学会が送った認定眼鏡士への入会勧誘は、こういう内容だった
学会がSSとSSSの認定眼鏡士に昨年12月に送った入会勧誘の手紙が、ある人物から
faxで送られてきた。
その入会勧誘書の差出人は、「日本眼鏡学会理事長 大頭仁」 と 「(社)日本眼鏡技術
者協会会長 津田節哉」の連名となっている。
趣旨としては、公的資格の確立のためには「眼鏡学」の確立が必然で、それには学会の多くの眼鏡技術者を包括することが求められている……とのことだが、それを誰が求めているのかは明らかではない。
そこでSS級以上の認定眼鏡士に対していま改めて学会への入会をお勧め(あるいは「依頼」か)するということで、次のようなことを「いまだけ」の特例として書いてある。
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平成21年の3月までに入会すれば、年会費8千円、入会金5千円、合計1万3千円を、
ジャスト1万円にする……という期限付きの値引き。
そして、会員の特典として、下記のことが挙げてある。
a.学会年次セミナーやIOFTでのオープンセミナーに無料で参加できる。
b.学会発行の「眼鏡学ジャーナル」を年二回配布。
c.12の専門部会(屈折、両眼視研究部会、眼鏡レンズ研究部会、眼鏡枠研究部会、ファッション研究部会、ロービジョン研究部会など)に所属し、研究活動やセミナーに参加できる。
d.「日本眼鏡学会会員証」(A4サイズ及び名刺サイズの2種)を配布。
このうち、a.とb.は、これでよいが、c.はおかしい。なぜなら専門部会というものは組織図にあるにはあるが、どこもまったく休業状態で、その部会の全員に参加を呼びかけて集まりを持って何かをしたということは、私の知る限りでは、これまでに皆無だと思う。
これに関してこれまでにやったことはというと、ある人物のある発表について、それが会誌に載ったときに、申し訳のように、そのタイトルの頭に○○研究部会、と入れておく、ということくらいである。
実質まったく機能していないのが、この研究部会である。
だから学会の会員で自分が何の部会に所属しているかを失念してしまっている人も多いと想像する。 例えば、私は自分が実際に通信教育もやっていることから、教育部会に所属を希望し、それが認められているはずなのに、これまでに、一度もその部会長から召集が来たことがない。これはまったく、食えぬ餅を見せているとしかいいようがない記述である。
それと、d.の会員証であるが、これはもう「これがあると商売に有利でしょ」ということを匂わせて相手の欲につけこんだ入会勧誘策としか言いようがない、品のないやりかたである。
権威と品格を尊ぶべき「学会」がやるべきこととは到底考えられない仕業である。
これはまさに、目的のためならなりふりかまわぬというやりかたであり、こういうことをして、新規入会をあおった学会というのは、世界広しといえども、この日本眼鏡学会だけではないだろうか。
なお、この勧誘の手紙は認定眼鏡士のSS級とSSS級の人にのみ出されたのであるが、
認定眼鏡士の各個人の氏名や住所などは協会のHPでも公表されているが、個人の級別については公表されていない。
しかるに、この勧誘は、協会会長と学会理事長との連名で出されたのであるから、学会側も、当然ながら認定眼鏡士のうち、SS級とSSS級の眼鏡士の名前を把握しているので
あろう。
しかし、それはおかしくないだろうか。
公益法人の会員に対して、公益法人が持つ個人情報のうち、公表をしていないものについて、それを任意団体である学会にたやすく開示してよいのであろうか。
この勧誘はおそらく軍資金が豊富な協会の予算消化も兼ねて、協会の費用によりなされたのであろうが、それなら、この勧誘の差出人は、協会会長の名前だけにすべきなのである。
それと、どうでもよいことであるが、学会の機関誌『眼鏡学ジャーナル』Aug2009のTopics欄のタイトルは「入会キャンペーンで総会員数500人突破へ」というもので、その本文に、次の記述がある。
《2008年12月末から、(社)日本眼鏡技術者協会の認定眼鏡士SS級、SSS級会員を対象に入会斡旋キャンペーンを実施した結果、4月末現在、322人の次期新会員が誕生し、会員数は500人を越えたことが報告された》(原文のまま)
キャンペーンという言葉は、学会にはなじまないように私は思うが、まあそれはともかくとして、おかしいのは「入会斡旋キャンペーン」としてあることである。
新規の入会者を得るのは協会ではなくて学会なのであるから、協会の会誌に「斡旋」と書くのならわかるが、当の学会の会誌に「斡旋」はないでしょう。
このTopicsの筆者の頭の中では、学会と協会の区別がついていないのだ、この筆者は「学会員」ではなく「協会員」なのだということが、この記述から私には見てとれるのである。
