術後8か月の眼の状態は
印藤
私は去年、近視矯正手術(ラセック)を受けました。
術後大体八か月経って、眼が安定してきましたので、その経過をご報告させて頂きます。
手術前の私の完全矯正値は
RV=(2.0×S-4.00C-0.25AX155)
LV=(2.0×S-3.25C-1.00AX10)
上下プリズム 無 水平プリズム 1プリズムB.I.
手術後の私の完全矯正値は
RV=(2.0×S+-0.00C+0.50AX150)
LV=(2.0×S+0.50)
上下プリズム R5~1.5△B.D.(日によって変動)
水平プリズム 1プリズムB.I.
なんと、近視矯正手術が直接の原因かはわかりませんが、上下プリズムが出てしまったようです。裸眼だとピントがボケる事が多い気がしたので、眼鏡には上記の完全矯正値にRに0.5△のBDを入れています。
手術を受けたクリニックで医師に「近視矯正手術をうけてから、上斜位が出てしまったようなのですが?」と質問しましたが、「近視矯正手術で斜視(!)は出ない!」と斜位と斜視を混同して考えていらっしゃったので、話にならないと思い、深くは追及しませんでした。
また、術後、右眼の見え方が2.0の矯正視力はあるのですが、どうも落ち着きません。
なんだかボヤっと、以前より霞んでいる気がします。
やはり、矯正視力に関しては術後より術前の方が良かったようです。
以上が、私の近視矯正手術の経過報告です。
裸眼視力自体は上がりましたが、個人的にはメガネで矯正視力がきちんと出る人に関しては、強くお勧めはしないです。(手術の結果に関しては、何も文句は言えないように誓約書にサインをさせられましたし、20年30年後にどうなるかはわかりませんし)
ただ、それでも近視矯正手術の人気は止まらないだろうな、と思います。
何故なら、私は自分がメガネ屋で自分で乱視度数を検査し、両眼調節バランステストをし、自分の眼にぴったりの装用度数を術前に掛けていたので、術前と術後の矯正視力の比較がある程度できましたが、そもそも一般のメガネユーザーできちんとした乱視度数、両眼調節バランスのとれた眼鏡を掛けていらっしゃるかたは、かなり少ないと思うからです。
もともと矯正視力のさほど良くないメガネをかけていた人であれば、近視矯正手術の両眼の誤差が今回の私程の精度が出れば、近視矯正後の見え方の方が、メガネよりも良く見える!!という思いを抱かれると思うからです。
近視矯正手術は、主に口コミで広まっているようです。(きちんとしたデータではありませんが) 私の受けた近視矯正クリニックでは紹介者に三万円のキャッシュバックキャンペーンと、4~5人紹介したら手術代の元がとれるキャンペーンをおこなっていました。
「裸眼で生活できる魅力」、それに加えて「(ほとんどの人は)メガネよりよく見える視生
活」、それにそれに「メガネ2~3本買うのと値段が変わらない手術代金」、一般の方から見たら、まさに走・攻・守とそろった昨今の近視矯正手術の現状です。
そういえば、私の知人友人の中だけでも10人くらい手術を受けた人間がいます。
とりとめのない書き方でしたが、ご報告は以上となります。
CL業界の方に大きな影響が
岡本
詳しいご報告を有り難うございました。 ラセックという言葉を見て、レーシックと違う
のかな?と思って、ネットで検索してみましたら、いわばレーシックの改良版みたいなもので、フラップを作るのに、角膜を柔らかくして薄く剥がすのだそうですね。
たしかに、我々の知らないところで、近視矯正手術を受ける人がどんどん増えているのかもしれません。
しかし、この種の手術の増加は、メガネ業界よりもコンタクト業界の方に、影響はより大きいと思います。
野々村
印藤さん、貴重なお話ありがとうございます。
私のお客様の中でも「この近視手術を受けたのでコンタクトを止めます」という方が急増しています。
なんと言ってもコンタクト3年分の料金で済むのですから、止めようもありません。
しかし殆んどの人が遠視で頭痛持ちに変身。(当然です)
そして+1.00のメガネをお持ちです。
こうしたメガネを推奨する医師も、それで当然だという雰囲気です。
(近視進行抑制のためだそうです)
