ニューアリアーテは改悪だ! 旧アリアーテも受付継続を!
───────────────────────────────────
使いにくいです
岡本
ニューアリアーテの見本が当店に来ました。
みなさんのお店でも、すでにこの見本を用意しておられるところもあると思います。
ニューアリアーテを、旧アリアーテと比べてみてどう思われますでしょうか?
みなさんのご意見をぜひお聞かせください。
乙部
これは使いにくいなあ、というのが実感です。
これまで50%までつけてもらえた色が今度は35%までしか受注してもらえないのが、釈然としません。 それと、サングラスカラーが50Fと75F、50G、50/25Gしかないのも釈然としません。
それと、アーバンアメジストとスレートグレーなどのグレー系は旧カラーよりも薄いですね。
定番のグレー、茶色などはあまりいじくらないでほしいです。
定番カラーはそのままで、新カラーを付け足して試行錯誤して欲しいです。
今回はとても怒っています。
岡本
今回の色の構成は、前に比べて「色数を増やして濃度の種類を減らした」わけですが、とにかく、濃度の種類が少ないのが一番の改悪ですね。
たとえば淡色の方は、前は全色だと10、15、20、25、30、40、50と7種類もあったのが、今度は10、15、25、35の4種類だけ。
ハーフカラーは前が15G,20G、25G、30G、40G、50Gと6種類あったのが、今度は15G,25G、35Gの3種類、特に20ハーフがなくなったのは困ります。
これまでよく、中高年齢の女性に、15ハーフでは薄いけれど25ハーフでは濃いという場合に、20ハーフで受注していましたので。
アリアーテをやめてからも、旧アリアーテも含めて色見本を送ってもらえばその色でできます、とのことですが、旧アリアーテの20ハーフなんて、もともと見本はありませんから……
それと、60%以上のサングラスカラーでは、これまでは、グリーン、ブラウン、グレー
で60、70、85ができたのが、今回はその3色で75だけ。
これも、85のシャイニーグリーンとシャイニーブラウンの色見本がないのが困ります。
そして、50、50G、50/20Gの3種類しかできない色が6色もあるのですが、こんなのは勧めにくいです。
なんか、染色する人がややこしくなくてやりやすい、ということを重視したような感じで、ユーザー本位ではないように思えます。
一つだけ改善と言えるのは、単色のブラウン系が、前からあった男性向けのシャドーブラウン(ココアブラウン)、アースブラウン(キャメルブラウン)に、新たにアーバンマロンが加えられたということくらいでしょうか。
原
ニューアリアーテはほんとに改悪です。
実際のところ「もう少し濃度を濃くして」とか「薄くして」とのお客様のご希望は多いで
すので、濃度の種類を減らされてこまります。
せめて、淡色の50%とサングラスカラーの60Gと85Fは追加してほしいです。
乙部
このニューアリアーテは一体どういう人たちが考えたんでしょうか………?
岡本さんがおっしゃったアーバンマロンは昔のウォームブラウンに似ていますよね?
ウォームブラウンは意外と使いづらい色だったことを思い出しました。ちょっと濃いと赤っぽくなるし……。
ニューアリアーテになってから、お客さんにいろいろとご提案しにくくなりました。
20%とかがないのも、釈然としませんね。
それと、色見本を送ると、追加料金が加算されるし、日数も余計に掛かってしまいます。
茶色っぽくないシャドーブラウン
岡本 女性には、アーバンマロンも悪くないと思うのです。他の二つのブラウンとは違う皿(グループ)に入れてあるのは、他が男性用でこれが女性用ということなのでしょう。
それと、シャドーブラウンは、15Gや25Gの場合は前のココアブラウンと良く似てい
るのですが、10Fになると、ココアブラウンの10Fよりもグレー味が強くてわずかにグリーンがかった色になっており、同じシャドーブラウンでも濃度によって色調が違っているように見えますが、いかがでしょうか。
それと、淡色の場合、前は15Fの見本があったのに、今回は15Fが全くなくて、これ
では10Fと15Fの比較をしてもらうことができません。
それと、前のも今度のも皿一枚に12枚のレンズがあって、それが5皿という60枚セッ
トで、レンズの大きさも同じなのですから、皿やキャビネットなしでレンズのみの供給もしてほしかったですね。
なのに、わざわざ皿の大きさを変えて、前のキャビネットは使えないようにして、皿だけでなくキャビネットまで新しく買わせようというやりかたにはまったく腹が立ちます。
この事業をやっているオプティカルカラー協会というのは、いったいどういう組織なんでしょう。 株式会社でもないようだし、もちろん公益法人でもない。
レンズの見本だけ取り替えたのでは売り上げが少なすぎて困る……皿とキャビネットごと販売して稼がないとやっていけないからそうしている、ということなのでしょうか?
