療以外のことはあまり知らないし、興味もなさそうである。
眼科医にしても同様で、ドライアイの血清点眼を知らない眼科医も居た。
薬や医療一般のことについても眼科医の知識は穴だらけだし、自分が専門とする眼についても、知らないことがけっこうあるのだ。
また、たとえば、一般の人は、眼科医なら眼鏡処方はちゃんとできるし、メガネについても詳しいことを知っていると思っているが実際にはそうではない。
それについては、下記のサイトを見ていただければ、よくわかっていただけるだろう。
ユーザー本位の眼鏡処方を推進する会 http://www.ggm.jp/ugs/
ゆえに、眼科医でもレーシックをやっていない医師なら、その詳しい実態を知らない医師も少なくない。
だからこその、大高医師による、レーシック眼科への患者紹介であったのだろう。
たとえば、仮に、美容外科と整形外科を混同して鼻を高くしてほしいと思っている人が、整形外科へ行ったとしよう。
しかし、当然そこでは隆鼻術はやってくれない。
それで、「ではどこか良い美容外科を紹介してください」と言ったとして、その整形外科は紹介するだろうか。しないと思う。
なぜなら、美容外科の手術の実態を、おそらく整形外科医はかなり知っているし、美容外科の医師を尊敬している整形外科医というのは、考えにくいからである。
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レーシック難民Aから大高先生のご回答への所感
大高先生、お返事どうもありがとうございます。
大高先生にお返事をいただいたことで、自分の長年の疑問に対して回答をもらえた
ような気持ちになりました。
その疑問と言うのは、「レーシックをする医者や、屈折矯正を薦めてくる医者と言うのは一体どのような思考回路と精神構造を持ってそのようなことをしているか」という疑問です。
表立ってそのようなことを聞くことはなかなかできないのですが、大高先生のHPの記述を何度も読み返したり今回のご回答を考えることによって、それが明確になり、これからどうしていくべきかクリアになりました。
本当にありがとうございました。
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岡本
大高医師には、医師からの回答に対する私やAさんからのコメントに対して反論なり
コメントなりがあれば、歓迎し、それをここに追加して掲載する旨を伝えてあります。
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大高より
大変申し訳ございませんが、自分は加害者ではありませんので、レーシック被害者の方に対して何かを言える立場にありませんから、回答は岡本さんからのご質問に対するもので終了とさせてください。 ご理解いただければ幸いです。
(2014.11.30)
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岡本
大高医師は「自分は加害者ではない」とおっしゃっています。
大高医師の紹介によりレーシックを受けて「被害者」となった人が、今現在いるのか
いないのかは不明ですが、
もし、「被害者」がいたとすれば、大高医師は、間接的な加害者であると、言えるのかもしれないと私は思います。
なぜなら、もしも大高医師が、知り合いのレーシック医師の言うことを鵜呑みにすることなく、レーシックの安全性や合併症、後遺症についてよくよく調べて、その実態を、
自分に対してレーシック眼科への紹介状を求める患者さんたちに知らせていれば、そういう「被害者」が生じることをおそらく未然に防げたのではないだろうかと思うからです。
(上記の私のコメントに対して大高医師がまたコメントをお寄せになるかどうかは、まったく大高医師の自由ですが、もしまた当方に大高医師からコメントが来ましたら、それはここに掲載します)
(2014.11.30)
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大高
いろいろありがとうございました。
自分の病院では屈折矯正手術をやめることにしました。
岡本さんにいろいろ気づかせてもらったおかげで思い切ることができました。
岡本さんにはほんとうに感謝しています。
(2014.12.7)
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