術後の見え方で遠方と近方のバランスはお構いなし。遠くがメガネ無しで見えればそれで良し、そういう風潮にも腹が立っています。
遠視狙いで角膜を削る
岡本
手術の結果、やや近視が残って「裸眼ではまだぼける」と言われる……のを避けるために、弱度遠視でねらっておくのかもしれませんね。
そうすると、正視にならなくても、遠方の視力は出ますから、ただ、遠視だと疲れ目になるおそれがあるのですけどね。
それで、その+1.00のメガネは、安物の既製老眼でフィッティングも何もしていないものなのですね。
手術をした眼科が、手術代金のオマケとして無料で渡すのでしょうか。それとも、けっこうな価格で販売するものでしょうか。
北出
近視の矯正手術後、遠視やら、乱視、上斜位で頭痛持ちの人が増えれば、視覚機能研究会の会員店は忙しくなります。
この種の手術では0.50D単位の矯正や細かい斜位の矯正の手術は無理みたいですね。そういう必要も感じていないでしょうし。
岡本
弱度の遠視ねらいで手術をするのでしょうが、狙った度数から、結果としての誤差の統計がどのくらいなのか、興味がありますね。それと術後の屈折の変化の追跡調査の統計も知りたいですね。
北出
その辺のデータは見たことがないのです。
ビジネスとしてはそれは表に出さないのでしょうね。
弱度の遠視、乱視を残して視力が1.0以上出れば万々歳というところでしょう。
患者さんに知られて不利なものは説明もしないでしょう。
野々村
私の友人(眼科スタッフ)も手術を受けましたが、その際に検査スタッフから「どこまで視力を出しましょう?」と聞かれ、
0.5の視標 「これくらいですか?」 もう少し
0.7 「これくらいですか?」 もう少しかな
1.0 「これくらいですか?」 ああこれくらい
見えるといいかも……という問いかけを繰り返して、最も見える状態で「はい」と返事をしてしまったと、今では後悔をしています。
つまり、そうすると近くが見づらくなるといった視力のアドバイスは無く、検査スタッフ
は「お客さんの希望通りにした」ということですませているようです。
なお、+1.00のメガネはは既製品です。近視手術を受けた人は、もうメガネにお金を出したくない人たちですから。
岡本
その既製老眼は手術のオマケだったか、あるいは、その眼科で別に買ったのか、どちらなのでしょう。
野々村
「メガネは+1.00を眼鏡屋さんで購入して下さい」つまり、口頭での処方という事です。
岡本
これも、いただけませんネ。
そんな安易な度数なら、処方箋をちょこちょこっと書くくらい大した手間でないと思うのですが……おおおっと、既製老眼でいいですよ、ということなので処方箋を書かないわけですね。
で、なぜその手術業者が+1.00の既製老眼を用意しておかないのかというと、タダでサービスするのはあほらしいし、値段を付けて売ろうとすると、こんなもの、百均で売っているのと同じじゃないか、サービスで付けてもいいんじゃないの?と思われるとまずい、ということかもしれませんネ。(^_^)
でも、弱いプラスのメガネを与えるとすれば、本来ならば、左右別に度数をバランスさせて処方して処方箋を書くべきでしょうが、近視手術をした人にそこまでの検査技術と見識を求めるのは、無理なのでしょう。
印藤
近視矯正手術は軽度の遠視狙いで手術されているのは間違いないと思います。
私が医師に「軽度の遠視(+0.50)が残っているのですね」と尋ねたら、医師は「これぐらいの遠視ならば、40代までなら全然見えるから問題ない」と答えました。
岡本
その医師は、遠視眼の眼精疲労なんて気に留めていないのでしょう。
福留
ラセックについて、親しくしているM眼科のベテランスタッフに尋ねてみました。
聞いた結果は、私の聞き違いもあるかもしれませんが、下記のとおりです。
1、-3.00D程度では通常のレーシックが多い
2、-4.00D以上の場合や、角膜の厚みが薄い場合などはラセックで行なうことが多い
3、ラセックの場合は角膜をアルコールでふやかした状態にするので、個人的には後遺症が気なる
4、-10.00程度になると、フェイキックIОLという前房挿入式の眼内レンズを使用することがある
