▶「頭痛、ドライアイ、不眠・・・」 レーシック後遺症の大半は”過矯正”が原因
日刊ゲンダイ(2010年6月24日号)
以下、日刊ゲンダイ 2010.6.24(13面)より引用
いまや年間40万人以上が受ける近視矯正手術のレーシックは、広く定着してきたものの、術後に目や体の不調を訴えても適切な治療が受けられない”レーシック難民”が急増しているのも事実だ。
「手術機器の進歩などにより、技術的なトラブルはほとんどなくなりましたが、最近、顕著に増加しているのが客観的検査データ等に表れないタイプのトラブルです。
すなわち『目が疲れやすい』 『頭痛がする』、重度のドライアイ、不眠などの症状で、中には日常生活に支障をきたす重篤な患者さんもいらっしゃいます」
こう警鐘を鳴らすのは、わが国のレーシックのパイオニアである東京・浅草の「楽視眼科」顧問の吉田憲次医師だ。
「トラブルの大半は、近視を必要以上に矯正してしまった『過矯正』が原因です」
つまり、無理に遠方視力だけを向上させたことから、他の視力=近方視力や深視力、暗視力、動体視力、色覚とのバランスが崩れ、目の自動調節機能をはかる調節筋に過重な負担がかかることから生じるのである。
数多くの手術こなすための”分業”レーシックが拍車かける
問題の根底には「矯正視力1.5の現実」という視力の商品化と、それが誰にとっても良い視力だという誤解が存在する。
「加えて、一部大手レーシック専門眼科クリニックなどでは、数多くの手術件数をこなすため、術前・術後の検査や診察などを担当する診察医と、実際にレーザーで手術を担当する執刀医を分け、分業体制の下でレーシックを行っていることが、過矯正の急増に拍車をかけています」 その結果、執刀医が術後の診察にかかわることが少ないので、トラブルの原因を探って改善をはかるというフィードバックがかかりにくい。
「しかも、術後の経過を常に同じ診察医が診るというわけではありませんから、トラブルに対して適切なアドバイスや治療を受けることが難しく、”レーシック難民”となる患者さんが後を絶たないのです」
過矯正による重篤な症状を治すには、近視矯正とは正反対の遠視矯正をはかる再手術が必要となる。
角膜周辺部をレーザーで削って中心部を盛り上げる、いわゆる近視方向への「戻しのレーシック」を行わねばならない。
「術後、目に違和感を覚えたら、すみやかにレーシックを受けたクリニックへ相談に行くことです。もしラチがあかないときは、他のクリニックでセカンドオピニオンをとるとよいでしょう」
レーシックによる過矯正で重篤な症状が出たときは、治療するのにおカネも時間も労力もかかる。そのことを踏まえたうえで、信頼できる眼科医のレーシックを受けるべきだろう。
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