眼鏡士:岡本隆博
─────────────────────────────────────
ある方法
オートレフという眼の度数を測る測定器に頼っている感じの店(測定者)は、あまり感心
できないと言えます。
たいていの店では、眼の前にレンズを当てて、視力表を見せてレンズを変えながらよく見える度数を求めていくという作業の前に、「ではコンピュータで測って見ましょう」とか
言って、まずオートレフという箱のようなものの中を覗かせて、検査する人がスイッチを入れてパッと眼の度数を出すということをやるわけです。
それで眼の度数をあらまし測定するわけです。
それはよいのですが、そのときに次のような状況であれば、あまり感心できません。
・ オートレフで測ればすぐにメガネに作る度数がわかるというような説明をする。
・ オートレフで度数が出てこなければ、大変弱った感じになったり、それ以後の検査をせずに前のメガネの度のままで作ることを勧めたりする。
・ オートレフで得た度数のままで、視力表を見せて視力がいくら出ているかだけを確認して、すぐにメガネの度数を決めにかかる。
・ オートレフでの測定からメガネの度数を決めるまでの時間が非常に早い。ものの1~2分くらいで決めてしまう。
上記のようなことがあれば、私ならその店とはそこで、さよならをします。
質問をする
【質問】 貴店では、お客さんの眼を貴店で測定してメガネを作った場合に、作ったメガネ
の度数だけでなく、眼の本当の状態(完全矯正度数とその視力)も、記録として残しておられますか。
眼の測定をしてみて眼科での受診をお客様に勧める場合、眼科への紹介状に参考に添付するデータとしては、眼の完全矯正値の方が重要なのです。
にもかかわらず、それを記録していないということは、端的に言えばお客さんの目のことを大事なものに思ってはいないのではないか、と私には思えるのです。
カルテを見せてもらって、どれが調製度数でどれが完全矯正値ですかと聞いたら「これが
調製度数で、これが完全矯正値です」と説明してくれる店なら安心です。
実際のところ、完全矯正値を残している店は、ごく小数派です。
●
また、次のような、初級レベルの質問を出してみるのもいいでしょう。
「メガネフレームの型合わせは、レンズを入れたあとにだけやればいいんですか。
それとも入れる前にもするべきなんですか」
これに対して「あとでやればいいです」という答が返ってきたら、不合格です。
「入れる前にもやるべきです」とか「入れる前の方がむしろ大事なんです」というふうな答だったら合格です。
「ディオプトリーと焦点距離は、互いにどういう関係なのでしょうか」
答は「逆数です」
眼を測定する人で、これがわからないようなら、眼鏡光学の基礎が理解できていないということです。
(平成14年7月)