5、患者の大多数は35歳以上であり、今後近視が進行する可能性は低く、むしろ老眼になることを考えれば、+-0.00もしくは軽い近視状態になるように手術を勧める
6、矯正値が遠視になるのは、事前の測定ミスおよびエキシマレーザーの照射時間の設定ミスが考えられる
7、この手術が普及して影響を受けるのは、メガネよりコンタクトの方が大きい
8、近視がある程度残ってしまって患者が納得しない場合、約2週間後に再矯正手術することもある
9、この病院は眼科医が10名ぐらい居ますが、現在院長のみが手術しているそうです。
再手術は無料、ということは
岡本
近視手術においては、患者さんが老視が始まっている年代であれば、どんな施術者でも、近くを見るときのことも考慮して遠視狙いにはしないでしょう。
今回の印藤さんの場合には、彼がまだ20代で若いので、今後の近視の進行のことも考慮して、遠視狙いで手術された……のかもしれませんね。
あるいは、施術者による考え方の違いで、20代でも、遠視狙いにはしないということもあるのかもしれません。
それで、福留さん、もし2週間後に再手術をするとなったら、その場合には手術代金は無料サービスになるのかどうかは聞かれませんでしたでしょうか?
印藤
私が手術を受けたクリニックでは、半年間の再手術料は無料という事でした。
岡本
そうであれば、その手術は「医療」ではなく、「専門的技術を使った商売」だということであり、その手術を行なう医師には、専門職としての見識はなくサービス職の人間(たとえ、専門的な技術を持っていても)だと見なさざるをえません。
だって、普通の医療としての手術で、結果が思わしくなければ、再手術を無料で、なんてことは有り得ませんから。
なぜ再手術を無料でするのか。それは「他の同業者との対抗上」でしょう。
つまり、さほどセッパ詰まっているわけでもない「患者さま」、いくつかの施術者を比較してかなり自由に選べる「患者さま」に対する「うちでやらせてね」というモミ手なわけです。
もみ手をする人はもはや医師とは言えませんし、モミ手で行なう手術は医療とは言えません。
福留
ラセック手術についてM眼科に再確認してみました。
-3.00Dから-6.00D程度が一番+-0.00Dに近づけやすいようです。
M眼科では、若い人の場合も、軽い近視状態にすることはあっても遠視状態にすることは予定しないそうです。
多少近視状態になるかもしれない事は術前に説明をするそうですが、それでも裸眼視力に納得されない場合は再手術になることもあるようです。
再手術はやはり無料になるようです。最初の手術の流れの一環ということらしいです。
遠視の矯正については角膜内皮の周辺部を削り、カーブを深くすることで理論上はできるのですが、現在はまだやっていないそうです。
岡本
最初の手術の流れの一環だから再手術は無料、ということなら、緑内障などの手術で結果が思わしくない場合に再手術をするときにも、善意で無料でやってあげればよいのですが、それはしないわけです。
結局、この再手術を無料でするのは、善意よりも、他でも再手術は無料でするようだから、ウチは再手術も有料と言ってしまうと、そのお客さんを逃がしかねないという、商売的なことが理由なのでしょうね。
福留
近視矯正手術は、岡本さんの言われるように医療ではなく商売そのものだと思います。美容整形と同じ感覚ではないでしょうか。
パンフレットに30万円とか35万円の「料金」が明示してありますので、追加「料金」
が取れないということでしょう。
岡本
近視手術と美容整形は似ていますが、似て非なる点もあります。
カツラ業者や美容外科は、クチコミが期待できないので、宣伝費がものすごくかかります。近視手術も多少の宣伝費はかかるでしょうが、手術を受けた人にうしろめたさがあまりないので、印藤さんがおっしゃったように、受術者をクチコミのセールスマンにする(バックリベートを払う)ということができるわけです。
いまもやっているのかどうか知りませんが、昔はコンタクトでもその商法をやっていた業者がありました。
それと、近視手術はCLやメガネの業界の、いわば商売敵ですが、美容外科は化粧品業界の敵というものではないでしょう。
福留
確かにそうですね。