こうなったら、自店が主力にしているレンズメーカーに対して、なるべく長く旧アリアー
テの色も受け付けてくれるように働きかけるしかないですね。
旧カラーに酷似のニューカラー
岡本 旧アリアーテとニューアリアーテの色調を比較してみますと、
1)目で見て色調が酷似しており、分光透過率曲線を比較して見ても、違いがほとんどないもの。
ココアブラウン と シャドーブラウン
ブルーバイオレット と ライラック
ロゼワイン と グレイスボルドー
メローパープル と グレイスパープル
シティーブルー と アーバンブルー
(シティーブルーとアーバンブルーは、意味もほとんど同じですよね (^_^) )
2)分光透過率曲線では若干の相違があるが、目で見て違いがわかりにくいもの
リーフグリーン と アーバングリーン
キャメルブラウン と アースブラウン
サニーオレンジ と オーロラオレンジ
(いずれも、左に書いたものが旧アリアーテの名です)
なお、分光透過率曲線を見てわかったことですが、色調が酷似しているペアについては、見た目の若干の違う感じを持たせるために、ニューアリアーテの方が同じ数値の濃度のものでもわずかに色を濃いめにしてあるものが多いです。
こういうふうにして「新しい色です」と言って新しいレンズ見本を買わせるというのは、
どうもいただけない商法のように、私には思えます。
さらに言うならば、「アキュート」と「アリアーテ」は耳で聞いても字で書いても区別しやすいですが、元の「アリアーテ」に「ニュー」をつけただけでは併行受付の期間においては、そういうシリーズ名だと混乱の元になりかねません。
「アリアーテのアーバンブルー10Fでお願いします」
「あの~、アーバンブルーはアリアーテとは違いますけれど」
「ええっ!アリアーテにあるでしょ?!」
「いえ。アーバンブルーはニューアリアーテの色です」
「そんなん、どっちでもええやんか。とにかく、アーバンブルーや!」
今回はアキュートからアリアーテに変わったときほどの色の変化がないので、別の名前にするのはおこがましいということで、「ニュー」をつけただけにとどめた、というのでしたら、まあ、わからぬでもないのですが、そういう謙虚な気持ちがあるのなら、今回のような無駄な、というか拙劣な改変はしないでほしかったです。
ユーザーへのサービス低下
原
私の場合、2年前の独立の際にアリアーテの見本を買ったばかりなのですが、ニューアリアーテは、アリアーテの色調とあまり変わっていないようですし、濃度のサンプルが減っていて腑に落ちないところです。
似ているので、新色に足りない濃度の見本は、旧色の見本が使えますが、サンプルに表示の色に名が違うので、お客さんに突っ込まれそうです。
それで今日、サンプルにない35Gとか25Fを、ホヤに注文しましたがけっこうな出費です。
新色にない濃度を注文する時に、メーカーにサンプルを送らなければならなくて、眼鏡店側のコストも増えますし、なにより、濃度の製作範囲が減ることはユーザーに対するサービスの低下です。
ほんとに今回の改悪はいただけないです。
岡本
今回のニューアリアーテは、誰かが「開発」し、それを橋本美奈子さんが「監修」されたそうですが、濃いサングラスの色など、グレー系、ブラウン系、グリーン系ともに、前の色と分光透過率曲線も酷似しており、先に指摘した「前とほとんど同じ色」にこの3色も含めると、このニューアリアーテがはたして「開発」と呼べるのかどうか、私には疑問です。
濃度の種類を大幅に減らしたというのは、進歩ではなく退歩としか言いようがありませんね。
「スパークリング」の中に「50Fと50ハーフでしか使えない色」が6色あり、これを協会は「開発」とおっしゃりたいのかもしれませんが、こういう濃度は中途半端です。
これではまぶしさを防ぐ性能は不足だし、オシャレとして使うには濃過ぎます。
