2012.7.25 岡本隆博
将来もしも、国家資格の眼鏡士を店に一人以上おかなければメガネ屋は営業できない・・・・となったとしよう。
それで、いま、「自店には認定眼鏡士がいるから、そうなっても大丈夫。
それで近隣の眼鏡士がいない店(安売り店も含む)はどうなるかがお楽しみだ、フフフ……」 なんて思っている人がいたとすれば、それは違うと私は言いたい。
もしも、眼鏡士がいないとメガネ店は営業できない、となったとすれば、その内容としては次のどちらかになるだろう。
(1)新たに店を開設するには一人以上の眼鏡士が必要だが、従来から営業の店は、すぐには眼鏡士を置く必要はなく、3年とか5年とか年限を区切って眼鏡士をおかないといけないということになる。
(2)法律の施行の前に、希望者はだれでも講習会を受講し(やや高額な受講料が必要)、形だけのテスト(よほどの不成績でない限り合格する)を受けて、国家資格の眼鏡士になれる。
上記のどちらかでないと、それは従来から営業しているメガネ店に対する営業権の侵害と
なリ、新たに制定される「眼鏡士をメガネ店に設置することを義務づける法律」が憲法違反となる恐れが出てくるからである。
それで、上記の(1)か(2)のどちらにしても、従来から営業していた安売り店などは、そのまま営業を続けられる。
(2)であれば、もちろんだが、どんな安売り店にも眼鏡士がいることになる。
そしてさらに、法律が施行されて以後は眼鏡士資格の取得は難しいものになることが予測
されるので、法律施行の少し前における駆け込みでの新店出店もあって、地域での競争環境はよけいに厳しくなりそうだ。
それで、これまで例えば、『うちの店には認定眼鏡士がいます』という宣伝で、認定眼鏡士がいない店との「差別化」をしていた店の場合、法律施行後は、そういう宣伝はできなくなる。
また、従来は「あの安売り店には認定眼鏡士がいないけれど、こちらの店にはいるので、
こちらの店の方が安心してメガネを注文できる」と思って眼鏡士がいる店を利用していた人が今度は「安売り店でもちゃんと国家資格の眼鏡士がいるのだな。
だったら技術面でも大丈夫だろう」という認識になり、眼鏡士がいる店が従来できていた技術的なイメージの差別化ができなくなってしまうのである。
技術イメージの差別化ができなくなったとしたら、あとは、宣伝力、値段、品揃え、センス、店舗イメージでの勝負である。
では、小規模な店が、大規模のチェーン店に、そういう勝負で勝てるだろうか?
業務独占方式の眼鏡士の国家資格化が実現したら、小規模店は、今以上に不利になると私は予測するのである。