[フィッティング名人に]横田流フィッティング術とは?

                                   岡本隆博

月刊 THE EYES の、2012年12月号の「横田流フィッティング術」の記事の説明文と写真とを見て、私が感じたことを以下に書きます。

1)パッドはいつものアレで・・・・
パッドをいつものように、金属部がないものに替えておられます。
突起部が折れやすくても、自分はこれが好きだから、という理由でこのパッドに替えるのが「横田流」なのでしょう。

なお、パッドは力学的には上広よりも下広の方がベターであり、しかも、突起部の折れのおそれを排除するために金属突起の方がベターなのですが、この横田さんのお好みのものは、そのどちらにも反しています。

【余談】
サンニシムラのカタログにある「#R141-650、651」の力学パッドサイエンス」は私が設計したものです。

2)もみあげを抑える?
この場合の枠の腕は、顔を包み込むような形状で、そのままだったら、もみあげを抑える可能性はゼロだと思いますが、それをわざわざ上から見て直線的にしてもみあげをおさえるかのような形に変えておられます。 これも「横田流」なのでしょう。

なお、メガネのフィッティングにおいては、腕がこめかみを抑えないようにするべきであるのはもちろんですが、もみあげ部分も、できればモダンが触れないのがベストで、それが無理でも、少なくとも「抑えない」ようにするのが良いのです。

3)なんで耳にひっかける?
この写真で見ると、特に重たそうなメガネでもないのに、固いモダンの屈折点から先を、耳介の付け根に食い込むような角度まで下に深く曲げておられます。

たとえ耳の付け根が痛くなるおそれがあっても、絶対にずり落ちる心配がないように、このようにするのが「横田流」なのでしょう。

 

上記の3点については、以前に私から横田さんに直接疑問を呈したのですが、それへの回答もなさらずに、このやりかたを今も変えておられません。

自身の技術に対する疑問呈上に対して議論を避け、科学性よりも、自分の感性を貫く、というのも、横田流なのかもしれません。

考えてみれば、そもそも、未生流とか、花柳流とかのように、〇〇流と名乗るのは、科学ではなく家元の感性の世界のことですからね。

投稿日:2020年10月15日 更新日:

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