いったいどんな人がこの濃度のメガネを掛けるのか私にはイメージがわきません。
少なくとも当店では、色調を問わず、50%程度の色はめったに受注しません。
この色を監修された橋本さんは、業界内でファッションの分野では有名な人ですが、めがねの販売の現場を実際にどれだけ体験しておられるのかということに疑問を持たざるを得ません。
乙部
アーバンマロンについては、好みの問題かもしれませんが、あのような、ちょっと赤みがかったブラウンやオレンジ系の色は、何度か使いましたが、成功した、と思うことがなかったので、今では使うことは先ずありません。
それと、シャドーブラウンの10Fは、たしかにこれでは、ブラウン、とは名ばかりです
ね。
「ブラウンで頼んだはずが、これはグリーンよ」とお客さんに言われそうです。
そして、15Fは男性の場合は見本色に必須の濃度ですから、その見本はないのはホントに困ります。
それと、旧アリアーテとニューアリアーテは、皿を重ねられるとか、何か工夫して欲しいです。
全く違う形なので、邪魔です。使う人の事を全く考えていません。
この協会こそ仕分けの対象にして欲しいですね。
岡本
ニューアリアーテの皿だけなら重ねられますが、旧アリアーテの皿とは重ねるのは無理ですね。
それで、この協会は税金の補助を受けていないようなので、仕訳の対象にはなりません。
この協会ができたそもそもの発端は、各レンズ会社(いま、14~5社がこのアリアーテ事業に参加しているようです)が、いろんなメーカーの色見本をそろえておかないといけないことを嫌って……ということを聞いたのですが、私はそれだけではなく、もう一つ次のような理由があるのではないかと思うのです。
自社のオリジナルカラーだと、それを得意先販売店に買ってもらうことは難しく、製作経費がかかるばかりで経営の妨げとなる。
各社のカラーを一本化して、新しい別組織がそれを売り出すことにすれば、小売店に販売できる。 ただ、コストに粗利を載せられるような価格での販売は難しいので、その事業は赤字になるかもしれないが、各社がバラバラにやるよりは、その赤字補填を各社で分担する方がよほど少ない費用ですむ。
こういうことではないかと思うのですが、実態は、オプティカルカラー協会の会計状況が不明なのでわかりません。
この協会(おそらく任意団体なのでしょう)の収支はどんな具合なのでしょうか。
(1)この協会は常に赤字で、参加しているレンズメーカーが毎年規模に応じて運営補填の資金を拠出しており、協会の独立採算はまったく無理で、黒字を出すにはレンズ見本の価格をいまの何倍にもしないといけないのだけれど、それは到底無理なので、こういう「協会」でやっている。
この場合、下記の二通りが考えられます。
(a)新色を出すごとに赤字が増える。
色見本のコストが販売価格を上回っているのであれば、こうなります。
(b)新色を出しても儲からないけれど損もないので、毎年の赤字の額は変わらない。
色見本のコストが販売価格とほぼ同じなら、経費の分だけ赤字で、こうなります。
(2)なんとか赤字は出ない程度で、社員の給料は意外に安い。
商品のコストが販売価格の7~8割程度であれば、こういう状態ではないでしょうか。
(3)そこそこに儲かっていて、幹部の社員にも相応の給料が出せている。
数年に一回、新しい色を作るとして、商品(色見本)のコストがもしも販売価格の半分程度ですめば、こういう状態になるのではないかと思います。
上記の3通りのうちのどれなのかは不明ですが、(1)なのかな、と推察します。
もしこの事業が(1)なのであれば、ときどき新色に切り替えないと協会の運営ができないということではないと思いますから、よけいな「新色」は出さないでほしいですね。
15Fはどうやってつけるの?
