[ML談義] なぜローカルな団体が社団法人に?

赤松
先日福井の小売組合の新年会で、眼鏡協会から副会長の内藤賢一氏(例年は会長の黒田氏が来られるのですが)がお見えになりましたので、いろいろ伺いました。

東京の「GLASS GALLERY 291」はオ-プン43日で718万の売上、843人の来店者で、購入者の平均単価59,237円、1日平均165、314円の売上、家賃は220万円/月。

福井県知事としては、「地場産業の眼鏡(眼鏡フレ-ムを部品とは認識しておらず)を世界に発進したく、まずは、東京にショ-ル-ムを儲け、多くの人々に紹介したい」とのこと。
また、全国の小売の皆様にも来店いただき、最新の商品を見ていただくのが狙いだそうです。

私からは、「GLASS GALLERY 291」のオ-プンの案内をいただけなかった事を尋ねたところ、小売店様に案内する予算がなく、以後考慮するとの事でした。

また、協会が地場産業の育成で目指すことの疑問点(フレ-ムメ-カ-の直販、ネットでの通販)等をお話しました。

本日協会のHPを見ましたところ、岡本さんの要望が効いたらしく、まだ一部(長井工業)の通販は残っているのですが、とにかくHPは改善されました。

http://www.megane.gr.jp/index.html

Q&Aには「視覚機能の問題に真摯に取り組んでいらしゃる「視覚機能研究会」という会があります」と紹介もありました。

少しでもいい方向に進めばうれしいです。

岡本
あの店でそれだけ売れれば、行政の援助がなくても家賃や人件費などがまかなえるかもしれませんね。
それで、小売店への通知がなかったのは、メーカーが直販をするのか、という反発をおそれてのことだと私は思います。

県や市が地場産業を資金的に応援するのはよいとして、私が一番疑問に思うのは、福井県眼鏡協会が、おそらく経済産業省(以前の通産省)からだと思うのですが、社団法人の認可を受けている点です。

社団法人は、税制面で優遇されるし、国が認めた公益法人としての信用もつきます。
ですので、同じ業界で同じ業態であれば、二つとは認可されません。

たとえば、眼鏡技術者の団体はすでに日本眼鏡技術者協会が社団法人になっていますから、たとえば、日本眼鏡学会が社団法人になりたいと言っても構成メンバーや活動内容が似ているので無理なわけです。

枠の製造や卸の団体では、福井県眼鏡協会がすでに社団法人の認可を得ているのですから、同種のほかの団体は、いくらがんばっても社団法人の法人格はもらえないわけです。

であれば、社団法人は当然のことながらローカルな存在であってはならず、広く全国から会員を集めるべきなのです。

しかし、福井県眼鏡協会は、その名前からしても、いかにもローカルなものですし、実際のところ、福井県以外の製造や卸社に対して入会を誘いかけているということもないようです。

福井県眼鏡協会は、それまでにいくつかあった産地の各種団体が一本化したものだそうです。

そういういきさつからして、その本部が福井にあるのも、その会長を福井県の人間が務めているのもそれはよいとして、しかし、そもそも「福井県」という名前をつけたままで社団法人の認可がおりること自体もおかしいし、その名前の示すとおりに、全国的な組織になろうともしないのはおかしいと私は思います。

福井県眼鏡協会の場合、社団法人(公益法人)であることでもって県や市も(税金による)援助をしやすいということもあると思います。

しかし、社団法人である以上は、名前を「日本眼鏡製造卸業協会」と変えて、全国から会員を募るべきであり、それをしないのならば、社団法人を返上すべきであると私は思います。

岡本
今日当店に来た、ある枠メーカー(この社団法人の会員)の営業の人は、協会は年間に3000万円も援助金をもらっているのなら、そのお金であんなアンテナショップなど作らずに、我々会員に給付金として配ってほしいです。我々はいまホントに苦しいのだから、と言っていました。

その気持ちはわかります。そして、あの店に会員が出展するには出展料が要るので、当社は出展していません、とも言っていました。

 