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認定眼鏡士と学会員にアンケート
そこで私は、日眼研MLで下記のアンケートを実施した。
MLには当然ながらあの入会勧誘を受けた人もいるわけであるから。
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日本眼鏡学会は、昨年12月に認定眼鏡士のSSとSSSの人に学会への入会勧誘の手紙を出しました。
このMLのメンバーでそれを受け取った人もおられると思いますが、そのかたにおたずね
します。
(1)今年3月末日までなら、入会金と年会費を足して13000円のところを10000円、という期限つきの特典値引きが書かれていましたが、それを見てあなたはどう思いましたか。
( ) A 学会ともあろうものが、品がないなあ。
( ) B こりゃ、得だな。
( ) C その他( )
(2)学会の会員の人には、A4サイズとカードサイズの会員証を送るとしてありましたが、それを読んであなたはどう思いましたか。
( ) D 学会ともあろうものが、品がないなあ。
( ) E 宣伝に使えて有利だな。
( ) F その他( )
(3) この入会のお勧めにより、あなたは学会に
( ) G 入会した。
( ) H 入会しなかった。
(4) 他に、あの入会勧誘文書を見て感じたことがあれば、書いてください。
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保田
そういえば、届いていたのですが、すっかり忘れていました。私はAFHです。
そもそも、学会とはそのような組織とは違うものと思っていました。
半分は、純粋に学問的な側面からの興味はあったのですが、天邪鬼な私としては、えさをぶら下げられて、興ざめしてしまいました。いかにも安易な勧誘だな!……と。
まして、今回3百数十名の加入があり、会員数が5百名を超えたということですから、もともと2百名ぐらいのメンバーだったということです。
片っ端からこの案内を送ったとすれば、認定眼鏡士も程度はピンキリですから、学会の名を借りて箔付けをしたい人たちも相当数加入したことでしょう。
このような節操のない「キャンペーン」を張るような感覚の学会幹部の責任は問われるべきですね。 今後の学会の質にもかかわると思います。
原
私はAEHでした。割引しなければならないほど会員数が減少しているのかと思いました。
この勧誘には、日本眼鏡学会という品格を感じる名前とのギャップを感じました。
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そして、次に私は学会のMLのメンバーに向けて下記のアンケートを送った。
学会の会員は日眼研MLと学会のMLの両方にいるので、両方のMLに送った。
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日本眼鏡学会の会員のみなさんにおたずねします。
学会から送られてきた会員証を、あなたはどのようにされたでしょうか。
(1)A4の会員証はどうされましたか?
( )a 額に入れてに掲示している。
( )b そのまましまってある。
( )c 廃棄した。
上記のaのかたにおたずねします。
それはどこに掲示していますか。
( )d 売場(おもて見えないところ)
( )e おもてから見えるところ
( )f 検眼室
( )g その他
(2)カードサイズの会員証はどうされましたか。
( )h 常に携帯している。
( )i しまってあり、携帯はしていない。
( )j 廃棄した。
hij の理由は( )
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永光
私はbとiです。
会員証の有効期限シールが送られてきてから、A4の会員証のありかを昨日まで探していてやっと見つけたのでとりあえず貼り付けましたが、貼り付け方がまずかったのか前の日付けが完全に隠れないで一部はみ出てみっともない感じになりました。
これはもともと眼鏡士認定登録証にくらべて安っぽい仕様ですし、学会員であることを広告宣伝に利用してはいけないなどの規約があるわけですから、ならばこれはお客様の目に付かない事務所か居宅の居間などにさりげなく掛けておくしか用がないものでしょう。
カード式のそれも、スーパーの会員証なら買物の時に提示してポイントをためることが出来ますが、いつどのような場面で役立つのか理解できません。
いずれにしても用事の無いものを製作して会費を浪費しているとしか思えません。
このようなものを作るよう提案した役員の責任を問いますし、それに賛同した役員も同罪です。
次回からこのようなものを製作することは廃止して、これまで掛かった費用は役員全員で弁済してもらいたいと思います。
岡本
ご回答をありがとうございました。では木方さんの場合は、どうでしょうか?
