[みに談義] フォロプター と ホロプター

岡本
JISでの呼び名は「レフラクターヘッド」というのだそうですが、ターレット式検眼器とも言います。 昔は手で回していましたが、最近のは遠隔操縦の、いわばパワーステア
リングですね。

これを、フォロプターと呼ぶ(書く)のはAOの器械の商品名であるPhoropterをカタカナで書くとそうなるからですが、これはまあ、化学調味料を味の素と呼び、セロハンテープをセロテープと呼び、ステープラーをホチキスと呼ぶのと同じことです。

で、商品名でもって一般名詞としてあれをフォロプターと呼ぶ(書く)のはよいとして、
それを「ホロプター」と書いて憚らない人がいます。
しかしそれは、photoをフォトと書かずにホトと書き、フィリピンをヒリピンと書くのと同じようなおかしな表記なのです。

野矢 正氏は以前からフォロプターをホロプターと書いておられ、最近誰かに「それはフォロプターと書くべき」と言われたらしく、月刊「眼鏡」の2007.9の連載講座で次のように書いておられます。(以下、《 》内は同講座からの原文のままの引用です)

《眼鏡の度数を決める時、ホロプターはかなり有用であると考えている。》

《どうもホロプターは商品名であるようだ。》

《フォロプターではないかなどとの異論を聞いたこともあったが、当面は乱視、ホロプターで通したいと思っている。》

例によって、なぜ自分はフォロプターと書かないでホロプターと書くのか、なぜ「ホロプター」と書く方が「フォロプター」と書くよりもベターなのかという説明は何もないので
す。自分は昔からそう書いているから変えない、というだけのことなのでしょう。

なお、眼科学で「ホロプター」と書けば何を指すのか、ということくらいは、優秀なORTである野矢氏がご存じないはずはないと思うのですが、そのホロプターとの混同を避けるためにも、phoropterはフォロプターと書く、という当たり前の執筆姿勢が、野矢氏にはないようです。

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(参考資料)

ホロプターとは?

ある一点を注視したとき,両眼の網膜上での結像部位が一致する外界の軌跡をホロプタ-(horopter)という。 ある点が,ホロプターから飛び出していれば奥行きは遠くなり、へこんでいれば近いということになる。

両眼視差は,視差がゼロの状態であるホロプター上のある点より近い、または遠い位置に網膜像が映るときのそのズレのことである。

http://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2003_14454/slides/07/51.html
(2007.11.16現在)


やはり、フォロプターとホロプターは分けるべきだと思います。
一般的にホロプターと書けば、ホロプター円を思い浮かべますし、英語のニュアンスの違いをカナでもなるべく正確に表現するなら、phoropterは「フォロプター」、horopterは「ホロプター」が妥当であると思います。

岡本
槍を持った重装歩兵隊、phalanxは、ファランクスであって、これをハランクスと書いたら変ですよね。

野矢さんがphoropterの綴りを知らないことは考えにくいし、horopterもご存じでしょうから、なぜあの器械を「ホロプター」と書くことにこだわるのか……、また、その変なこだわりをわざわざ自ら進んで連載記事に書くということも、私には理解しがたいことです。

投稿日:2020年10月24日 更新日:

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