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(社)福井県眼鏡協会 坂野専務様

2008.2.3       眼鏡技術者のナマの声の主催者  岡本隆博

当方のネットサイトにて、貴社団法人が全国的な団体として活動を広げようとしておられないことについて、私が疑問を呈上しましたところ、さっそく、丁寧なご説明のお手紙をいただきました。

話の内容がプライベートな性格のものではまったくないので、そのまま公表しても良さそうに思われますし、貴殿としても、それにご異存はないものと思いますが、一応は私信としていただいたものですので、原文のままここにすべてを転載するのはやめて、全文の中から私の判断でキーポイントとなる要旨のみを抽出して下記に書きます。

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1)福井県眼鏡協会は、中央官庁から社団法人を認可されたのではなく、 県から社団法人を認可されたものである。(昭和57年9月24日)

2)社団法人福井県眼鏡協会は公益性のある団体としてこれまで認められてきたが、業界を代表する唯一の組織として設立されたものではないので、その他のこの業界の団体も公共性のある法人格取得は可能であり、主務官庁によって認められることはこれまでも可能であったと考えられる。

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これを拝読しまして、私が改めて社団法人について調べてみましたところ、社団法人は、必ずしも中央官庁の認可によって設立されるとは限らず、地方自治体による認可で設立されることもあったようです。

これについては私の認識不足であり、まことにお恥ずかしい次第です。

ただ、次のことは、私の認識のとおりであったようです。

3)日本ナニナニ協会と名乗るような全国的な業界団体は、同じ業界で同じ趣旨(あるいは、業態)である団体は中央官庁から、ただ、一つだけが認められる。
ただし、同じ業界でも片や製造、片や小売り、というような場合は、管轄の官庁を違えたりして、全国的な団体がどちらも社団法人として認められることはある。

* たとえば、社団法人日本眼鏡技術者協会は、厚生労働省の認可による社団法人ですが、それとは別に、経済産業省の認可でこの業界の製造卸が全国的な団体で社団法人となることはあり得るわけです。

このことは、地方自治体が認める社団法人においても、同様であると推測します。
すなわち、貴県においては、ほかにもしメガネの製造や卸の団体ができたとしても、そこはもう県からは社団法人としては認められないでしょうが、メガネの小売の団体なら、業態が違うので社団法人となれるかもしれませんね。

ところで、私が腑に落ちないのは、先日私が貴協会の理事のかたから聞いたことですが、

東京都に籍を置くメガネの製造卸の一部の企業が貴協会の会員になっておられるそうで、その理由は展示会を開催したときなどは、補助金を受られるから、とのことです。

そこでお尋ねします。

(質問1)貴協会は、県外の同業者の製造卸の企業に対して、貴協会への入会を広く呼びかけておられるのでしょうか。

(質問2)もし、広く呼びかけておられないとしたら、どういう規準でそういう企業に対して貴協会への入会を勧誘されるのでしょうか。

また、入会申し込みがあった場合に、どういう審査基準で入会を認めておられるのでしょうか。

(質問3)貴協会を社団法人として認め、いま、年間に3000万円もの援助をしている
県としては、協会の会員として県外の企業を入れることについて、どのような見解を持っておられるのでしょうか。

(質問4)貴協会の会員で、貴県以外の場所に籍を置く企業はいま何社あるのでしょうか。

(質問5)それら県外の企業が、展示会開催などの場合に、協会から(協会を通じて福井県から)の援助を受けたことは、これまでに何回くらいあったのでしょうか。

あるいは、まだ一度もないのでしょうか。

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これをさっそくナマ声サイトに掲載し、同協会の黒田会長に掲載のことをお伝えしたところ、(2008.2.4の夜)さっそく翌朝に返事がメールで届いていました。

お早うございます。
立春も過ぎ漸く寒さも和らぎ春の兆しが見えてまいりましたが、我々福井の眼鏡枠産地に取りましては大変厳しい時代が続くようであります。
つい先だっても、セル枠メーカーで業界中位のあるメーカーさんが自己破産となりました。
我々も人事では済まされない思いでおります。