なお、お答えがないかたの場合には、(1)はaとdefのどれか、(2)はhだと勝手に解釈させていただきます。
なお、私自身は、cとhです。hである理由は、まあこれを使う場面はないだろうけれど、別にかさばるものでもないからということです。
A4の方は、あほらしいので捨てましたが、いまは「世紀の記念品として残しておけばよかった」と惜しいことをしたと思っています。
木方
私は、cとiです。 私には、必要だと感じられません。
使い方には注意が必要
岡本
なるほど。そうすると木方さんは会員証の送りつけには反対だったのですね。
木方
とくに反対はしてません。私自身は不要だと思っているだけです。
ただ、ああいうものが必要と感じられる人は、学会員であることを誰かに知られたいと思われる人ですから、よく使い方を注意するように学会として発信をし、あるまじき使用者は、除名をするといったようになければならないと思ってます。
ただ、理事会がそう簡単に開けるわけでもなく、時間も限られており、なかなか思うように実行に移されてないのは、大変はがゆいです。
会員が増えるのは悪いことではないですが、いわゆる「変な」会員なら、もちろん増えないほうがましだと思ってます。
岡本
会誌のあのトピックスは木方さんが書かれたのでしょうか。
木方
あれは私が書いたものではありません。
岡本
では、あのトピックスの筆者をご存じでしたら、そのかたに、「ナマ声サイトにこんなことが書いてありますよ」、と伝えてあげていただけませんか。
そうでないと、自分が「キャンペーン」などと書いて学会の品位を下げたり、「斡旋」とかおかしなことを書いてしまったという自覚も反省もないでしょうから。
木方
すみません。編集担当の副理事長としては無責任ですが、今回から編集はすべて、問い合わせのない限り林光久編集委員長が担当しております。
彼に伝えておきます。
岡本
このたびの学会への入会「キャンペーン」で「そうか、A4の会員証をもらえるのか。
じゃ、それを検眼室に貼っておこう。そうすると、認定眼鏡士の証書だけよりも、さらに箔がつくなあ」と思って入会した人も多いのでしょうが、反面、「こういう姑息なことをするのか、それに3000円値引きだって……あほらし」と学会に失望を感じた(軽蔑の念を持った)人もいるのではないかと私は思います。
そういう真面目な人をみすみす入会させないようにしてしまったのが、このたびの「キャンペーン」だったのではないでしょうか。
一度失った信頼感を取り戻すのは容易ではありません。あのキャンペーンを企画した人は、自ら責任をとられないのでしょうか。
永光
このたびの学会への入会「キャンペーン」は内容的に由々しき問題と思います。
「キャンペーン」をして入会を募るのはかまいませんが値引きセールの特典をつけたのはまったくもって噴飯物で、既存の会員に対する冒涜です。
住宅公団が売れ残りを値引き販売しましたが、まともな値段を払って入居していた人々の怒りを買いました。もっともなことです。
百歩譲って住居の場合は新古ものという位置付けで理解をしても、こと学会の会員権というものに値段の差があること自体論外でしょう。 学会の執行部は値引きセールで入会した会員から3,000円を徴収し、それがいやな人は10,000円返金して退会してもらえばいいでしょう。あるいは旧会員に3,000円返却するか、または執行部が新会員の3,000円を補填すべきです。少なくともあのキャンペーンを企画した人は出処進退を明らかにすべきです。