■ 仕組みと運営方法

では、我々ネットチェーン「眼鏡志」の仕組みと運営方法について、説明をいたします。

全国のメガネ店のなかで、まじめで技術の面で優れた店が、以前から日本眼鏡技術研究会(任意団体:会費は年間12000円))という組織を作っていました。

その中で、メールで情報交換をしたい店の人が集まって、日眼研ML(メーリングリスト)を作り、毎日いろんなことを井戸端会議で話し合っていました。
(その中で出た話で有益なものは、日本眼鏡技術研究会の機関誌に掲載されます)

そして、その研究会の代表でありMLの世話人でもある岡本隆博氏が、強度近視の人でもレンズが奇跡的に薄く軽くなる枠「ウスカル枠」を、全国のメガネ店が地域分担して販売して喜んでもらおう、ということで、MLメンバーから有志を募って2005年の夏に始めたのが、ウスカル会です。

ウスカル会は10店前後でスタートしたのですが、その効果が知れ渡るにつれて参加店が増え、2008年の9月現在で全国に48店に増えています。

https://usukal.biz/index.html

● ウスカル会などのネットチェーンにおける主要な構成要素は、下記のようなものです。

1)土台となる全国組織
土台となる全国組織があり、その中の有志によるネットを利用したコミュニケーション組織がないと、ネットチェーンはスタートしにくいです。

2)母体となるML
その組織の中の有志により、まずML(会員だけが参加できる閉鎖的な掲示板やミクシーのようなものでもよい)を作って活動します。そのMLが、ネットチェーンの母体です。
新しくネットチェーンが始まるたびに、この母体MLで参加者を募集するわけです。

3)リーダー
学級民主主義や烏合の衆の寄せ集めでは、こういう組織はうまく機能しません。
人格識見、能力人望をそなえ、会のために公平無私で望み、会のために自分の時間を消費することをおしまない優れたリーダーがいて、会員が協力的に参加するということが必要です。

4)公式HP
これは絶対に欠かせません。ユーザー向けの公式HPは、各会員店のすべてのHPからのリンクをもらうので、はじめて公開されてから短期間の非常に検索に強くなり、たとえば、いま、「強度近視 メガネ」と検索を掛けると、ウスカル会の公式HPは、グーグルでもヤフーでも、トップにランクされています。

しかし、こうなるためには、HPを自ら作って公開でき、検索エンジン対策も上手にできるメンバーがいないと、ネットチェーンは成り立たないのです。

5)クローズドHP
会員だけが見れるクローズドHPに、会のMLで出た話の中から有益な情報をプールしていきます。
新規入会の会員にはそのHPをひととおり見てもらいます。そしてクローズドHPには、会の規約も必ず載せておきます。

6)各会員店のHP
各会員店の一般ユーザー向けのHPに、その店が参加しているネットチェーン関連の記事を入れて、その記事のところから公式HPにリンクをかけます。
そうすると、たとえば、新潟県の人が大阪の会員店のHPの中の強度近視関連の記事を見たとしても、そこからリンクで会の公式Hpへ跳び、さらにそこから、新潟県の会員店のHPに行く、ということになります。

なお、HPを持たない店でも、その他の入会条件を満たせば、準会員として、会の公式HPのリストに掲載してもよいのです。

7)会のML
ネットチェーンは、どの会も、その会独自のML(メーリングリスト)を持ち、全メンバーが毎日のように井戸端会議をして、情報交換や勉強会をやっています。
これも、閉鎖型の掲示板やミクシー型のネットサイトでもかまいません。

皆で常に話し合いをするからこそ、マンネリから脱してどんどん内容の濃い会になっていけるのです。

そして、会における通知はすべてMLで行いますので、会の中での通信費はかからないようになり、会費なしで運営していける、まことに珍しいチェーン組織となるのです。

8)指定問屋
会がオリジナル商品を出している場合には、指定問屋が要ります。

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なお、ネットチェーンがテーマとする商品やサービスはスキマものですので、1店あたりの商圏は広く、顧客密度は薄いものとなります。

そのため、ネットチェーンにおける会員店の数は全国で100店以上は無理だと思われます。

また、ネットチェーンがテーマとするのは漠然とした抽象的なもの(たとえば「デザインの良いメガネ」)ではなく、間口がせまくても具体的にわかりやすいもの(たとえば「丸メガネ」「跳ね上げメガネ」など)が向いていますし、最寄り品ではネットチェーンは難しく、買回り品が向いています

ですので、一つの業種でも、いくつものネットチェーンが存在し得るのです。

それと、大型店よりも店主自身ががんばってお客さんの相手をしている小規模小売店がネットチェーンの会員に向いています

なお、ネットチェーンに外見的に少し似たもので、ある商品のメーカーのHPに、そのメーカーの商品を扱っている店の一覧表が掲載されているというのがありますが、あの場合には、会員相互の密接なコミュニケーションもなく、ただ、メーカーが得意先サービスの一環として名簿を載せているというものにすぎないので、あれによる顧客吸引効果はあまり期待できないのではないでしょうか。

また、我々の業種で次にどういうテーマのネットチェーンを組もうか、というときのテーマの見つけ方については、候補商品や候補サービスについて、関連のキーワードで検索する検索者数の多さと、それによりヒットするサイトの多さとのかねあいで、考えていくわけです

そして、テーマが決まったら、ライバル店との差別化をどのようにしていくか、という点に智恵を絞ります。

他にはマネのできない、マネにくい、価値ある商品やサービスでの差別化ができるのなら、成功の可能性が高くなります。