ところでネットによる販売については、協会、商工会議所、鯖江市など関連する公的サイトにおいては自粛及び削除をお願いし、会員の皆様にも月例会において岡本様よりのご意見もご紹介し自粛を求めたところであります。

また、GG291のオープンに際しては、限られたスペースでもあり支援補助をいただいた県や市の御当局の皆様を中心に、日眼協の白山会長や日医光の横山会長(代理出席)様などのご出席を頂き、こじんまりとやらせていただきました。

4月の7-9日に新年度の新商品発表会及び受注会として、小売り店様への商談会を開催する予定で現在準備を進めております。
詳細が決定次第眼鏡新聞などでご案内の予定を致しております。

福井県眼鏡協会の社団法人格の件ですが、20数年前のことで詳細には存じませんが私個人の感覚では、福井県内のローカルな法人でありこうした例はそのほかにも色々とあるのではないかと思います。

例えば各地区の社団法人格を持った法人会や青年会議所などであります。
又、会員の資格は福井県内に本社または事務所を置く眼鏡関連の企業を対象としており、一部の企業は東京に本社を置いている企業もありますが福井においても事業活動を行っているということで入会しているのではないかと思います。
又、詳しくは東海専務よりお答えするものと思います。

本年は当業界に於いても本当に大変な一年となるのではないか?
メガネワク産地が本当に生き残っていけるのか?
企業倒産が頻発するのではないか?等、年初より疑心暗鬼の中でスタートを致しました。

しかしながら国内生産の95%以上を生産する産地であり、メガネワクのみならず色々な
サービスやご提案をして参りました。しかしながら今日産地の巧みの技がどんどんと消滅
し成り立たなくなってきていることも事実であります。

我々としては、何としても100有余年続くメガネワク産地を守って参りたいと必死になり、取り組んでいるところであります。

今後共によろしくご指導ご教授願います。 取り急ぎ思いつくまま書き留めました。
まとまりの無いご報告になりましたがお許しください。
岡本様の今後益々のご健勝をご祈念申し上げご挨拶と致します。

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岡本です
さっそくご丁寧なお返事をいただきまして、まことにありがとうございました。
もう少しおたずねをいたします。

(1)県から貴協会への補助金は、地場産業の保護育成発展を目的とするものだと思いますが、貴協会の会員の中には、原産国表示に関する法律での定義による「メイドインジャパン」以外の商品を発売しておられる企業もあると承っております。

その場合、貴協会においては、その社が発売する商品のうちメイドインジャパンの商品が何割を下回ってはいけない、それを下回ると協会をやめてもらう、というような、規準は決めておられないのでしょうか。

(2)貴協会の協会員が発売する商品のうち、およそ何割程度が、メイドインジャパン以外のものか、ということを貴協会としては把握しておられるでしょうか。

この(1)と(2)に対するご回答は、必ずしも会長様からでなくとも、別のかたからでもけっこうです。

なお、東京に在籍の企業については一部の「福井でも事業活動をしている」ところが、貴協会の会員となっているとのことですが、それでは具体性に欠けると思いますので、前回の私からの質問に対する、より詳しいご回答をお待ちします。

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黒田
【当協会には生産者、卸業者、輸入業者など色々な立場で眼鏡業務に取り組んでおられる企業が参画いたしております。眼鏡関連業務を執り行っていると言う事でその内容は問いません。】a

又、産地から出荷される眼鏡枠のうち福井製枠、輸入枠の比率は不明です。
【逆に市場において小売り店様が直接仕入れをされる輸入枠を含め市場のどの程度が国産で又どの程度が輸入枠なのでしょうか?】b

我々から見ていると70パーセント以上が輸入枠のようにも思えるのですが?
とにかく産地は瀕死の状態です。小売り店様を始め業界のご支援なくして産地は再生できないでしょう。何れ産地は消滅し輸入枠だけが大手を振って流通する事になるのでしょうか?そうしたことで本当に業界が良くなるのでしょうか?