岡本
それと、もう一つ疑問に思うのが、たとえば、フルカラーの15%で注文した場合に、レンズメーカーにもその見本はないわけですよね。だったら、どうやって15%Fを付けるのでしょうか。
おそらく下記の2つのうちのどちらかでしょう。
1)15Gの中央から少し上の色の感じで全面に染色をする。
でも、これも難しそうです。
そんな方法で大丈夫かな、と不安に思います。
2)旧アリアーテの15Fの見本を見て、その濃さでつける。
この場合、「旧」と「ニュー」で色の名前は変わっても実際にはほとんど同じ色合いという色の場合には、旧見本だけ見て色をつけたらいいわけです。
まったくの新カラーの場合は、色合いは「ニュー」の見本で、濃度は「旧」の似た色を見ながら、というややこしいことをして15%の色をつけるのでしょうか。
あるいは、レンズメーカーには協会から、15Fも含めて受注できるすべての色のすべての濃度の見本が行っているのでしょうか。 もしそうであるなら、小売店としては腹立たしい思いですね。
* このあと、あるレンズメーカーに尋ねたところ、レンズメーカーにはニューアリアーテの15Fの見本はあるそうです。 他の染色可能な濃度の色はすべて協会から送られているのでしょう。 しかし、それは小売店には出荷されないとのことです。
さて、旧アリアーテの色を受注するのはいつまで、というのは、建前(レンズメーカー間の取り決め)では「4月30日まで」ということになっているそうですが、実際にはメー
カーによって様々のようです。
でも、いつまでもそういう融通をきかせてくれるわけではないでしょう。
なお、協会に専従の幹部社員の人がいるのかどうかは知りませんが、もしおられるとしたら、そのかたは、新カラーができて、次のカラーにとりかかるまでの4~5年間、いったいどんな業務をしておられるのでしょうか。
事務の女性などは、常に、商品の発送とか、問い合わせへの返事などで仕事はあると思うのですが、幹部の男性は、新製品が出たあとの何年間かはいったい何をしておられるのか、どうにも私には分からないのです。
ということは、この協会には専従で協会から給料を取っている幹部社員というのはおられないのかもしれませんね。
なお、この協会は、株式会社ではなく、もちろん社団法人や財団法人でもなく、民間の任意団体のようですが、現在の理事長は、エシロールジャパンの社長さんだどうですが、おそらくそのかたこの協会の名誉理事長みたいなもので、この協会から給料を取ってはおられないと思います。この協会に電話をかけると若い女性が応答してくれまして、(お役所的な感じの応対会話でした)男性社員が協会事務所にいるのかいないのかは不明です。
二本立てでも不便はないはず
岡本
レンズメーカーは、今後旧アリアーテとニューアリアーテの二本立てで染色の受注を行なっても、特に誤解も混乱も行き違いも起こらないはずです。
なぜなら、それぞれの個々のカラー名は全部違えてあるのですから、たとえば、「旧にもニューにもココアブラウンというのがあって、同じ15Fでも旧よりも新の方が色濃いめ」、などという齟齬をきたすおそれはまったくないわけです。
一本立てと二本立てとで、手間だって、別に大した違いはないと思います。
ですので、私は少なくともニューアリアーテの次のカラーが数年後に出てくるまでは、旧とニューのどちらでも受けます、というふうにしていただけるレンズメーカーさんが、一社でも多く出てくることを期待します。
そして、そういう措置を講じていただけるレンズメーカーさんは「ユーザー本位」のメーカーさんであり、杓子定規に「ニューアリアーテ一本」という受注しかなさらないメーカーさんは、ユーザー本位とは言い難いメーカーさんであると思わざるを得ません。
最後に誤解のないように言っておきます。私はニューアリア-テの受注をやめてください、と言っているのではありません。ニューアリアーテの他に、前のアリアーテの受注も併行して継続して下さいませんか、と言っているのです。
(蛇足)
小売店にある見本の色が経年変化で劣化してきて、レンズメーカーにある見本の色と合わなくなるので、数年ごとに新シリーズに換えるろいうことを聞いたこともあるのですが、小売店は通常はキャビネットに入れて保管していますから、常に光を受けているわけではなく、ときどき室内の照明の下にさらすだけですが、そういう小売店でにある見本レンズと、メーカーでしょっちゅう見本として明るいところで見ている見本レンズとで、実際に経年変化に違いがあるのかどうか、私には疑問なのですが、メーカーでは、どのくらいの頻度で取り替えをしておられるのでしょうか?