「この店では非球面レンズはいくらですか、レンズだけ入れてほしいんですけど」と言って、20代後半の男性が来店した。
「非球面なら一組○○円からありますけど……」
「けっこう高いんですね」
「非球面だとこのくらいになってしまいます。いまメガネをおかけになってませんけど、コンタクトを入れておられるんですか? 度数が強いんですか?」
「いえ、メガネは初めてです。このごろちょっと遠くがぼやける感じがするんです」
「それなら、なぜ非球面とおっしゃるのですか?」
「インターネットで、非球面が見えやすくていいと書いてあったので……」
「ああ、そういうことですか……、メガネが初めての人の度数でしたら、非球面よりもむしろ普通のレンズの方が見え方はいいでしょうね。 非球面なら最高クラスのものでないと側方視の場合にボケを感じやすいですし、普通のレンズの方が値段も安いですよ。
そのインターネットには、高いものを売ろうとして、非球面がいいと書いてあったんだと
思います」
「そうですか、じゃ、普通のにします」ということになった。
眼鏡店の中には、なんだかんだと理由をつけては高いものを売ろうとする店が多いようだ。(当たり前だ!営利企業なんだから、と影の声)
また、この人に限らず、若い人は、雑誌やインターネットに書いてあることは、そのまま
疑わずに素直に信じる人が多いようである。だから、ヤング向きの眼鏡店は、そこに力を
入れるのが正しい戦略だと言えるようである。
2005.3.15 (岡本)