【この問題は我々だけの問題でなくメガネ業界全体の問題でもあるように思えるのですが
如何でしょうか?】c

ご教示を願いたいと存じます。

                  (文中の【 】と記号は、岡本がつけました)

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岡本
【 】aは、前々回の私からの質問1と2に対するご回答のようでもありますが、その回答としては、回答のポイントがずれていますので、あれに対する回答とは別の、会長様の
私見であると解釈しておきます。

あの2つの質問と前々回の5つの質問への具体的な回答は、またあとで(特に期限は定めません)よろしくお願いします。どなたからでもけっこうです。
総論的な逃げの回答ではなく、各質問番号に沿った、個別の回答をお願いします。

【 】bや【 】cに関して申しますと、前回の私からの二つの質問で私が問題にしているのは、貴協会が県から地場産業としての補助金を受け取りながら、その趣旨に添わない
商品で営業をしている協会会員がいることに対する疑問です。

ですから、公金からの補助をもらっていない我々小売店における、メイドインジャパンに
対する姿勢は、今回の私の疑問点とはまったく関係のない話ですし、それについては、それぞれの店の方針で仕入れをしておられるのだと思います。
そういうことについては規制も何もできないわけで、仕入れるそれぞれの店の意思に任せるしかしかたがないわけです。

ただ一つ、私の感触をご参考までに申し上げておきますと、日本製以外の眼鏡枠の品質に疑問を持つメガネ店では、特に原産国表示の義務つけがなされて以後、日本製のみを仕入れているという店や、日本製以外は特に仕入れを厳しくしている店が増えているのではないでしょうか。

ただし、価格訴求を全面に打ち出している店は別としまして。

【たとえば、当店の場合、普通の小売の他に、年間千本前後のオリジナル枠の発注を福井県産地にいたしておりますが、(もちろんメイドインジャパンです)つい先日も、一山の丸メガネをウン百本作り、黒田メッキさんで、他社ではできない絶妙のアンティークカラーに仕上げていただきました。ステキな色に仕上げていただいて、たいへんうれしく
思っております。】d

*(上記の【 】dは、あとで追加で送ったもので、それとは入れ違いに、下記のメールが来ました)

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黒田
業界では生産者、流通業者、加工業者などその業種は色々であり行政よりの支援は生産者だけではなく輸出業者、輸入業者、部品加工業者などあまねく全ての業者に対しそのときの状況により補助をいただいております。GG291については向こう3年の重点事業として行政より支援いただく補助金のうち約三分の一程度が当てられます。
又その事業に参加する業者に対しては応分の負担及び責任が課せられます。
あくまで二分の一、三分の一の補助であり無償で行われるものではありません。

*(そのあとで【 】dについて、下記のメールが来ました)

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黒田
有難うございます。
当社は業界の皆様に育てていただき今日を迎えた会社であり下請け企業であります。
そうした意味では協会長などと言うのはとんでもない事であり固辞申し上げたわけであり
ますが、止む無く協会長をお引き受けせざるを得ない羽目となってしまいました。

そうした中で、下請けの分際で生意気な、と言った事で色々とご批判もいただいておりますが、皆様におはかりをし業界のため少しでもお役に立てるのであればということで取り組んでおります。

これからも少しでも業界にお役に立てるよう、色々と新しい表面処理を提案し諸外国の商品とは差別化できるよう、やはり日本性は素晴らしいねと言ってもらえるよう頑張って参る所存でございます。
宜しくご鞭撻ください。

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岡本
http://optomo.biz/
私はこの丸メガネ研究会の代表者ですが、KAICHIの色を、黒田メッキさんにお願い
したのです。
こういう深みのある色は、貴社ならではのものですね。

http://www.optnet.org/net-chain/

このネットチェーンにおいて、各研究会の代表としていろんなオリジナル枠を作っていま
して、現在までにすでに何千本も作っていますが、すべてメイドインフクイです。

貴協会の会員のアイメイトの浅田社長さんや、サンオプチカルの竹内社長さんにも、いろいろとお世話になっております。

                                             (2月5日夜)

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この続きは「 こ ち ら 」をご覧ください。

投稿日:2020年10月18日 更新日:

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