岡本
レンズの枠入れ加工のときに、大きいメガネ「バデック」のネジが緩みにくくて苦労しました。これまでにもときどき、シーパやガロアスでも同じことがありました。
塗料のせいかなと思って工場に電話で文句を言ったら「緩みにくいネジを入れておきました」とのこと。
「ええええっ!……おいおい……」
バデックなどは私がその工場に発注したものですが、そんなネジを入れるなんて全く聞いていませんでした。
工場の人は好意で「ゆるみにくいネジならレンズの脱落がなくていいだろう」と思って勝手に使ったのでしょうが、おそらくメガネ店のレンズの枠入れ加工のときに、リムのネジを何度も緩めたり締めたりするなんてことまでは考えに及んでいないのでしょう。
これはまったくありがた迷惑なことで、ちゃんとしたメガネ店なら、どのみち最終的には
レンズしめネジにユルミどめをつけるのですから、元からゆるみにくいネジなんて、レンズ入れのときに最初にネジをゆるめるときのリスク(ネジの頭がつぶれて困る)を考慮に入れると、リムネジには要らない……と私は思うのです。
そう言えば最近、昔に比べて加工のときにリムネジが緩みにくくて苦労するケースが増えているように思うのですが、産地福井の方では、リムにその種のネジを入れるのが流行っているのかもしれません。
みなさんは、リムネジに緩みにくいネジ(加工のときに初めにゆるめるのに苦労するネジ)を歓迎されますか?
浜田
緩みにくいネジを入れておかれるのは歓迎できません。
緩みにくいネジは、レンズ加工後の仕上がりのときに入れるのであって、最初から緩みにくいネジが入れてあったら、加工がやりにくくなります。
ですから、最初に入れておくネジはダミーのネジを入れておいて、緩みにくいネジは付属でつけるべきだと、私は思います。
岡本
やはり浜田さんも、そう思われますか。スリムリーなどは、そのようにしてありますね。
もっとも、私はあの青ネジはあまり使わず、元のネジに接着剤をつけていますが、めったにゆるみません。
で、どうでしょう。シーパ、バデック、ガロアス以外でも、加工のときに、カラーリングのせいでもないようなのにネジが緩みにくくて困った、ということはときどきありますか?
浜田
コーキの製品で、レッドネジ(赤い樹脂がついているネジ)をリムネジに使用しているフレームがありました。
この場合、緩みにくい上に、リムからネジが簡単に外れづらくて、レンズのサイズを見るのに難儀をするときがありました。
で、ネジを無理やり外そうとすると、赤い樹脂がとれたりしますから、レッドネジを入れ
ている意味もなくなります。
また、青ネジもそうでしょうけど、レッドネジも一発でキッチリ入れないと緩み止めの効果は弱くなります。
ですから、最初から緩みにくいネジを入れておかれるのは加工の邪魔でしかありません。
岡本
レンズを削って枠に入れるとき、1回でバッチリなんてことはめったにありません。
2回3回4回と追い摺りをして初めて丁度良い大きさになるのですが、枠の工場の人は、そういうことまで考えておられないのでしょう。
ただ、蝶番にゆるみにくいネジを入れておいてもらうのは大歓迎です。
ただし、その場合、普通の1.4か1.7のネジでも使えるようにしてあるものが良くて、
そうでなければ、元のネジが落ちた場合に困ります。
シーパ、バデック、ガロアスなどは、そういう互換性のあるゆるみにくいネジを使って
あるそうです。