月刊 『宝島』 (2014年4月号)
月刊『宝島』がレーシックを強く批判
岡本 隆博
月刊『宝島』(2014.4月号)に、現状のわが国でのレーシックを強く批判する記事が掲載された。 ↓
この記事は、「レーシック難民を救う会=被害者の会」 http://lasikmutualjapan.jimdo.com/
のスタッフのかた(この記事の中では「白石奈津子さん」という仮名になっている)が協力したもので、わが国における現在のレーシックに対する疑問点が、かなり鮮明に浮き彫りにされている。
内容は、読んでいただいたらわかるように、実態に即した妥当なものなのだが、惜しむらくはタイトルがイマイチである。
《レーシック「4割不具合」は本当なのか》(原文のままの引用)というタイトルなのであるが、このような叙述のタイトルは、記事を読むと、実は本当ではなかった、ということになる場合によく使われる叙述であるから、タイトルだけ読んで中身を読まない人には
「ふうん、『4割不具合』はウソだったのだな」と思われてしまう恐れが多分にある。
今回の記事の内容であれば、たとえば『レーシック「4割不具合」は大げさなのか』 としたほうが、内容とマッチしたタイトルであったといえよう。
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この記事に関連して言っておきたいこと
私はこのたびの宝島社の原稿に協力させていただいた者です。
この原稿では文字数の問題もあり、述べることのできなかったことについて書いてみたいと思います。
特にレーシックをお考えの方に読んでいただければ幸いです。
■ 美容系クリニックの腐りきった構造
レーシックの問題点の最たるところに、レーシック業界の腐りきった構造があります。
特に美容系クリニックでは腐敗具合は頂点に達しています。
レーシック被害者の会のスタッフをしていると患者さんから病院の対応を良く聞くのですが、本当にやりたい放題だと思います。
例えば業界最大手のSクリニックは、クレームを言ってきた患者を黙らせるために天下りしてきた元暴力団対策の元刑事が勤務しています。
この元刑事=クレーム対策職員の事はSクリニックで再手術に失敗した患者さんから聞きました。
また、レーシック業界周辺で甘い汁を吸う業界関係者達は、掲示板などで患者を罵倒し、患者を心身ともに苦しめます。
よくあるパターンは「手術を受けたのはあなたの自己責任」「同意書をきちんと読め」「リスク込みで手術を受けたのは自分の責任」と罵倒してきます。
そして肝心の手術はどうかと言うと、文字通りのベルトコンベア式で患者の生活と視力との関係をまるで考えていない数値での手術が多いように感じられます。
例えば手術の前に「PC作業が多いです」と説明している事務職の女性を-10D以上削って1.5にしたり(この女性はその後PC作業ができなくなり失職しました)、「PCなどの近見作業の多い職種の人間に1.5の視力は必要ない」というのは、ちょっと目に対して理解がある人間なら誰でもわかるはずのことなのですが、とにかく最高視力で削っています。術前カウンセリングも何もあったものではありません。
このような現状を見ていると、美容系のクリニックでレーシックを受けるのは、その後がもしうまくいくならさておき、後遺症が出たときのことを考えると到底お勧めできる選択ではありません。
■ 他のレーシックをやっている病院はどうか
ではそのほかのレーシックをやっている病院はどうかと言うと、これも被害者の会で情報を得ている限りではお勧めできるものではありません。
大学病院やレーシックの草の根的クリニック、地方の家庭的な雰囲気の眼科でも被害情報が入っていますし、後遺症に対する医者の対応の仕方も、残念ながら美容系と大差ない場合が多いです。
具体的には自分の病院で不具合を出した患者がセカンドオピニオンを受けに行くのを「それならもう二度とここには来ないでもらいたい」と阻止しようとしたり、「手術は成功している」と最初から宣言して患者の訴えを無視したり、重篤な後遺症の一つである円錐角膜を出したりなどのケースがありました。
■ まとめ
私は被害者の会のスタッフとしてどんな人にもレーシックをお勧めしていません。
その理由は第一にレーシックが技術として例え数字を出すものであっても、失敗した時の後遺症が半端無いからです。
そしてレーシックを勧めないもう一つの理由は、上記に述べたとおりレーシックをしているお医者さんでまともな人に滅多にお目にかかったことがないからです。
現在レーシックを受けたクリニックで「あなたの精神がおかしい」と言われてしまっている患者を診てくださるのは、レーシックをしていないお医者さんや眼鏡士さんたちが多いです。
レーシックのクリニックのFBやネットに流出しているお写真を見ると、あまりにつながりがありすぎて笑いが出そうなのですが、美容系クリニックも安心レーシックネットワークもみんなお友達なことが分かります。
この件に関しては以下ブログがとても詳しいのでよろしければご覧ください。
「レーシックは土曜日に」 http://lasiklove.hatenablog.com/
安心レーシックネットワークの代表とSクリニックの最高顧問である元日本眼科学会会長が一緒に写っている写真にはげんなりしました。
http://lasiklove.hatenablog.com/entry/2014/03/11/210529
このブログを読むと(読まなくても)残念ながら日本の眼科においては「眼科医が大切なのは患者の生活よりも医者同士の横のつながりと懐具合」と言う印象が私にはぬぐえません。
そしてこの印象が払拭されない限りは「私はレーシックを誰にもお勧めしませんし、この手術のリスクの啓発にこれからも励んでいきたいと思います。
最後に「それならレーシック以外の術式なら安全なのか?」と言う質問に対してですが、被害者の会ではレーシック以外の屈折矯正手術、例えばフェイキックやラゼック、RK などについても被害情報をいただいています。
これらの手術は技術的には数値の出る手術です。
ただ、日本の眼科業界はこれら屈折矯正手術の不具合や合併症について、一部の合併症以外の合併症については全て不定愁訴と片付けて研究してきませんでした。
例えば急激な屈折度数の変化による複視などは、白内障手術などでも頻発し、眼科が診ないのならどこが診るの?と言うくらいの単純な合併症なのですが、それすら「あなたの精神が術前からおかしかった」「専門外なので診れない」と片付けてきました。
眼位異常は術前調査で振り分けられるのに、その検査をしているクリニックはいまだ見たことがありません。
屈折矯正手術全般における追跡調査もほぼ無いといってよいでしょう。
そのような体質の業界が次々と新商品を繰り出すように新しい屈折矯正手術を売り出している状態なので、この状況が改善されない限り私は屈折矯正技術(と言うかそれをやっている医者のクオリティ)に関して全く信頼することもありませんし、これからお勧めすることも無いでしょう。
レーシック難民を救う会 ボランティアスタッフ